2014/07/29

離れていても手を握る感触を伝え合える触覚通信デバイス

ビートルズの名曲「抱きしめたい」の原題は、"I Want to Hold Your Hand"だから、正確には「抱きしめたい」というよりも「君の手を握りたい」とか「手をつなぎたい」ということだろう。その言葉のとおり、恋人同士や親子で手を握り合うと心がつながるように感じるものだが、遠く離れてしまえば電話で声を聞くとか、スカイプで見つめ合うのが精いっぱいだった。

「Frebble」は手でつかむガジェットで、片方を握りしめると、離れた場所でもう一方を持った人の手をガジェットが握ってくれる。つまり手を握る感触を、ネットを通じて伝え合う通信機器だ。2つのセンサーで握りを感知し、2つのモーターで握りを生成する。スカイプやフェイスタイム、Frebbleのアプリを介してつないで使う。音声(聴覚)、映像(視覚)に加えて、手を握る感触という触覚での遠隔コミュニケーションが可能になるわけだ。現在、Kickstarterで資金調達を行っており、2個1セットが99ドルで、2015年1月発売予定だ。

開発したのはオランダのHolland Haptics社。300人対象のテストでは、5歳から12歳くらいの子どもと親からポジティブな反応があったらしい。離れて暮らしていなくても、忙しくて平日なかなか一緒に過ごせない親子や、なかなか会えない孫と祖父母とがパソコンやスマートフォンの画面越しに「手」を握り合うことは、握っているのが機械だけにちょっと奇妙な気もするが、それでも心地よい体験なのだろう。評価テストに参加した親には、買いたいと感じた人が多かったようだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。