2014/05/14

オンラインで利用できる収納サービスで、都会暮らしを快適に

クリストフ・マシューズ(Kristoph Mathews)氏は子どものころから引っ越しを繰り返し、東京やバンコクなど世界各地の大都市に住んだ経験から、新たな事業を思いついた。その事業「Boxbee」は、個人や企業の物品を預かって収納するサービスで、いわゆるトランクルームなのだが、随所にさまざまな工夫がなされている。

利用者はまず、預ける物品の大きさや量から、Boxbeeのサイトで箱の数と届けてもらいたい日時を指定する。鮮やかな黄色のプラスチックの箱は、底面が約42×52cm、上面が約48×61cmで高さは約30cmの1サイズのみ。Boxbeeはこの箱に入るものしか預からない。思い出の品や普段使わないが捨てられない物を箱に入れて写真を撮って、箱と対応させておく。再び同社サイトで引き取りに来てほしい日時を指定すると、Boxbeeのスタッフが受け取りに来て、浸水や漏水対策を施した倉庫に積み上げて収納する。大きさが一定の箱を使うことで、収納効率が上がる。野球のバットやギター、自転車などを預かってしまうと、倉庫は雑然としてしまうが、同じサイズの丈夫な箱なら簡単に積み上げられる。取り出したい場合もサイトから連絡すれば数時間で届けてくれるという。

価格は月に6ドルから7.5ドルで、専用箱の配達とピックアップは無料。ただし、取り出しには1回15ドルに加え、1箱につき2ドル(例えば2箱取り出すなら19ドル)かかる。家具やゴルフクラブなど、標準の箱に入らない物を預かるサービスも、今後提供予定があるようだ。

書類を捨てられない法律家、Airbnb(空き部屋の賃貸借プラットフォーム)で家を他人に貸す間だけ大事な物を預けたい人など、用途はさまざまにありそうだ。自宅に大きな収納場所を確保するには都会は家賃が高い。Boxbeeは自社を単なるトランクルーム業者とは捉えておらず、都会生活や商業活動を快適にすることをミッションに掲げている。箱の預かりサービスは、現在のところ同社の地元のサンフランシスコとニューヨークのみだが、今後は世界展開を視野に入れている。

昨年12月には、「シェアリングライブラリー」というサービスを始めた。これは友人同士で物品を貸し借りできるようにする機能で、例えば、アウトドア用品やパーティーグッズなど、ときどきしか使わない物をBoxbeeに預けておき、貸し借り可能な物の写真を友達に公開することで、友達に物を貸す際の運搬をBoxbeeが代行してくれるというものだ。自分で引き取って貸すのに比べれば手間がかからないし、通常は何を預けているかなんて友達には知らせない。インターネットだからこそ可能なサービスともいえるだろう。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。