2014/03/10

パノラマ、部屋撮り動画へ広がる『セルフィ』ブーム

「Selfie360」はパノラマ、ポートレート、フルという3つのモードで自分撮りができるアプリ

「CES 2014」には、「Soloshot」をはじめ、自分撮り用ビデオカメラが多数出展されていた

自分撮りを意味する「Selfie(セルフィ)」が海外でも注目を集めている。デジカメやモバイルのカメラを自分たちに向けて撮影することを意味する言葉だが、2013年には日本の流行語大賞にあたる「Oxford Dictionaries Word of the Year」にも選ばれている。単語そのものは2000年ぐらいからあったそうだが、オバマ大統領が、マンデラ元南アフリカ大統領の追悼式で、イギリスやデンマークの首相と自分撮りをしていたことがニュースで報道されたことから、一気に世界でも認知されるようになった。

セルフィブームに乗って、その名も「Selfie360」という無料アプリが登場した。アプリのガイダンスに従ってカメラを移動させるだけで、自分の顔や姿を入れ込んだ短いGIFムービーが簡単に作成できる。ポートレート、パノラマ、そして、誰かに自分の姿を360度撮影してもらうフルの3つのモードが用意されていて、専用サイトにも投稿できる。自分撮りには付きものの問題のある作品は、公開前にスタッフの確認によって選別するとしており、すでにたくさんの自分撮り画像がアップロードされている。

さらにセルフィを加速させそうなのが、日本でも2月に発売されたゲーム機「Play Station 4(PS4)」だ。PS4にはカメラ付属モデルがあり、もともとは、プリインストールされている「プレイルーム」というゲームと、Kinectのように自分の動きをカメラでキャプチャーしてプレイするためのものなのだが、さっそくゲームとは関係なく自分撮りに使うユーザーが現れ、話題になっている。PS4は、世界での累計実売台数が600万台を超えており、そのうち5人に1人がカメラ付きモデルを購入したとすれば、自分部屋撮りができる環境が一気に100万以上も出来たことになる。実際、ユーチューバーと呼ばれるYouTubeの広告収入で稼ぐ動画クリエイターの中には、自分撮りの番組やミュージックビデオで人気になるケースが多い。手軽に撮影できるPS4用カメラを使って、一獲千金を狙う人がさらに増えるかもしれない。

他にも、専用のリストバンドを付けると、その位置を追尾して自動で撮影してくれる「Soloshot」をはじめ、自分撮り用のビデオカメラはCESでもたくさん展示されており、しばらくセルフィブームを狙った製品やサービスの登場が続きそうだ。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。