2014/09/22

「楽しむための先端技術」がものづくりの世界を救う Ogaki Mini Maker Faire 2014 レポート(後編)

岐阜県大垣市のソフトピアジャパンセンターで8月23日、24日に開催された「Ogaki Mini Maker Faire 2014」。作り手が「楽しむ」ことを一番に制作された作品群が、さまざまな可能性を感じさせる。前編に引き続き、会場で注目されていた出展作品を写真とともに紹介する。

オリジナル楽器の数々

Makeイベントでは、音楽やオリジナル手作り楽器の出展が数多く見られる。

奇楽堂の「Magic Flute」はオカリナやリコーダーのカタチをした電子吹奏楽器で、独特のやわらかな音色が印象的。

身近な動作を楽器化することをテーマにした個人プロジェクト、ねや楽器による「箒ギター」は、学校の掃除の時間に誰もがやった箒エアギターを可能に。毛先を1本ずつはじくとアルペジオができるなど作りが細かい。

LuminouStep

菊川裕也氏が制作したオリジナルのウエアラブル作品ともいえる「LuminouStep」は、腕や足の動きに合わせて光と共に電子音楽が奏でられる。スペインのバルセロナで開催されたミュージック・ハックデイにも出品され、演奏の様子はYouTubeに公開されている。会場で展示されていたスニーカーは、iPhoneのアプリと組み合わせて光の色をコントロールできるようになっていて、それだけでも商品になりそうだ。

ANIPOV

自転車をこぐとホイールにアニメーションが流れるイルミネーションホイール「ANIPOV」。キットも発売されていて、自分で描いた絵やメッセージが表示できる。18から20インチの小径にも対応していて、色数もかなり多いので、カラフルなのに表示はとても見やすい。今後はスマホで表示内容をコントロールできるようにすることも予定されていて、個人で楽しむのはもちろん、広告やプロモーションにも利用できそうだ。

察してほしいマン

「察してほしいマン」は、まばたきや鼻をすする、飲み込む、といった動作などをセンサーで感知し、ヘルメットやカラダに取り付けたさまざまなサインで伝えるという作品。制作したakira_you氏は、できるだけ誤作動が少ないシンプルな方法でセンシングを行い、それを分かりやすく伝えたかったという。とにかくいろいろなセンサーを使って、役に立たないけどクスッと笑えるものを作りたかったという点では、今回のイベントのテーマ「つくることから、はじめよう。もの/あそび/ぶんか」をそのまま表現した作品だといえそうだ。

テレプレゼンスロボ Dalek

ネットワークを経由して世界中どこからでもコントロールできるロボットで、会場ではVRデバイスのOcculus RiftとiPhoneを使って操作できるようにしていた。ロボットは大人のヒザより上ぐらいの高さで、動きはかなり軽快。普段は体験できない視界が楽しめるようになっていた。

こめかみ筋で動かす電動車いす

こめかみの筋肉を動かすことによってコントロールできる電動車イス。コントローラーやセンサーを利用した電動車いすは今までにもあったが、より利用者に負担の無い方法で、しかも誰でも直感的に操作できる点が興味深い。開発を行っているADL(Assistech Design Lab)は筋肉の動きを伝える筋電アンプを製作しており、車いす以外にも利用方法を広げていきたいとしている。

初日の午後にはどのブースの前にも人だかりができるほど人が集まっていた。夏休み中ということもあり家族連れが多く、女性の姿も多かったのが印象的であった。出展する側も老若男女とりどりで、ものづくりの魅力の幅広さをあらためて感じさせてくれた。来年の開催も楽しみだ。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。