2014/01/28

生活習慣の改善を促してくれる糖尿病管理アプリ

個人別に摂取する栄養素や調理方法に関するヒントがテキストメッセージで送られてきて、服薬や通院、血糖値測定のリマインダーも送られてくるほか、体重の変化をトラッキングしてエクササイズの目標達成度を知らせてくれる「Care4life」は、糖尿病患者のためのモバイル・アプリだ。ポーラという名の女性がコーチ役を務めてくれて、患者を指導してくれる。

糖尿病患者向けアプリはすでにたくさん存在するが、そのほとんどは、体重と血糖値を記録することに焦点が当てられている。患者がするべきことをアプリがサポートするという発想で作られているためだ。しかし、Care4lifeは、医師が本当に指導したいのは生活習慣の改善であって、体重や血糖値はその結果なのだから、行動変化の方に注目すべきだという考えで作られている。コンテンツは全米糖尿病学会(American Diabetes Association)から提供を受けた。

Care4lifeを提供するのは、1月21日に紹介したVoxiva社で、禁煙サポートの「Text2Quit」や、妊婦と新生児を持つ母親向けの「Text4Baby」など、テキストメッセージを活用して生活習慣の改善などを企業や医療機関向けに提供してきている。これまではSMSを利用してきたが、Care4lifeはモバイル(iOSとAndroid)用アプリでの提供となっている。

糖尿病は自覚症状がほとんどないため、食事の内容を改めたり、きちんと服薬したりすることが難しいとされている。薬の飲み方も食事の30分前に飲むなど忘れずに実行するのが難しい。甘く見て病状が進むと深刻な事態になりかねない病気だけに、医師や薬剤師の指導を補強する仕掛けが必要になる。

ちなみにポーラさんは架空(仮想)の人物で、メッセージを送っても返事はしてくれないらしい。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。