2022/04/22

Galaxy S22 / S22 UltraとA53の特長を解説!S21シリーズやA51、A32との比較も

auは2022年夏モデルとして、2022年4月21日にGalaxyシリーズのハイエンド5Gスマホ「Galaxy S22(ギャラクシー エストゥエンティツー)」「Galaxy S22 Ultra(ギャラクシー エストゥエンティツー ウルトラ)」を発売した。

・ハイエンドクラスモデル

Galaxy S22
Galaxy S22 Ultra

また、ミドルクラスモデルの「Galaxy A53 5G(ギャラクシー エーフィフティスリー ファイブジー)」を5月下旬に発売する予定だ。

・ミドルクラスモデル

Galaxy A53 5G

Galaxy S22は、2021年夏モデルのGalaxy S21 5G / S21+ 5Gの後継で、Galaxy S22 Ultraは、auでは取り扱いがなかったがGalaxy S21 Ultraの後継モデルとなる。またGalaxy A53 5Gは、auでは販売されていないGalaxy A52 5Gの後継、auモデルとしてはGalaxy A51 5Gの後継モデルだ。

Galaxy S22は、昨年度モデルからのスタイリッシュなデザインコンセプトを継承しつつ、その中身はGalaxyのフラッグシップシリーズらしく、順当にアップデートしている。ハイエンドなプロセッサ「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載したことでAI機能が強化。「AI消しゴム」機能で写り込んだ影やガラスの反射を除去したり、「フォトリマスター」機能で以前に撮影した写真を加工したりといったことも可能になった。

S22の外観画像

Galaxy S22 Ultraは、角張ったデザインになるなどGalaxy S21シリーズから大きく印象が変わっている。Galaxy Sシリーズとして初めて専用スタイラス「Sペン」を内蔵できるようにもなっており、むしろGalaxy Noteシリーズに近い印象だ。

S22 Ultraの外観画像

Galaxy A53 5Gは、ハイエンドモデルまでは必要ないが、カメラもディスプレイも妥協したくないという人に向けたモデル。とはいえ、スペックとしてはハイエンドに近いハイミドルスマホで、6.5インチの有機ELディスプレイはS22やS22 Ultraと同じ最大120Hzのリフレッシュレートに対応。背面カメラは6,400万画素のメインカメラを含む4眼構成で、そのメインカメラは光学式手振れ補正に対応する。

本記事では、auで発売した過去モデルとの比較を中心に、ハイエンドモデルのGalaxy S22 / S22 Ultraと、ミドルクラスのGalaxy A53 5Gについて、進化したポイントなどそれぞれの特長を紹介する。

Galaxy A53 5G、Galaxy S22、Galaxy S22 Ultra

【目次】

【ハイエンドクラス比較】本体スペック比較

最初に、ハイエンドモデルのGalaxy S22、Galaxy S22 Ultra、Galaxy S21 5G、Galaxy S21+ 5Gを比較していく。

Galaxyハイエンドモデルの比較表

まず、Galaxy S22とGalaxy S22 Ultraの違いを確認しよう。今回のGalaxy S22とGalaxy S22 Ultraでは外観やカメラの仕様、Sペンの有無など、いくつか異なるポイントがある。

Galaxy S22と前モデルのGalaxy S21 5G / S21+ 5Gでは、見た目に大きな変更は感じないが、全体的に角張ったGalaxy S22 Ultraのデザインは、かつてのNoteシリーズのような雰囲気になっている。また、Galaxy S21 5G / S21+ 5Gから特徴的なデザインになっている背面カメラ部は、Galaxy S22は踏襲しているものの、Galaxy S22 Ultraではレンズのみが出っ張るデザインに変更され、すっきりとした印象だ。

Galaxy S22とGalaxy S22 Ultraの背面カメラ部

そのカメラの仕様では、3眼のカメラ構成は変わらず、望遠と広角レンズで画素数が大きく変更になり、大型イメージセンサーの搭載により夜間撮影に強くなった。

プロセッサはGalaxy S22 / S22 UltraともにQualcomm(クアルコム)の最新スマホ向けチップセットSnapdragon 8 Gen 1を搭載。また、Galaxy S21 5G / S21+ 5Gでは対応していなかった5Gのミリ波にも対応する。5G通信で使われる周波数には、Sub 6とミリ波の2種類あり、Sub 6は4G LTEの延長として既存技術を利用したもので、ミリ波はSub 6よりも高速・大容量な通信が可能だ。

