2014/05/08

ピザの注文はスマートなテーブルで

ピザのデリバリーといえばアメリカが本場。店でピザを食べる人も多く、ランチタイムにはとても混雑する。注文してから焼き上がるまでの待ち時間にお客が退屈しないよう、ピザハット(Pizza Hut)では昔、テーブルがゲーム機になっていたらしい。

これを現代の技術で蘇らせようとするのが、Chaotic Moons Studio社。タッチスクリーン式ディスプレーでテーブルを作り、お客が店のテーブルでピザを楽しく注文することができるシステムを製作した。ピザハット向けにデザインしたこのテーブルは、現時点ではコンセプト段階で実用化時期などは不明だが、一緒に食べる仲間や家族、恋人と一緒に画像を見ながら生地を選び、サイズを決めて(実物大だからイメージしやすい)、ソースやトッピングを指先の操作で選んで注文できるから、実際に導入されれば人気を集めるのではないだろうか。トッピングの種類や量が思いのままということになれば、決められたメニューとは違う理想のピザを構成することも可能だ。

サイドメニューやドリンクを選んで注文したら、NFC(近距離無線通信)でスマートフォンを連携させて支払いができる。そうすると厨房にデータが送られ、調理が始まり、出来上がるまでの予想時間がテーブルの画面に表示される。テーブルでは、プリインストールされているゲームで遊びながら待っていることもできるし、スマートフォンのゲームを大きく表示して遊ぶこともできる。ピザが来るまで退屈せずに過ごせるので、子ども連れには助かるだろう。

店舗からみれば、紙のメニューよりも導入にはコストがかかるが、メニュー変更は容易になる。時刻や天候などで値段を変えたり、トッピングの種類を増減させたりすることも簡単にできるようになる。さらに、注文を取るために店員がテーブルまで出向く必要がなくなる。混雑時など、オーダーを取るためにテーブルまで行っても、なかなか注文を決められない客が多いと、相当な時間のロスになる。また、画面には広告を流すことができるし、ピザ以外のものを販売することもできる。お客の待ち時間をお金に変えられるとなれば、意外に早く導入が進むかもしれない。

既に日本の飲食店にもタッチパネルで注文をできる店ができているが、近いうちに、飲み物や料理が届くまでテーブルでゲームしたり、映画の予告編を見るようになる日がくるのだろうか。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。