2014/05/27

この子を探してください! 顔照合で迷子のペットを探すアプリ

PiP

顔照合技術は、プライバシー侵害を危ぶむ人々から評判がよくない。デジタルサイネージや自動販売機の前に立ったら、カメラで顔写真を撮られた上に、性別や年齢層を推測されてしまう。それらに合わせた広告を見せられるくらいならまだしも、個人が特定されて、いつどこにいたかまで記録が残るとなると、パパラッチを警戒するセレブリティ―でなくても気楽に外出できなくなる。

しかし、逃走中の被疑者を探すときには、録画された防犯カメラの厖大な映像を捜査員が目で確認するよりも、顔照合の技術を使う方が効率的に違いない。そんな顔照合技術を迷子のペット探しに応用しているiPhoneアプリが「PiP(Positive identification of Pet)」だ。行方が分からなくなったペットの顔写真をアップロードすると、シェルターなどで保護されているペットの情報と照合してくれるほか、アンバーアラート(行方不明情報の緊急広報)を出して世間の注意を喚起してくれる。

バンクーバーのPetRecognition社が作ったこのPiPの顔照合技術は、犬や猫を98%の確率で識別できるという。アプリ自体は無料だが、利用には月額1.49ドルの料金が必要。売上の2%はペット救済のチャリティーに寄付されるという。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。