2020/05/08
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2020/05/08
5G対応スマホ『Xperia 1 II』と4Gスマホ『Xperia 10 II』、8/1/XZ3と徹底比較
auの2020年夏モデルとして、ハイエンドモデルの「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)(SOG01)」、ミドルクラスモデルの「Xperia 10 II(エクスペリア テン マークツー)(SOV43)」が登場した。Xperia 1 IIは、Xperiaとしては初の5G対応スマホである。
本記事では、同じXperiaシリーズとして2019秋冬−2020春モデルのミドルクラスモデル「Xperia 8(SOV42)」、2019年夏モデルのハイエンドモデル「Xperia 1(SOV40)」、2018年秋モデルのハイエンドモデル「Xperia XZ3(SOV39)」とを比較し、進化ポイントや差分など、各機種の特徴を紹介する。
まずは本体スペックを比較
最初にそれぞれのスペックや仕様を比較してみよう。
機種名 | 機種クラス | 発売年月 | 画面 | ディスプレイ解像度 | 本体サイズ | 重量 | カラー | メインカメラ 有効画素数 |
静止画ズーム | OS | CPU | バッテリー容量 | 電池持ち時間 | 内蔵メモリ(RAM/ROM) | ワイヤレス充電 | 生体認証 | 防水 | 防塵 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Xperia 1 II | ハイエンド | 2020年 5月 | 約6.5インチ 有機EL X1™ for mobile |
4K[3,840×1,644] | 約72×166×7.9mm | 約181g | ブラック ホワイト |
約1,220万画素/約1,220万画素/ 3D iToFセンサー/約1,220万画素 |
9倍 | Android 10 | Snapdragon 865 5G Mobile Platform 2.8GHz/1+ 2.4GHz/3+1.8GHz/4 |
4,000mAh | 約105時間(4G LTE/WiMAX 2+エリア) 約100時間(5Gエリア) |
8GB/128GB | 〇 | 指紋 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Xperia 1 | ハイエンド | 2019年 6月 | 約6.5インチ 有機EL X1™ for mobile |
4K[3,840×1,644] | 約72×167×8.2mm | 約178g | ブラック ホワイト グレー パープル |
約1,220万画素/約1,220万画素/ 約1,220万画素 |
10倍 | Android 9 Pie | Snapdragon 855 2.8GHz/1+2.4GHz/3+1.7GHz/4 |
3,200mAh | 約85時間 | 6GB/64GB | × | 指紋 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Xperia XZ3 | ハイエンド | 2018年 11月 | 約6.0インチ 有機EL トリルミナスディスプレイ for mobile |
クアッドHD+[2,880×1,440] | 約73×158×9.9mm | 約193g | ブラック ホワイトシルバー フォレストグリーン ボルドーレッド |
約1,920万画素 | 8倍 | Android 9 Pie | SDM845 2.8GHz/クアッドコア+ 1.8GHz/クアッドコア |
3,200mAh | 約85時間 | 4GB/64GB | 〇 | 指紋 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Xperia 10 II | ミドルクラス | 2020年 5月 | 約6.0インチ 有機EL トリルミナスディスプレイ for mobile |
フルHD+[2,520×1,080] | 約69×157×8.2mm | 約151g | ブラック ホワイト ミント |
約800万画素/約1,200万画素/ 約800万画素 |
10倍 | Android 10 | Snapdragon 665 2.0GHz/4+1.8GHz/4 |
3,600mAh | 約140時間 | 4GB/64GB | × | 指紋 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Xperia 8 | ミドルクラス | 2019年 10月 | 約6.0インチ 液晶 トリルミナスディスプレイ for mobile |
フルHD+[2,520×1,080] | 約69×158×8.1mm | 約170g | ブラック ホワイト オレンジ ブルー |
約1,200万画素/約800万画素 | 5倍 | Android 9 Pie | Snapdragon 630 2.2GHz/4+1.8GHz/4 |
2,760mAh | 約100時間 | 4GB/64GB | × | 指紋 | IPX5/IPX8 | IP6X |
・ハイエンドモデルでの比較
