2021/09/01
iPhoneの「アクティビティの追跡」「トラッキングの許可」とは?設定確認、変更する方法
最近、iPhoneを操作していると、「他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」というポップアップが出てくるようになった。選択肢は、[Appにトラッキングしないように要求][許可]の2択だ。
そもそも「トラッキング」とはなにか、このポップアップがなぜ出てくるようになったのか。そこで、これがどういったもので、許可した場合、許可しない場合でどのような違いがあるのかを解説する。
トラッキングとは
トラッキングとは、ユーザーの行動を追跡する行為のこと。スマートフォンに限らず、ウェブ広告やアプリでも広く行われており、個人やそのデバイスを特定するような情報、どのウェブサイトを閲覧していたかなどの情報を収集し、ターゲティング広告や広告の効果測定などに用いられている。
たとえば、気になる商品などをネットで検索したあと、それとは関係のないサイトを表示した際に、先ほどまで検索していた商品の広告が表示される、という経験をしたことがある人は多いだろう。これがターゲティング広告と呼ばれるもので、トラッキングした情報をもとに表示されている。
興味のない広告が表示されにくいなど、ユーザーにとってはメリットもあり、トラッキングが良い・悪いということは一概には言いがたい。ただ、知らないあいだに情報を取得されるのは、いい気がしない人もいるだろう。
そこで、iOS 14.5からは、このトラッキングを許可するかどうかを、アプリごとにユーザーが指定できるようになった。「他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」というポップアップが表示されるようになったのはこのためだ。
アプリはどのような情報をトラッキングしているのか
そもそも、各アプリはそれぞれどのような情報をトラッキングしているのだろうか?実は、簡単に確認できる。
Appストアで確認したいアプリのページを開くと、下部に[Appのプライバシー]という項目がある。ここにある[ユーザーのトラッキングに使用されるデータ]が、そのアプリがトラッキングしている情報だ。
たとえばTwitterでは、[購入][連絡先情報][閲覧履歴][使用状況データ][位置情報][ユーザーコンテンツ][ID]をトラッキング目的で収集していることがわかる。[ユーザーのトラッキングに使用されるデータ]欄をタップすると、各項目について、簡単な説明も表示される。
トラッキングを許可する/許可しないとどうなる?
このトラッキング、許可した場合と許可しない場合でどのような違いがあるのだろうか?それぞれのメリット/デメリットを簡単に記すとこのようになる。
・許可した場合
メリット:興味・関心のある広告が表示されやすくなる
デメリット:アプリ・サービスによっては必要以上の情報を収集しようとするものがある
・許可しない場合
メリット:ユーザーの情報が収集されることはなく、プライバシー面でも安心できる
デメリット:興味のない広告が表示されやすくなる
アプリやサービスにトラッキングを許可すると、ユーザーの関心・興味といった情報を収集できるため、ターゲティング広告が表示されるほか、その効果測定が行われる。アプリやサービスによっては、必要以上の情報を収集しようとするものもあるので、許可する場合にはどのような情報を収集するのかは、しっかりと確認してほしい。
一方、トラッキングを許可しない場合、ユーザーの情報が収集されることはないが、ウェブサイトやアプリなどの広告自体が消えてなくなるわけではない。トラッキングできずターゲティング広告が利用できないので、自分には関係がない、あるいは興味がない広告が表示され続ける可能性もある。多少なりとも興味のある広告であれば目に入っても気にならないかもしれないが、まったく興味のない広告が目に入ると不快に感じることもあるだろう。
あとから設定を変更する方法
トラッキングの許可を求める通知が表示された際に[許可]あるいは[Appにトラッキングをしないように要求]のどちらを選択しても、あとから変更は可能だ。
「設定」▶[プライバシー]▶[トラッキング]から、アプリごとに許可/非許可を選択できる。オン(緑色)でトラッキングを許可している状態だ。
トラッキング要求をオフにする
アプリごとに設定するのではなく、一括でトラッキング要求自体をオフにすることもできる。
「設定」▶[プライバシー]▶[トラッキング]の最上部にある[Appからのトラッキング要求を許可]をオフにするだけだ。このとき、すでにトラッキングを許可したアプリがあると、引き続きトラッキングを許可するか、トラッキングを停止するかの選択が表示される。すべてのアプリでトラッキングを停止したい場合には[Appにトラッキングの停止を要求]を選択しよう。
[Appからのトラッキング要求を許可]をオフにすると、以降、アプリごとにトラッキングを要求する通知は行われず、すべて非許可になる。この場合でも、先の手順で、あとからアプリごとに許可することは可能だ。
アプリごとに使い分けも
トラッキングを許可する/しないは、個人の考え方次第だ。よく利用しているアプリのみ許可し、たまにしか使わない、あるいは一時的に入れたアプリでは許可しないなど、使い分けることもできる。この記事を参考に、自分に合った使い方をしてほしい。
文:山本竜也