2014/10/24

メーカーお墨付き 家電をハックして好きな機能を追加できるデバイス

家電部門をスウェーデンのエレクトロラックスに33億ドル(3500億円)で売却すると発表しているゼネラル・エレクトリック(GE)の参画するプロジェクトが、その家電をハックすることができる仕掛けを売り出した。

GEとLocal Motorsが設立したコミュニティー「ファーストビルド(FirstBuild)」は、オープンイノベーションを加速するための組織だが、その最初の製品「グリーンビーン(Green Bean)」が9月18日のMaker Conで発表されたのだ。グリーンビーンは、緑色で長方形の基板で、RJ45(8ピン)コネクターでGEの家電製品に接続する。反対側のポートをパソコンなどに接続すると、そこから家電製品をコントロールすることができるようになる。対象となるGEの家電製品は、冷蔵庫、食器洗浄機、コンロ、洗濯機、乾燥機、オーブン、温水器で、一覧表が公開されている。モジュールの価格は19.95ドルでファーストビルドのサイトから購入できる。

JavaScriptベースのSDK(ソフトウェア開発キット)は、Mac、PC、Linux上で動作し、ノートPCや超小型PC「ラズベリーパイ」のほか、スマートフォンや一部のスマートウォッチなどから家電製品を操作するアプリを開発することができる。多少のプログラミングスキルが必要だが、オーブンの温度設定や、遠隔からの起動、食器洗浄機の遠隔モニタリングなどなど、便利な使い方を思いついた人が、自分でアプリを作り、オープンソースとして公開することもできる。むき出しのグリーンビーンの基板を格納する筐体は販売されていないが、3Dプリンター用のデータがあるため、自作することも可能だ。

家電製品の制御は、メーカーの開発陣の知恵の見せところで、各社が工夫を凝らしてきた領域だ。しかし、スマートフォンの普及とIoT(モノのインターネット)時代の到来で状況は変わりつつある。家電製品自体は基本機能に徹して、制御する部分は外に出し、制御の方法はオープンソースで世界中のエンジニアの創意工夫に任せるというGEの新たなアプローチは、自社エンジニアだけでは生まれてこなかった奇抜で便利な使い方を生み出したり、ユーザーが本当に欲しかった機能を実現する可能性を秘めているといえるだろう。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。