2014/06/12

ウィキペディアの医療情報に米研究者チームが警告

医療や健康に関する情報をネットで調べる人は多いが、不正確な記述が90%も見つかったという研究結果が発表された。アメリカの研究者チームが心臓病、がん、うつ病、高血圧、腰痛、糖尿病など、アメリカにおける2008年の医療費支出調査で最もコストがかかる10の疾病を選んで、ウィキペディアの記述の正確性を調査した。ウィキペディアは記載内容がどんどん変わるので、2012年4月25日を選んで、その日の内容をプリントアウトして無作為に割り当てた内科の研修医2人に調べさせたそうだ。

専門家による審査を受けた論文などの情報源とウィキペディアの記述を比べると、脳震とうに関する内容には誤りが見つからなかったものの、他の9つについては不正確な内容があった。

2001年1月のスタート以来、285言語、3,150万エントリーに達しているウィキペディアには、少なくとも2万件の健康・医療関係の記事があるそうだ。研究結果では、医療関係者に対して、ウィキペディアを主要な医療情報ソースとして使うべきではないと警告している。

一般の人々も自分や家族の健康・医療に関する情報をネットに求めるケースが多いが、善意からであっても審査を経ずに書き込んだ内容を鵜呑みにするのは危険ということだろう。注意すべきはウィキペディア上の医療情報に限らない。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。