2014/08/06

ワシントンD.C.に歩きスマホ専用レーンが出現

歩道を歩行者用レーンと自転車レーンに分けている地区が日本にもあるが、ワシントンD.C.では、「携帯電話使用者レーン」と「非使用者レーン」に分かれた歩道が登場した。歩きスマホは本人にも周囲にも危険なので、専用レーンで歩いていただこうというわけだ。歩きスマホの人々のスピードがほぼ同じであるならば、速いレーン(非使用者レーン)と遅いレーン(携帯電話使用者レーン)にうまく分かれて歩けるようになるかもしれない。

このレーンは正規に導入されたものではなく、TVのナショナルジオグラフィックチャンネルが行った社会実験。携帯電話使用者レーンには、路面に「Cellphones Walk in This Lane at Your Own Risk」の大きなサインと、進行方向を示す連続した矢印(専用レーン内は右側通行)が一時的に描かれた。

TVクルーらが見守る中、大勢の人々が歩道を利用したが、サインに気がついた人は携帯電話やスマホを取り出して写真に収めたりしたものの、ほとんどの人はサインを無視した。特に歩きスマホの人々は、画面を見るのに忙しくて路面のサインに気づきもしなかったようだ。

結果は笑い話のようではあるが、こうしたレーンがあるという認識が広がれば、人々が利用し始めるのかもしれない。しかし、同時にそれは、社会が歩きスマホを一定の条件下で容認することにもなってしまう。

歩きスマホが社会問題となり始めたのはここ1、2年のことで、社会の認識はまだまだ定まっていない。日本では、携帯電話会社や鉄道会社などが協力して「歩きスマホはやめましょう」というマナーを浸透させるためにさまざまな施策を行っているところだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。