2014/03/28

南アフリカのモバイルキャリアMTN、ウィキペディアへのアクセスを無料化

南アフリカ共和国のモバイルキャリアであるMTNが、自社の加入者向けにウィキペディアへの無料アクセスを2月から提供開始した。

昨年、Wikimedia基金がケープタウンのSinenjongo高校のGrade12(義務教育最終学年の18歳)の生徒を出演させて作った映像と公開書簡で、学業に資するためにウィキペディアへのアクセスの無償化を求めていたのだが、Vodacom(英ボーダフォン系)、MTN(南アフリカ資本)、Cell C(サウジアラビア資本)、8ta(国営のTelkom Group傘下)の4社のうち、MTNだけがこれに応えた形だ。

生徒の多くは、コンピューターに触れたり、図書館設備にアクセスしたりすることが難しい環境で勉強しているが、南アフリカの携帯電話普及率は高く(2011年末時点で人口比126.8%)、高校生も9割ほどが携帯を持っているという。しかし、ウィキペディアなどインターネットにアクセスすれば、その分の通信費がかかる。MTNは高校生に限定せず、全加入者に対してウィキペディアに限って無料アクセスを提供している。MTN以外の3社に対しても同様の対応を望む声が多い。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。