では、具体的な仕様を細かく見ていこう。

最新モバイルプロセッサSnapdragon 8 Gen 1搭載

プロセッサ比較図版

プロセッサはGalaxy S22 / S22 Ultra共通で、Galaxy S21 5G / S21+ 5Gの「Snapdragon 888」から、最新のSnapdragon 8 Gen 1に変更された。Snapdragon 8 Gen 1は、開発元のQualcommによると、Snapdragon 888と比較してCPUの処理性能で5%、グラフィックの性能は36%向上している。AIの処理能力も50%向上し、写真撮影時の画像処理能力の強化などカメラ機能のアップデートにつながっている。

メモリに関しては、Galaxy S22がS21 5G / S21+ 5Gと同じ8GB、Galaxy S22 Ultraはさらに大容量な12GBを搭載する。ストレージは、Galaxy S22 / S22 UltraどちらもGalaxy S21 5G / S21+ 5Gと同じく256GBで、microSDには非対応だ。使い方や使用環境にもよるが、写真をスマホ本体で管理するような使い方の場合には、クラウドストレージの利用を検討する必要があるかもしれない。

画面サイズ比較

画面サイズ比較図版

Galaxy S22の画面サイズは6.1インチで、GalaxyS21 5Gから0.1インチ小さくなった。Galaxy S22 UltraはGalaxy S21+ 5Gよりも0.1インチ大きい6.8インチ。Galaxy S22 / S22 Ultraともに、Galaxy S21 5G / S21+ 5Gと同じDynamic AMOLED(有機EL)を搭載する。

リフレッシュレート比較図版

画面のリフレッシュレートに関しては、Galaxy S22は、Galaxy S21 5G / S21+ 5Gと同じく48Hz~120Hzの可変リフレッシュレートに対応し、Galaxy S22 Ultraは、1Hz~120Hzと可変幅が増えている。リフレッシュレートは1秒間に画面を何回書き換えるかを表すもので、リフレッシュレート120Hzなら1秒間に120回画面を書き換えているということ。当然、リフレッシュレートが高いほど滑らかな表示になるが、そのぶんバッテリーの消費も増えてしまう。画面の高頻度な書き換えが必要ない場合にリフレッシュレートを1Hzまで落とせるGalaxy S22 Ultraは、Galaxy S22やGalaxy S21 5G / S21+ 5Gと比べ、省電力な利用ができる。

また、Galaxy S22 / S22 Ultraは「Vision Booster(ビジョンブースター)」という新技術に対応した。スマホ画面の明るさを自動調整するのは一般的な機能だが、Vision Boosterは明るさに加えてコントラストも周辺環境に応じて自動で調整してくれる。これにより、昼夜や屋内外などさまざまな場面でも自分で調整することなく見やすい画面になるということだ。

リフレッシュレート比較図版

本体サイズと重さ比較

本体サイズと重さ比較

Galaxy S22は、Galaxy S21 5Gから画面サイズが小さくなっているが、それに合わせて本体サイズも若干小さくなった。横幅は71mmで変わらないが、高さが6mm小さく146mmに。厚みも0.3mm薄い7.6mm、重さも168gと3g軽量化されている。

Galaxy S22 Ultraは、画面サイズが6.8インチと大きいだけあり、本体サイズも163×78mmと大型だ。とはいえ、Galaxy S21+ 5Gと比べると、それほど大きくなったわけではない。ただ、Sペンが収納されるぶん、厚みは8.9mmと1mm以上厚くなり、重さが229gとなっている。

AI機能が進化した背面カメラ

カメラ比較図版

高いカメラ性能で定評があるGalaxy Sシリーズだが、Galaxy S22 / S22 Ultraではさらにその機能がアップデートされた。

Galaxy S22の背面カメラはGalaxy S21 5G / S21+ 5Gと同じ3眼構成だが、超広角は1,200万画素で変わらないものの、広角が1,200万画素から5,000万画素にアップ、望遠が6,400万画素から1,000万画素に変更された。Galaxy S22 Ultraは1億800万画素の広角に1,200万画素の超広角、1,000万画素の光学3倍望遠と光学10倍望遠の4眼構成だ。

両機種とも広角カメラのイメージセンサーが大型化しており、Galaxy S22 UltraではGalaxy史上最大サイズのセンサーを搭載する。どちらも複数のピクセル(画素)を束ねて1ピクセルとして扱うことで、より多くの光を取り込むことができるようになっている。加えて、両機種ともメインカメラの表面に独自の超低反射ナノコーティングを施した「スーパークリアガラス」を採用。これにより、強い光がにじんでしまうフレア現象を抑えることができ、大型センサーと合わせて暗所でもクリアな撮影を可能としている。

