2014/12/09

家具選びは自宅でスマホから 買う前に画面でレイアウトをシミュレーション

売り場のディスプレイを見ながら、家具やインテリアを選んで配置を考えるのは、簡単なようで難しい。実際に届いてみると、思っていたより大きかったり小さかったり、色や質感がもともとある家具と合わなかったということもある。そこで、インテリア選びを支援するためのウェブサイトやアプリが増えている。

よく知られているのは「IKEAカタログアプリ」。紙のカタログと連動しており、家具を置きたい場所にカタログを置いてスマートフォンのカメラを通して見ると、AR(拡張現実感)技術で、そこに家具を置いた時のイメージを画面で確認できる。

"Design Your Home in 3D"とうたうニューヨークの「FurnishUp」はまだベータ版だが、IKEAをはじめ、欧米で人気の高いwest elm、Wayfair、よりハイエンドのHerman Miller、Design Within Reach等、幅広いメーカーの家具や装飾をメニューから選び、部屋のコーディネートを3DCGでシミュレーションできるサイトだ。CGで表現された部屋の画像は自由自在に四方から見ることができ、家具の位置や向きも好みに合わせて簡単に変えられる。CGなので、「まるで実際の部屋の中にいるみたい!」というわけにはいかないかもしれない。しかし、自分で部屋の図を描き、家具売り場でメジャーを取り出して測ったり、メーカーのサイトでサイズを調べたりして、紙と鉛筆で置き方を試行錯誤するのに比べれば格段にイメージが湧きやすい。家具等のアイテムの説明からは、各メーカーの販売ページへのリンクが張られている。

フィンランドのVividWorks社の「VividAR」は、IKEAカタログアプリ同様に、ARを用いて、実際の部屋で新しい家具やインテリアがどう見えるかを確認できる。違いは、最初に部屋に専用のマーカーを置いてiPadのカメラで撮ることで、家具を置きたい場所にいちいちマーカーを置かなくても、メニューから好きな家具を選んで置きたい場所に配置できること。向きを変えれば、家具やインテリアの見え方も変わるから、実際に買ってきて置いてみたように画面上で見ることができる。こちらも北欧を中心にさまざまな家具やインテリアのメーカーと提携している。

とはいえ、数多くある家具の中から、自分の欲しいものを選ぶのも大変だ。そんなときに、参考になるアイデアを提供してくれるのが、カリフォルニア州サンマテオの「nousDECOR(ヌーデコ)」。nous(フランス語で「私たち」)のDECOR(装飾)という名前のように、コミュニティー型のインテリアコーディネートサービスだ。メンバーは、これはと思う家具やインテリア、あるいは庭やエクステリアの写真を投稿する。単に家具等の画像を並べて表示している人もいれば、実際に部屋の写真を撮っている人もいる。投稿されている写真は場所(リビング、ダイニング、アウトドア等)とスタイル(コンテンポラリー、トラディショナル、ボヘミアン等)でフィルタリングして見ることもできる。こうした多くの人々のアイデアやセンスを参考に、自分なりの部屋をデザインして公開することもできる。自信作ができない時には、コミュニティーのメンバーにアドバイスを求めることもでき、気に入ってくれた人から「いいね!」のハートマークやコメントをもらうこともできる。掲載されている家具やインテリアには、通販サイトから購入できるものもある。

サイズや色、形、今ある部屋や家具とのマッチングなど、何かと考えなければならないことが多い家具選び。紹介したようなサービスが広がれば、もっと多くの候補から、より直感的に選ぶことができるようになりそうだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。