2014/12/12

【世界のドローン2】いよいよ来年発売 自動追尾して空撮してくれるインテリジェントドローン『HEXO+』

ドローンが注目を集める理由の一つに、空中からの撮影機能がある。手が届きそうなぐらいの高さからの安定したホバリング性能は、これまでの空中撮影とはひと味ちがった、ダイナミックで迫力ある空中映像を可能にした。YouTubeをはじめ、オンラインでもドローンで撮影された映像がたくさん公開されている。本格的な空中撮影用のビデオカメラを取り付けられるドローンも登場しているが、Wi-Fi等で送られてくる映像を見ながら撮影者がコントロールするか、あらかじめ飛行コースとカメラアングルをプログラミングしておく必要があった。

そのような状況を一変しそうなのが、被写体を自動追尾して撮影できる自律型のインテリジェントドローン「HEXO+」である。被写体を自動追尾して空撮してくれる無人機で紹介したとおり、クラウドファンディングのKickstarterに登場するやいなや注目を集めたヘキサコプター(6つの回転翼を持つヘリコプター)タイプの小型ドローンだ。専用アプリでカメラアングルを入力すると、被写体を自動追尾して、カメラマン(ドローンの操縦者)なしで撮影してくれる。最高速度70kmと、モトクロスなどのスピードのある競技でも追尾でき、究極のセルフィー(自撮り)ムービーが誰でも撮影できる。

追尾機能には、スイス連邦工科大学が開発した独自のアルゴリズムとGPS機能を利用したプロトコルが使われ、被写体が持つスマートフォンの位置を自動で認識する仕組みになっている。デモ映像を見る限りでは専用アプリの操作も直感的で、3Dモデル化されたキャラクターを使って撮影ポジションを決めれば、あとはタップすればドローンが撮影を始め、緊急時には自動で着陸もしてくれる。

もともとは、アクションビデオカメラ「GoPro(ゴープロ)」専用として開発されていたが、現在はより多くの撮影ニーズに対応できるよう計画を変更しており、「360Cam」(ほぼ全方向を撮影できるカメラ)を搭載できるスペアパーツなども開発されている。すでにキャンペーン目標額の5万ドルを2014年7月に達成しているが、その後も資金が集まり続け、本記事の執筆時点では26倍以上となる約1300万ドル以上を調達。2015年5月の全世界向けの発売に先駆けて、自作用キットが1月から出荷される予定だ。

[スペック]
サイズ:62 x 52 x 12 cm
総重量:980 g
最高飛行速度:時速70km
飛行時間:15分/3S battery(GoProを装着した場合)
その他の機能:GPS、位置情報トラッキング、自動飛行・着陸機能、軌道修正、ビデオターゲット捕捉、MAVLINKプロトコル
操縦アプリ:iOS、Android

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。