2014/07/28

外国語コンプレックスは過去のものに? チャットから通話に広がる機械翻訳

世界に億単位の利用者がいると言われている中国発のインスタントメッセンジャー「WeChat(中国名は微信)」が、チャットに翻訳機能を追加した。まずiOS版で提供され、6月にはAndroid版にも機能追加されたもので、メッセージの文字を長押しして"Translate"の文字を叩けば、外国語のメッセージを母国語で表示してくれる。中国語、英語、フランス語、日本語など20カ国語に対応。機械翻訳なので完璧とは程遠いものの、ある程度の意思疎通なら可能になる。

メッセンジャーの翻訳は以前から試されていて、Google Talkには数年前に翻訳機能があったし、スカイプには翻訳アプリ、LINEには"通訳"アカウントがある。Facebookにもbingの翻訳機能があって中国語も英語で読める。

これらはいずれもテキストの翻訳だが、音声通話の翻訳、つまりは通訳も人間ではなく機械がやってくれるようになってきている。

イスラエルのLexifoneは電話の会話を機械が通訳してくれるサービスを提供している。料金は10ドルで60分間、あるいは1カ月間使い放題で40ドルから(同時通話回線数によって料金は異なる)。国内アクセスポイントまでの通話料は負担しなければならないが、料金には国際電話料金も含まれる。対応言語は16言語で、残念ながら現時点で日本語は未対応(近々対応予定)。また、マイクロソフトは5月に、スカイプトランスレーターを年内にベータ版提供すると発表した。翻訳の精度については、いずれに対しても、100パーセントとは言えないが十分といった表現をする記事が多い。

2020年に向けて、日本には多くの観光客がやって来るはずだ。6年後ともなれば、人々がどういったデバイスを使っているか予測は難しい。ちなみに6年前の2008年はiPhone 3Gが発売された年だが、6年後にここまでスマートフォンが広がっていることを予想していた人は少なかっただろう。2020年には、スマートフォンの進化形を駆使して道案内する人やレストランなどで「会話」する人が全国各地で見られるのかもしれない。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。