Galaxy S22の望遠性能は、Galaxy S21 5G / S21+ 5Gと同じく光学で3倍、デジタルズームを併用することで最大30倍。Galaxy S22 Ultraでは最大100倍のスペースズームに対応。使用頻度の高い2~3倍ズームでは高画素の広角カメラで撮影した画像を切り出すことで、より高精細な画像を得られるようになっている。

100倍スペースズーム

ソフトウェア面でも進化した。まず、これまでも搭載されていた、撮影後に写り込んでしまったオブジェクトを削除できる「AI消しゴム」機能が進化し、影や光の反射の削除に対応した。

AI消しゴム

また、高解像度モードでの撮影時に、AIが写真を分析し、細部まで鮮明で深度をとらえた写真に仕上げる「ディテールエンハンサー」にも対応する。「ギャラリー」アプリでは、古い写真や低クオリティの画像をAIが分析し、明るさや鮮明さを補正する「フォトリマスター」機能が利用できる。

AI消しゴム

動画撮影では、人を認識し、動きにあわせて画角やズームを調整する「自動フレーミング」機能に対応。Galaxy S21 5G / S21+ 5Gで追加された、すべてのカメラの映像をサムネイルでプレビュー表示できる「ディレクターズビュー」では、「ピクチャーインピクチャー」に対応したほか、メインとサブのカメラで撮影した映像を別々に保存できるようになった。

ディレクターズビュー

25W/45Wの高速充電に対応

Galaxy S22のバッテリー容量は3,700mAhと、Galaxy S21 5Gの4,000mAhより300mAh減少。一方でGalaxy S22 Ultraのバッテリー容量はGalaxy S21+ 5Gよりも大きい5,000mAhだ。Galaxy S22のバッテリー容量はS21にくらべて減少しているが、Galaxy S22 / S22 Ultraそれぞれ25W、45Wの高速充電に対応しているので、別売りの対応充電器を利用すれば短い時間で充電を完了できる。

Sペン内蔵、いつでも手書きできるGalaxy S22 Ultra

Galaxy S22 Ultraは、Sシリーズとしては初めて専用スタイラス「Sペン」の内蔵に対応した。

Sペン

筆記時の遅延は2020年モデルのGalaxy Note20 Ultraと比較して約3倍改善しており、本物の紙とペンのような使い心地を実現している。また、気になったウェブ記事などをSペンを使って簡単に切り取り、「Notes」アプリに貼り付けられる「ウェブクリッパー」に対応。ネットで情報収集をしている場合などに便利な機能だ。

Sペン

このほか、Sペンのボタンを押しながらジェスチャーすることでGalaxy S22 Ultraを操作できる「エアアクション」にも対応。離れた場所から写真を撮影したり、再生中の音楽のボリュームを操作したりといったことが可能になっている。

Sペン

ボディに再生素材を使用したサステナブルなスマホ

Galaxy S22 / S22 Ultraには、本体の一部素材に廃棄された漁網をリサイクルした素材が使われている。Samsungは2021年に持続可能性ビジョンとして「Galaxy for the Planet」を発表。2025年までにすべてのスマホにリサイクル素材を組み込むとしており、Galaxy S22シリーズでの対応はその一環となる。

IP68防水防塵、Felica、ハイレゾ対応は各モデル共通

最後に各モデルの共通仕様を確認しよう。

Galaxy S22 / S22 Ultraは、前モデルでも対応していた「おサイフケータイ®(EZ FeliCa)」を変わらず利用できる。防水防塵性能もIP65/68相当で共通している。また、ハイレゾ再生、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)対応も共通だ。ハイレゾ再生には対応のヘッドホンなどが必要になる。なお、microSDカードについてはS21 5G / S21+ 5Gから引き続き非対応となっている。

Galaxy S22は25W、Galaxy S22 Ultraは45Wの急速充電に対応するが、充電器は別売りとなる。ワイヤレス充電も利用でき、「Galaxy Buds」などのアクセサリーや、Qi対応のスマートフォンを充電できる「ワイヤレスパワーシェア」にも対応する。

【ミドルクラス比較】本体スペック比較

続いて、ミドルクラスを紹介しよう。Galaxy A53 5GとGalaxy A32 5G、Galaxy A51 5Gを比較していく。

Galaxyミドルクラス比較表

Galaxy A53 5Gは、auのラインナップとしてはGalaxy A51 5Gの後継モデルで、6.5インチの画面サイズや本体サイズ、4眼構成などのスペックは大きく変わってはいない。2021年モデルのGalaxy A32 5Gも同様だ。

