2014/01/21

薬に頼らない禁煙プログラム

禁煙「治療」に保険がきくようになってから、医療機関で禁煙プログラムを組んで禁煙補助薬を処方される人が増えているようだ。一日一箱吸っている人の場合、治療期間の費用はタバコ代よりもずっと安いと宣伝されている。

ワシントンDCのVoxiva社(2001年設立)が2011年から提供しているショートメッセージを使った禁煙プログラム、「Text2Quit」(text to quit = やめるためのテキストメッセージ)の登録者が75,000人を超えた。開始から6カ月間での禁煙の成功率は32%だそうだ。利用者のエンゲージメントは強く、83%の人が受信メッセージのすべて、あるいはほとんどに目を通したという。SMSだけでなく、今後はスマートフォン用アプリやモバイル向けウェブサイトにも拡大していく計画だ。

Voxivaはインタラクティブなモバイルヘルス関連サービスを提供する企業としては老舗の一社で、最も有名なのは妊婦向けのショートメッセージによる情報提供サービスである「Text4Baby」だ。妊娠中の、特に若くて知識の乏しい女性に対して、注意すべき事項などを広く伝える「放送型」のText4Babyに比べると、禁煙プログラムのTaxt2Quitでは双方向性が重要になるという。禁断症状と闘うためには、コーチ役も必要になる。Voxivaでは、2つのプログラムの経験を組み合わせて、禁煙しようとする妊婦を支援するプログラムも開発中だ。

Text2Quitの開発にはジョージワシントン大学メディカルセンターが協力している。顧客は個人ではなく、企業や自治体の健康管理部門などの法人となっているから、日本から試してみるのは難しいようだ。

著者:信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発にあたる。現在はビジネスアーキテクツ社にてモバイルヘルス分野の新事業立ち上げに従事。同志社大学ビジネススクール嘱託教員として「技術開発と事業化戦略」を担当している。