2014/01/10

ロボティクスを進化させてきた14の技術たち

CEATEC 2013のホンダのブースに展示されていた「体重支持型歩行アシスト」技術のプロトタイプ

鉄腕アトム(1951年に初めて描かれた)が誕生すると設定されてたのは2003年4月。それから10年を過ぎても鉄腕アトムのような完全なロボットは誕生していないけれど、ロボティクス技術はずいぶんと進化し、バイオニックヒューマンの開発も実用化に近い段階まで進んでいる。ニュースサイトのMashableは、21世紀に入って注目を集めたロボティクスを取り巻く14の技術を時間を追って紹介している。

まず、2000年に本田技研が開発した2足歩行ロボット「アシモ」を紹介。1986年から2足歩行ロボットの開発に取り組み、デビュー以後も、走ったり、階段を昇り降りしたり、ダンスを披露できるまで進化させ、世界を驚かせてきた。現在では、でこぼこのある場所を走ったり障害物を認識する技術まで備えるようになり、義足のような体重支持型歩行アシストにまでその技術が応用され、10月に千葉市の幕張メッセで開催された展示会CEATECでは、そのプロトタイプが展示されていた。

2001年には、9月11日に米国を襲ったテロの被災現場で、人命救助のため、がれきの中を自動で探索する「PackBot」が話題になった。PackBotはその後もさまざまな災害現場に出動し、例えば、福島第一原子力発電所の事故現場の探索にも利用されている。

2004年には技術の進化はナノスケールにまで広がり、最初のナノボットが登場したのがこのころである。Nadrian Seeman と William Shermanが研究を進めているのは、DNA技術をベースにして2足歩行が可能な「ナノウォーカー」と呼ばれる技術で、将来的にはあらゆるナノボットを開発する基本技術になるであろうとしている。

2007年に入ると「i-LIMB Hand」と呼ばれるバイオニックな義手が登場する。世界で初めて市販された動力付きの義手でもあり、発売から1年で200人以上が装着したという。こちらの技術も現在大きく進化し、最新版のプロトタイプでは人体と神経をつなげて触感まで復元しようとさせている。さらに翌年に東大が発表した「E-Skin」はカーボンナノチューブを使った触感を伝える技術で、当時は自動車のハンドルに取り付けるといった用途のために開発されていたが、将来はバイオニック義手などと組み合わせて、より本物に近い義手を登場させるかもしれない。

2012年には脳に小さなチップを移植して、意志でロボットアームを動かす研究が成功している。身体が麻痺した患者をサポートする用途だ。今後は思考によるコントロールがポイントになりそうだが、義足についてはシカゴのリハビリテーション研究所が実用化を大きく進めているとのニュースもある。

最後に2013年の技術として、若田光一宇宙飛行士とともに宇宙ステーションへの滞在が予定されている日本のロボット「KIROBO」が取り上げられているが、個人的には榊原機械の「KID'S WALKER CYCLOPS」を紹介したい。子どもが乗れるほどのサイズの歩行型ロボットで、2011年から開発されており、2013年に入って、海外からも含めて注目を集めている。

著者:野々下 裕子(ののした・ゆうこ)
フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」、「DIME」、「App DIME」「ライフハッカー」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。