2014/05/29

スマートフォンでアルコールの誘惑を断ち切る

常に持ち歩くことが前提のスマートフォンには、さまざまな応用事例が生まれている。例えば、行きつけの飲み屋に近づくと、携帯電話に「危険地帯」だとアラートが届く。思わず酒場に近づいてしまっていた人が、自分が治療中であることを思い出して、その場を離れる。そんなアプリも開発されている。

アルコール使用障害(精神障害が併存するアルコール依存症)の治療施設から出た人は、再発率が高いにも関わらず、継続したケアを受けることが難しいそうだ。アメリカのウィスコンシン大学マディソン校の研究者らが開発中のスマートフォン用アプリは、「危険地帯」接近を警告するほか、音声ガイドでリラックスする機能や、支援者や同病の人々の助けが必要な場合に押す「パニックボタン」、飲みたい気持ちをそらすためのゲームなどが入っている。30年の研究成果に基づいて開発されたアプリで、350名ほどの患者が一年にわたって試用し、効果が確認されたそうだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。