2014/03/31

貼るだけでデータを読み書きできる付箋のようなメモリー

付箋のように手軽に使えるメモリーの登場が待ち遠しい dataSTICKIES

USBメモリーやSDカードの登場で、データの持ち歩きはずいぶん便利になってきた。容量もムーアの法則に従ってどんどん増え、今や1テラバイトのUSBメモリーまで登場している。それでも、まだまだ手軽というところまではいかないと思っている人もいるのではないだろうか。けれども、インドのニューデリーを拠点とするAditi Singh & Parag Anandが発表した「dataSTICKIES」が実用化されれば、そうした面倒は一切なくなるかもしれない。

dataSTICKIESは、薄い付箋(スティッキーズ)のような形をしたデータメモリーだ。データの読み書きは、ODTS(Optical Data Transfer Surface)という、デバイスの前面に取り付けたパネルにdataSTICKIESを貼り付けるだけでできるようになっており、この機能については実用化に向けた特許も申請中とのことだ。メモの部分は3つの層になっていて、表面のカバーの部分はデザインや色を変えたり、メモを書き込むこともできる。ちゃんとノリも付いているので、パソコンやスマホ、ノートに貼り付けておいて、必要なデータをサッとはがして、別のデバイスでスッと読み込ませればいい。容量の少ないデバイスでも拡張しやすくなるし、写真や書類などデータの受け渡しも簡単だ。直接読み込むので、クラウド経由よりも速く、ネットがない場所でも使える。

見た目の色や柄などのデザインもいろいろバリエーションが提案されていて、2〜32GBまで用途に合わせて容量も選べる。価格がリーズナブルになれば、定期的にバックアップデータ保存して、カレンダーに貼っておくといったこともできるし、商品カタログや会社案内に必要な写真やデータを貼り付けて渡すなど、使い方のアイデアはいくらでも広がりそうだ。

dataSTICKIESは、ありそうでなかった革新的なコンセプトと技術の提案で、昨年、優秀なデザインプロダクトなどを表彰する国際デザインコンペのred dot design awardで表彰されている。やや気になるのはセキュリティ面で、ここまで手軽になると、うっかり落としたり、紛失しても気がつかない可能性もある。その点については、製品化される際に改良されることを期待しておこう。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。