2014/07/24

テレビを見ているときの表情から、視聴者の感情を解読

テレビ関係者は、視聴率で一喜一憂するのがならいだが、%で数字を表示するだけでは、視聴者の気持ちまでは測れない。同じドッキリ企画でも、笑うだけの人もいれば、嫌悪感を覚える人もいるはずだし、制作者側が視聴者に感動の涙を流させようとした場面が冷ややかに受け取られることもあるはずだ。

放送メディアも双方向性を増してきているが、放送局から視聴者に向けて流される情報量がまだまだ膨大で、視聴者からのフィードバックは少ない。一部の視聴者はツイッターなどに熱心に感想を書き込むが、大多数の受け身な視聴者の気持ちを効果的に調べるのは難しい。

そんな課題に挑戦するのが、ロンドンのスタートアップ、クラウドエモーション社(CrowdEmotion)がBBCと組んで行なっている表情分析による感情リサーチのトライアルだ。視聴者200人を募り、テレビ番組を見ているときの顔をウェブカメラで撮影して、目や口などの動きから、幸せ、悲しみ、驚き、恐れ、怒り、嫌悪などの感情を解読するという。今後は、ロシア、オーストラリアなど8カ国にこの実験を展開し、BBCの番組を見る各国の視聴者の反応を継続的に調査していくようだ

ちなみに、クラウドエモーションという社名のクラウド(crowd)は群衆とか観客という意味なので、社名全体では「みんなの感情」といった感じだろうか。感情を解読するのに脳科学の知見を使っているそうだ。

同社の技術はテレビのほか、ネット広告の効果測定にも使える。また、赤ちゃんの顔をスキャンすれば空腹や疲労などを表情から読み取ることが可能らしく、ベビーフード会社への技術提供の話もあるようだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。