2014/01/20

“どこでもタッチディスプレイ”を実現する技術

Ubi Displayのアプリケーション開発画面(提供:John Hardy)

Googleやサムスン、ナイキや日産までもが立て続けにウエアラブルデバイスを発表し、いよいよ本格的な情報ユビキタス時代が到来しようとしている。すでにスマートフォンや腕時計以外にも、クルマやキッチンなどから、いつでも情報にアクセスできるような技術が実用化されており、さらに今後期待されているのが、本当の意味でどこからでも情報にアクセスできるようになる技術だ。

その一つの答えとなりそうなのが、イギリスのランカスター大学の学生であるJohn Hardyが提案する「UbiDisplays」というアイデアだ。身の回りにあるあらゆるものにタッチスクリーンを表示させて、そこから情報にアクセスしたり、コントロールできるようにするというもので、デモビデオでは、ベッドのヘッドボードをタッチして目覚まし時計をコントロールしたり、バスルームの壁に表示されたアイコンにお風呂のお湯の量を表示させたり、キッチンではレシピを教えてくれる動画を見ながら調理機器をコントロールしたりといった、SF映画のようなシチュエーションが紹介されている。

これらを現実のものにしてくれるのが、どこにでも投影してインタラクティブに操作できるタッチディスプレイ技術である。たとえば、テーブルに表示できるキーボードや、日本で開催されたCEATECで富士通研究所が参考展示していた「FingerLink」という、テーブルや紙に表示して操作もできるユーザーインターフェイスなど、一方向から投影できる技術は開発が進んでいるが、Hardyの研究はさらにその一歩先を進んでいて、両面から操作が可能な透明ディスプレイ(ホロディスプレイと名付けている)を開発している。

HardyはChris Bullという学生と一緒に、わずか11時間でこのホロディスプレイが製作できることを別のビデオで見せているが、作業は研究所のような特別な場所ではなく、普通の部屋で行われており、材料も一般に手に入るものだけである。Hardyは、UbiDisplaysのコードを公開しており、誰でもアプリケーションを開発できる。ディスプレイそのものも、透明ながら明るさはもちろん色もきちんと表示できていて、反応速度も実用的だ。ユビキタスディスプレイが身近に登場する日は意外に近いかもしれない。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。