2014/04/02

宇宙ステーションの技術で肺がん検査

Vantage Health社(カリフォルニア州Redwood City)は、NASAと独占契約を結び、国際宇宙ステーション用に開発された化学物質センサー技術を応用して、モバイルヘルスケア製品を開発している。危険なガスが宇宙ステーションのクルーキャビン内にないか検査するためのセンサーを使って人の呼気(吐く息)を調べると、肺がんの有無が分かるという。

プロトタイプ版はスマートフォンとBluetoothでつながるデバイスで、アルコール検出器のような形状。揮発性有機化合物(VOC)をガスクロマトグラフィーと質量分析法により検出する。「Vantageヘルスセンサー」と呼ばれるこのデバイスは、肺がん患者の呼気に特有なVOCを検出することができるそうだ。今後、別の病気診断への応用も模索していく。

Vantage Health社は、サンディエゴのScripps Translational Science Institute(STSI)と提携し、センサーの有効性の検査をSTSIに委託している。STSIは、サインディエゴにある全米有数の医療機関であるScripps Healthが設立した研究機関で、 モバイルヘルスケアへの関心が高まっていることを反映して、このセンサーに限らず、Scanadu社の家庭用診察装置「Scout」、AliveCor社の心電計、Withings社の血圧計、Sanofi社の血糖値計、iRhythm社の心拍計「ZIO」など、数々のモバイルヘルスケア企業の製品の検査を受託している。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。