2021/11/09
iPad miniはiPhoneの代わりになるのか?大きさの近いiPhone 13 Pro Maxと比較で解説
2021年9月に発売した第6世代の「iPad mini」は、その進化から同日に発表されたiPhone 13と同様に注目を集めた。2021年11月現在、発売中のApple製品を大きさ順に並べると隣り合わせになるiPhone 13 Pro MaxとiPad miniだが、iPhoneとiPadという違うカテゴリの製品のため、音声通話やApple Watchとの連携など、できる機能面にも違いがある。大画面スマホを求める人が、iPhoneでなくiPad miniをメイン機として利用できるのか。それぞれできることできないことを中心に比較し、解説する。
本体の大きさ、重さ
まずは本体の外観など大きさや重さの比較から。画面サイズはiPhone 13 Pro Maxが6.7型、iPad miniは8.3型と、当然ながらiPadのほうが大きい。重ねて置くと、あらためてその大きさの違いがわかる。
続いて本体を手に持った場合。手の大きな人だと両方とも片手で持つことができる大きさだが、小さな手の人だと、iPad mini に関しては反対側までギリギリ指が届かず、片手で持つには少し大きいサイズ感だ。iPad miniを片手で持ちたい人は、専用のバンドなどで工夫すると良いだろう。
重さについては、iPhone 13 Pro Maxが238g、iPad mini(Wi-Fiタイプ)が293gと、本体の大きさからも当然iPad miniのほうが重いのだが、重心の関係からか、両方とも手で持った状態では、そこまで大きな違いは感じられなかった。
iPhoneとiPadでできること・できないこと
続いて機能面を比較していこう。外見では大きさの違いしかないように見えるiPhoneとiPadだが、それぞれ電話とタブレットという違うカテゴリの商品で、機能面において大きな違いがある。まずはあらためて、iPhoneとiPad(セルラーモデル)のそれぞれでできることとできないことを見ていこう。
【iPhoneにしかできないこと】
・音声通話
LINEやFacetimeやMessengerなどを使えばiPadでも音声で会話できるが、いわゆる留守番電話などに対応した“電話”はiPhoneのみで、iPadにはない。日ごろはLINE中心のコミュニケーションで、電話は使わないという人も多いと思うが、お店への連絡や困ったときのサポート窓口への連絡など、相手が固定電話しかないケースもあるので、iPadをメイン機にする場合は注意が必要だ。同様に、SMS認証など、セキュリティとして二段階認証をSMSや通話認証で登録する場合も、iPad単体では認証できない。LINEを新規登録する場合も、SIMを入れたiPad単体では本人確認ができず、別の固定電話で通話認証する必要があるので、iPadをメイン機にする場合は、ここがひとつのハードルとなる。
・Apple Watchとの連携
AppleでもApple Watchを「iPhoneの周辺機器」と言っているように、2021年11月時点では、Apple WatchはiPhoneとしかペアリングできない。
・FeliCa連携機能(Walletなど)
FeliCa機能もiPhoneにしか搭載されておらず、Wallet機能を活用したSuicaなどはiPadでは利用できない。
・アクティビティでの計測
iPadにも3軸センサーや速度センサーは搭載されているが、ヘルスケアアプリなど搭載されているのもiPhoneのみ。
【iPadにしかできないこと】
・Apple pencil対応
iPhoneのタッチ操作に対応したサードパーティ製のペンもあるが、Apple pencilに対応しているのはiPadのみ。
・2つのアプリを同時に開く
同じ画面内で2つのアプリを同時に開き、操作できるのはiPadのみ。
・ホーム画面の横向き対応
WEBや動画の閲覧だけでなく、PCのようにホーム画面から縦横どちらでも使えるのは、iPadのみ。
・iPad専用のクリエイティブ系のアプリ
機能ではないが、iPad専用のクリエイティブ系のアプリ(絵を描く、写真や動画編集など)が充実している。
このように比較してみると、あらためて電話機としてのiPhoneと、情報端末としてのiPadという違いが大きいことがわかる。続いて、今回の第6世代iPad miniとiPhone 13 Pro Maxにおける詳細な違いを見ていこう。
■両方ともできるが、違いがあるもの
・カメラ機能
もちろんiPad miniとiPhone 13 Pro Maxのどちらにもカメラは付いているが、iPad miniのほうはシングルレンズで、iPhone 13 Pro Maxは、広角やマクロレンズに対応した3眼レンズだ。
そのほか、シネマティックモードでの撮影や片手での撮影を考えると、手軽に高機能の撮影を重視する人にはiPhone 13 Pro Maxのほうが良いだろう。逆にそこまで高機能なカメラレンズ性能を希望しない人は、iPad miniで十分と言える。
・WEBの閲覧
サイトにもよるが、iPadはPC用のサイトが表示されることが多い。どちらが良いかは好みではあるが、見え方に違いがあることは購入前に知っておいて良いだろう。
・写真や電子書籍、動画視聴
iPhone 13 Pro Maxも6.7インチの液晶とほかのスマホに比べると十分大きな画面だが、写真や動画の視聴になると、8.3インチ液晶となるiPad miniの大きい画面のほうが当然見やすい。表示アスペクト比も、iPhone 13 Pro Maxが9:19.5と横長で、iPad miniが約3:4.6となっている。輝度や見やすさにはそこまで違いを感じられなかったので、好みの大きさと画角で選ぶと良いだろう。
また、電子書籍ではiPad mini向けのアプリのほうが見開きに対応しているものも多く、普段コンテンツを見ることが多い人には、やはり大きな画面のiPad miniがオススメだ。
・文字入力
フリック入力に慣れた人であれば、片手操作の観点からも、断然iPhone 13 Pro Maxに軍配があがる。iPadだと両手操作が前提となり、またワイヤレスキーボードを使う人が多いからか、基本はQwertyキーボードが表示される。
・充電ケーブル
iPad miniがUSB-type Cで、iPhone 13 Pro MaxがLightningケーブルだが、充電するだけであれば、どちらのケーブル端子であってもそんなに違いはない。自分の持っている機器によって、連携しやすいものがあるかどうかくらいだろう。
・指紋認証/顔認証
iPad miniがTouch IDで、iPhone 13 Pro MaxがFace ID方式。マスク生活が続く可能性を考えるとTouch IDのほうが便利なシーンも多いが、自宅でマスクなしの生活が中心であれば、どちらでもさほど違いはないと見て良いだろう。
このように見ると、使い方によってはiPad miniのセルラータイプを選び、メイン機にするという選択肢もあるが、SMSや音声の二段階認証サービスを利用している人にとっては、認証のたびに別の通話認証手段を用意しなくてはいけないため、あくまでサブ機として持つほうが良さそうだ。
筆者も第6世代のiPad miniを見た際に、その進化からメイン機をiPhoneからiPad miniに機種変更しようと検討したが、認証方式含む電話機能と、Apple Watchとの連携、Wallet対応の3点から、iPad miniをメイン機にすることを断念した。
ただ、価格を比べて見ると、Apple公式サイトではiPad mini のほうが5万円近くも安い。これだけの値段差があれば、メイン機のスマホをエコノミーモデルに変えて、iPad miniを新たにサブ機で持ってもiPhone 13 Pro Maxと同じくらいの値段だという考え方もできる。これからの生活において、iPhoneやiPadで何をするのか。その活用法次第で選んでいけば良いだろう。
iPhoneだけでなく、iPad miniも魅力的な進化を遂げ、機種選びの選択肢が増えた2021年。自分の利用用途によって、最適なデバイスを選択してほしい。
文:TIME&SPACE編集部