2014/04/17

顔文字を、脳は顔と認識していた (^o^)

1982年、カーネギーメロン大学のコンピュータサイエンスのメッセージボードに、Scott E. Fahlman教授が、コロンとマイナスと括弧を組み合わせて、横向きになった笑顔のようなものを表現して投稿した。これが、後にスマイリー(smiley)とかエモティコン(emoticon)と呼ばれるようになり、バリエーションも増えてくる。「 :-) 」や「 ;-) 」などの、いわゆる「顔文字」の誕生である。その後、日本でも顔文字は独自の進化を遂げ、\(^o^)/といったような、感情や情景、メッセージを伝えるさまざまな顔文字が生み出され、今日でも広く使われている。携帯電話からスマートフォンにまで広がった絵文字も、顔文字から生まれたものだといわれている。

オーストラリア・アデレードのフリンダース大学のオーエン・チャーチーズらの研究によると、人間の脳は顔文字を顔として認識し、反応することが確かめられたらしい。使われ始めた当初は、顔文字を顔として認識する人はいなかったし、生まれたばかりの赤ん坊も顔文字を顔とは思わない。しかし、使い慣れている人が文章中に顔文字を見ると、脳の中の、人の顔を見ると反応する部位が反応し、N170と呼ばれる脳波成分が発生する。

この論文によれば、「 :-) 」を見せた時には顔を見たときの反応が出るが、左右逆向きに並べただけの「 (-: 」には反応がなかったという。つまり、顔文字に慣れてくると、脳の「配線」が変化して、次第に顔だと受け取るようになるが、見慣れていないものは、そう受け取らないということだ。顔文字の中には、初めて見たときには、何を表わしているのかわからないものもある。それでも、一度、認識すると、以後は顔にしか見えなくなるという経験をしたことがある人は多いだろう。普段は、横向きのスマイリーを使わない日本人には、「 :-) 」は顔として認識されないということになる。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。