2014/08/11

運転時の眠気を感知するシート

長時間の運転中に睡魔に襲われた経験のない人は珍しいだろう。Harken(スペインのバレンシア生体科学研究所が母体となったコンソーシアムでEUが資金提供している)は、居眠り運転による交通事故の対策に取り組んでいる。開発しているシステムは、運転席のシートカバーと運転者用のシートベルトにセンサーを忍ばせ、呼吸や心拍数を計測し、睡魔に襲われている兆候が現れたら、信号処理ユニットを介して運転者に休憩を取るようにアラートを出すという仕組みだ。開発は順調のようで、次は路上でのテストが行われるようだ。

イギリスのノッティンガムトレント大学も同じようなシステムの開発を行っている。ドライバーのシートに心電計を組み込んで、運転者が眠くなったり疲労を覚えていることを検知して、運転者に休息するよう促すシステムだ。

どちらも普通の自動車に組み込んでしまって、運転者が特別なデバイスを身に着けたりすることなく、いつもと同じように車に乗り込んで運転すればよいように工夫されている。わざわざ機器を装着するのは面倒で、忘れることもあるし、何度か運転しても警告が出なかったら危険性に対する感覚が薄れて使わなくなってしまう可能性もある。

使用者が意識しないでも使えるようにデザインするのは難しいが、そこは開発者の腕の見せところでもありそうだ。ちなみに、5月に発表された「JINS MEME」は、自動車ではなく、人が身に着ける「メガネ」にセンサーを忍ばせることで同様の機能を実現している。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。