2014/04/15

子どものためのソーシャルメディア利用ガイド

子どもにスマートフォンを与えるに当たって、ソーシャルメディアとの接し方は大変気になるところだ。ニューヨーク市の公共学校を管轄するNYCDOE(ニューヨーク市教育局)は、生徒のためのソーシャルメディア・ガイドラインを作成して公開している。その内容は、ニューヨーク市の生徒でなくても参考になるのではないだろうか。

ガイドラインは、単にプライバシー侵害やネットいじめなど負の側面だけに注目して禁止事項を羅列しているのではなく、例えば、ソーシャルメディアは教室の延長として学びの場として価値があることを認めた上で、教室の中にルールがあるように、ソーシャルメディアを利用する場合にもルールがあることを強調している。

教室でクラスメートを皆の前でからかったり、好き勝手に振る舞ったりはできないのだから、オンラインでも同じこと。誠実でなくてはいけないし、プライバシーを守らなければならないし、ネットいじめを受けたり、見つけたりしたら、両親や先生など身近な大人に報告して助けを求めなければならない。適切な相談相手がいない場合や緊急時には911(日本の110番/119番)に電話する。教育局の連絡先は校内のポスターに掲示してあるようだ。いじめてくる相手を友達から外し、不適切なコンテンツを送ってくる相手をブロックして、メッセージなどの内容は報告の際の証拠として保存しておく。

そもそも投稿の前にはよく考えるべきだし、なるべく皆に良い印象を持ってもらえるようにするべきだ。偽名で投稿すれば大丈夫というのは誤解で、本人を特定する方法はいくらでもあるから、責任ある発言を心掛ける必要がある。大学や企業は、学生時代のオンラインでの行動を入学や採用の際に調べるので、ソーシャルメディアでの言動は将来の自分にも影響する。プロフィールに使う写真やアイコンも慎重に選ぶべきだ。家族が実はいちばん助けになるパートナーだ。学校のPCを使う場合はブラウザを閉じるだけでは不十分で、必ずログオフすること。知らない人からの友達リクエストは基本的に受けない方がよい。もし、ネットで知り合った人と実際に会う場合には両親に相談してからにする。

こうした行動の指針が8ページほどの簡潔な文書にまとまっている。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。