2014/05/21

アメリカよりもSNSが利用されている国は?

アメリカのシンクタンク、ピュー研究所(Pew Research Center)が、途上国でのSNS利用率を発表した。インターネット利用者の中でSNSを使っている人の割合を調べたものだ。FacebookなどのSNSは友達や家族との連絡を保つために、かつての手紙や電話の代わりに使われることもある。インターネットの普及率が低ければ、SNSで連絡をとる相手が少なくなってしまうため、単純な比較はできないが、ソーシャルメディア発祥の国であるアメリカ(73%)よりも利用率が高い国が数多くあることが分かった。

この調査の対象国の中でアメリカよりも高かった国を列挙すると、88%のエジプト、86%のロシアに次いで、フィリピン、チュニジア、インドネシア、ヨルダン、ベネズエラ、ナイジェリアが80%以上。トルコ、ガーナ、メキシコ、チリ、マレーシア、ケニア、アルゼンチン、エルサルバドル、セネガルもアメリカより高く、ブラジルが73%でアメリカと同じ。

こうした順位は、単に国民性が社交的かどうかといったことだけでなく、政治経済や社会情勢、言論の自由の度合いなど、さまざまな条件を反映しているものと思われる。ピュー研究所の調査によれば、途上国のネット利用者はPCではなくスマートフォンや携帯からの利用が多く、ストリーミングの視聴などではなく、テキストメッセージのやり取りやSNSへの書き込み、写真の撮影と交換が主な用途となっているそうだ。

また、途上国でのSNSの用途は、家族や友達との連絡のほか、政治や宗教、文化など幅広いトピックスに対する意見の交換となっている。現実の生活の厳しさとストレスが、人々をネットでのつながりに向かわせるのではないかという分析もある。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。