2014/04/24

指輪とブレスレットで手話を翻訳

加速度センサーなどを組み込んだウエアラブルトラッカー(活動量計)市場が活況を呈しているが、その多くはランニングやウォーキングなどの運動を記録することが目的だ。だが、同様の仕組みを使えば、手と指の動きを計測して、手話を言葉に変換する装置が作れるかもしれない。

台湾の亞洲大學(Asia University)のチームがコンセプトを発表した「手話リング(Sign Language Ring)」は、指輪とブレスレットを用いて、装着した人の指や手の動きの意味、すなわち手話をテキストに翻訳して、ブレスレットに内蔵したスピーカーから音声で流してくれる。これを使えば、手話の分からない人にも手話で意思を伝えることができるようになる。その逆に、音声をテキストに変換してブレスレットのLEDに表示することもでき、読唇術によらずに相手の言葉を読むこともできる。

手話リングは、6つの指輪と1つのブレスレットで構成され、指輪は左右の手の親指、人差し指、中指にはめる。特定の指の動きに適切な言葉をあらかじめ割り当てて登録しておくことも可能だ。実用化にはまだまだ課題があるようだが、基本的にはモーションセンサーや自動翻訳など、既存の技術の組み合わせなので、実現すれば、手話を分かる人と手話が分からない人との間のコミュニケーションは格段に手軽になるはずで、ウエアラブルデバイスの新たな可能性を開くものといえよう。ちなみに、手話リングのアイデアは、数珠を使う手の動きからヒントを得たそうだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。