2014/08/12

知らない相手と通話ができる"チャイニーズルーレット電話"

中国のインスタントメッセンジャー用アプリというと「微信(WeChat)」が億単位のユーザー数を誇っているが、音声通話アプリでは「比邻(Inbilin)」という不思議なアプリが人気を集めている。登録ユーザーは2,000万人に達し、毎日20万人が北京、広州、杭州、武漢を中心に電話やチャットを楽しんでいる。

2013年5月にローンチしたこの「ソーシャルネットワーキング音声通話アプリ」は、登録ユーザーの中から話が合いそうな人を選んだり、サービス提供側がランダムに選んだ相手とつないでくれたりして、知らない人との無料の会話が楽しめるアプリだ。かつては雑誌などにペンパル(文通相手)募集のページがあって、遠く離れた知らない人同士で手紙のやり取りをしていたものだが、インターネット時代の"ペンパル"とは、その場で話をすることができてしまう。しかも、話し相手を、ルーレットを回すように選ぶこともできる。

広い世界へのコネクションを求める利用者の65%は18歳から22歳の若者で、70%は1990年代以降の生まれだという。バージョン3.0のリリースが計画中で、UIの改善などに加えて、利用者が話したいトピックを登録する機能が加えられるそうだ。これによって話が盛り上がる可能性の高い人とマッチングしてくれるようになる。

日本でも、「比邻」のように、インストールした人同士で無差別にTV電話ができる「斉藤さん」というアプリが、2012年頃に若者を中心に大ヒットしたが、ユーザー間のトラブルなどが発生して問題にもなった。「比邻」は最近、中国のベンチャーファンドから1500万ドルの資金調達に成功しているが、清く正しいサービスとして成長するのかどうか注目される。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。