主な違いとなるのがプロセッサで、Galaxy A53 5GにはSamsung製の「Exynos 1280」が搭載される。Samsungによると、ミドルクラスのプロセッサ「Snapdragon 750G」と比較してCPUの処理性能が12.4%高速化、グラフィック性能が33%、AI処理性能が43%向上したとのことだ。

プロセッサの比較図版

これにより、AI機能が強化されており、ハイエンドモデルのGalaxy S22 / S22 Ultraと同様に、ギャラリー内で古い写真や低画質の写真を補正する「フォトリマスター」機能や「AI消しゴム」機能を利用できる。RAMは6GB、ストレージは128GBだが、最大1TBのmicroSDXCを利用可能だ。

画面・本体サイズ比較

画面サイズ比較図版

Galaxy A53 5Gの画面は、Galaxy A51 5Gと同じ6.5インチのSuper AMOLEDディスプレイを搭載。Galaxy A51 5Gのリフレッシュレートは60Hzだったが、Galaxy A53 5Gはミドルクラスながら120Hzに対応し、滑らかな操作感やスクロールを実現する。フロントカメラは、水滴型のノッチだったGalaxy A32 5Gとは違い、Galaxy A51 5Gと同じくパンチホールの「Infinity-O」になっている。

本体サイズ比較図版

Galaxy A32 5Gも6.5インチだが、Galaxy A53 5Gはベゼルが細くなっており、本体サイズはGalaxy A32 5Gよりも若干小さく、Galaxy A51 5Gよりわずかに大きい。ただし、重さは約189gでGalaxy A51 5Gと変わってはいない。

背面カメラには光学式手振れ補正を搭載

カメラ比較図版

Galaxy A53 5Gの背面カメラは、Galaxy A51 5Gと同じく、超広角+広角+マクロ+深度測位の4眼構成だが、広角カメラの画素数が4,800万画素から6,400万画素にアップしている。超広角の1,200万画素、マクロと深度測位の500万画素は同一だ。なお、メインの広角カメラは高画素化しただけではなく、光学式手振れ補正にも対応した。AI補正と組み合わせることで、これまで以上に手振れに強くなっている。

光学式手振れ補正

また、照明が少ない夜間でも、複数の画像を合成することで鮮明な映像に仕上げる「ナイトモード」に対応。アウトカメラだけでなく、インカメラのセルフィーでも利用できる。

ナイトモード

ソフトウェア面では、これまでS20 / S21シリーズ、Zシリーズなどのハイエンドモデルでしか利用できなかった、写り込んだモノを撮影後に削除できる「AI消しゴム」機能に対応している。

AI消しゴム

また、同じく一部のハイエンドモデルでのみ利用できる、AIにより自動的に画質を改善する「フォトリマスター」機能にも対応する。

サステナブルなパッケージ

SDGsへの取り組みの一環として、Galaxy A53 5Gでは、サイドボタンとSIMカードトレイにリサイクル素材(ポストコンシューマー素材)を使用。パッケージにも再生紙を使用するなど、環境への配慮が強化されている。

バッテリー容量、おサイフケータイ®、IP68防水防塵、ハイレゾ対応

Galaxy A53 5Gのバッテリー容量は、Galaxy A51 5Gの4,500mAhから5,000mAhに増量され、最大2日間のバッテリー寿命を実現。別売りの25W急速充電器を利用すれば、充電の待ち時間も少なく済む。

そのほか、おサイフケータイ®(EZ FeliCa)対応やIP65/68相当の防水防塵性能、ハイレゾ再生、Dolby Atmos対応は、A51 5Gから変わってはいない。ハイレゾ再生には対応のヘッドホンなどが必要になる。

ハイエンドもミドルクラスもカメラ機能がさらに進化

よりコンパクトになったGalaxy S22、Sペン内蔵となり利便性が増したGalaxy S22 Ultra。どちらもプロセッサの処理能力が向上しており、それに伴い、カメラ機能などのAI処理も強化されている。Galaxy S21を利用している人にとっては、Sペンやカメラ機能が機種変更するかどうかのひとつの判断基準になるだろう。

Galaxy A53 5Gは、ミドルクラスのAシリーズながら、AIの強化によりカメラの機能がよりハイエンドモデルに近づいた。ハイエンドモデルは必要ないが、カメラ性能にはこだわりたいという場合にはぴったりのモデルとなっている。

興味のある方はぜひ一度、店頭などで実機にも触れてその進化を感じてほしい。

文:山本竜也