2014/06/23

オンラインショップでぴったりフィットするサイズの服を見つける

Eコマースの黎明期には、ネット通販で服や靴を買う人なんかいないと言う人が多かった。CDとか書籍のように、どこで買っても同じものなら実物を見ないでも買うだろうが、衣料では、布地の肌触りを指で確かめたり、試着してサイズやフィット感を確かめたりしない限り、ブラウザで小さな写真を見ただけでは買うわけがないと言われていたものだ。

しかし、Zapposが1999年に返品無料で靴のネット通販を始めて急成長し、その後、服でも無料返品・交換を打ち出すサイトが追随してアパレルの販売額も増えた。しかしその結果、返品も増えてしまった。服の場合、40%が返品されているという記事もある。

コペンハーゲンのスタートアップ企業、Fitbayは、身長は平均的なのに胴がやたらに長いためにネットでの買い物に手こずっていた創業者が、6月にスタートしたショッピングサイト。利用者は体型のタイプを登録する。体のサイズや形に関するいくつかの質問に答えると、女性なら砂時計、洋ナシ、トウモロコシ、リンゴ、ストレートのいずれか、男性は三角形、逆三角形、卵型、幅広、円柱のどれかに分類され、総数200万点以上のアイテムの中から、体型にフィットするものだけが提示されるので、どれを選んでもハズレがない(はず)という仕組みだ。同じ体型タイプの人が好きな服を見たり、選んだ服への評価を参照するといったソーシャル機能も売りだ。

ベータ版提供の3カ月間で万単位のユーザ登録があり、毎月110%のペースで成長したそうだ。現在のところアフィリエイト収入が財源だが、どの体型の人はどのブランドのどんな製品を好むかといったデータが集まれば、それも収入源になるのではないかと期待しているようだ。

また、バーチャル試着室というアプローチでは、Fits.me、True Fit、Virtusize(日本のディノスと提携)などいろいろな試みがなされているが、いずれも返品率を下げたいという、売り手側と買い手側に共通する課題解決を目指している。

将来は、サイズ違いによる返品を減らすために、登録会員には格子縞の下着の上下を1セット送付し、顧客がそれを着た自撮り写真をアップロードしたら体型とサイズをデータ化して、以後の注文は自動的にフィットするサイズを選択してお薦めする、といったサービスが考えられるかもしれない。スマートフォンが普及しているので、この分野には、カメラとアプリを使ったアイデアがまだまだ出てきそうだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。