2014/03/14

カリフォルニア州でスマートフォン、タブレットへの『キルスイッチ』義務化法案

iPixel By FrancisCC:BY

サンフランシスコでは強盗事件の被害に遭う金品の半分、対岸のオークランドでは75%がスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスで、ロサンゼルスでもこの比率が上がっていることから、「キルスイッチ」の実装を義務化する法案が、2月7日にカリフォルニア州議会に提案された。

2015年1月1日以降にカリフォルニア州で販売されるスマートフォンとタブレットPCはすべて、「デバイスを正当な権利を持つ所有者が所持していない際に、当該デバイスを動作不能とする本質的機能を提供する技術的な解決策」を持たなければならない。要するに、奪われたら動かなくなる「キルスイッチ(kill switch)」を、ハードウエア的、ソフトウエア的、あるいは両方で実装せよ、ということだ。

法案自体はキルスイッチを具体化する技術を特定しておらず、メーカーや通信キャリアに委ねられているが、スイッチを「押す」と、通話もインターネットアクセスも、アプリケーションの起動もできないようにしなければならない。

当然といえば当然だが、キルスイッチは、ハードリセットや工場出荷状態に戻すといった、もともとデバイスに備わっている機能で無効になってはならない。本来のユーザーには、キルスイッチそのものを無効にする権利が留保されるようだが、小売店などが無効化をサービスで提供することは禁じられる。キルスイッチのないデバイスを売ると、1台につき500ドルから2,500ドルの罰金の支払いを命じられる。こうした機能によって、デバイスを奪う側のモチベーションを大きく引き下げることが目的だ。

デバイスの強奪事件は全国的な問題らしく、カリフォルニア州で法案が通れば、他の州へ波及する可能性も十分にあるとのことだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。