Xperia 1 IIは、Xperia 1から21:9のディスプレイ比率を受け継いだ縦長のデザインが特徴だ。スペックは、Xperia 1で搭載していたハイスペックなプロセッサ「Snapdragon 855」からさらに進化した「Snapdragon 865 5G」を搭載したほか、カメラも4眼になり、バッテリー容量も増えている。にもかかわらず、本体サイズはわずかに小さくなっているのが特徴といえる。Xperia 1ではなくなっていた3.5mmイヤホンジャックが復活しているのも見逃せない。
・ミドルクラスモデルでの比較
Xperia 10 IIは、名前の通りXperia 10(日本では未発売)の後継モデルだが、もともとXperia 10とXperia 8は非常に仕様が近いモデルだったこともあり、Xperia 8の後継モデルとみなすこともできる。Xperia 1 IIやXperia 1、そしてXperia 8と同様に21:9の縦長画面を搭載。Xperia 8に比べXperia 10 IIでは有機ELに変更されている。
カメラもXperia 1と同じくトリプルレンズカメラになり、3.5mmジャックも搭載しているが、プロセッサはXperia 1 IIやXperia 1よりひと世代前の「Snapdragon 665」を搭載している。最近のXperiaは機種名称の数字が小さいほどハイスペックとなるが、昨年のXperia 8(Snapdragon 630)と比べると、Xperia 10 IIのほうがややスペックが上となっている。
画面サイズとスペック比較。Xperia 1 II / 1は高画質化エンジンを搭載
・ハイエンドモデルでの比較
Xperia 1 IIとXperia 1は4K有機ELディスプレイを搭載し、画面サイズはどちらも同じ6.5インチで21:9となっている。Xperiaといえば、液晶テレビのブラビアで培った映像美も忘れてはいけないポイントだが、両機種とも高画質化エンジン「X1™ for mobile」を搭載。また、映像制作者の意図を忠実に再現した画作りで映画を視聴可能にする「クリエイターモード」にも対応している。コンテンツ側の対応が必要だが、Netflixの映画なら自動的にクリエイターモードが有効になる。
またXperia I II、Xperia 1ともに4K HDRに対応。標準規格(SDR)の映像をHDR相当にアップコンバートするHDRリマスターに対応するため、YouTubeなどの映像も高画質に表示できる。
・ミドルクラスモデルでの比較
Xperia 10 IIは6.0インチで21:9の有機ELディスプレイを搭載。高画質化エンジンは、Xperia 8やXperia XZ3と同じ一世代前の「トリルミナスディスプレイ for Mobile」を搭載している。コントラストや精細さはXperia 1 IIやXperia 1に一歩劣るが、幅広い色域で豊かな自然の色合いや繊細な色の違いを再現可能だ。
なお、Xperia 10 IIとXperia 8は解像度がフルHD+にとどまり、HDRにも非対応。また、Xperia 8のみ有機ELではなく液晶ディスプレイとなっている。
本体サイズと重さ比較。Xperia 1 II / 10 IIともに持ちやすさが向上
・ハイエンドモデルでの比較
Xperia 1 IIはXperia 1と比較すると横幅は変わらないが、縦幅が1mm小さくなり、厚みも0.3mm薄くなった(ただし最厚部は0.1mm増)。手に持って感じられるほどではないので、サイズ的には変わっていないと思っていいだろう。ただし、重さは約181gと3gだけ重くなった。これはバッテリー容量が800mAh増え、4,000mAhになったことも影響している。
なおXperia XZ3は、Xperia 1 II・Xperia 1と比べて横幅はほぼ変わらないが、縦方向がひと回りコンパクトになっている。
・ミドルクラスモデルでの比較
Xperia 10 IIは、最近の機種では約151gともっとも軽量だ。Xperia 8は約170gだったので、大幅に軽量化されている。本体サイズも横幅は69mmで変わらないが、縦方向が157mmと1mm小さくなっている。画面サイズは変わっていないので、より上下の枠を狭めるベゼルレス化が進んだ結果だ。片手で持てる軽量なスマホを求めていた人にはぴったりだろう。
指紋センサーの位置を比較
Xperia 1 IIとXperia 10 II、Xperia 8の指紋センサーは右側面に配置され、電源ボタンを兼ねている。Xperia 1も指紋センサーは右側面にあるが、電源ボタンとは別になっている。スマホを左手で持つ人は、指紋認証をしにくいと感じるかもしれないが、本体の横幅が狭いので、それほど違和感なくロックを解除できるはずだ。なお、Xperia XZ3の指紋センサーは背面に搭載されている。機種によって場所が違うので、Xperia同士の買い替えでも注意してほしい。
被写体までの測位を行うセンサーを搭載した4眼カメラのXperia 1 II
・ハイエンドモデルでの比較
Xperia 1 IIは、16mm(超広角)/ 70mm(望遠)/ 24mm(標準)に加え、4つ目のレンズとして被写体までの測位を行う「3D iToF(Time of Flight)センサー」を搭載した。
「ToF」はレーザー光を放出して、その反射光が戻ってくる時間から、被写体までの距離を計測する技術だ。そして「iToF」というのは、ToFの仕組みのひとつで、間接ToFと呼ばれるもの。計測方法が異なるが、被写体まで距離を測る役割は変わらない。このToFセンサーを搭載したことで、Xperiaシリーズとしては初の4眼カメラ搭載となった。
ToFを除けば、基本的なカメラにまつわるスペックはXperia 1も同等だ。16mm(超広角)/ 52mm(望遠)/ 26mm(標準)のトリプルレンズカメラで、画像処理エンジンはどちらも同じ、ソニーのデジタル一眼レフカメラα™シリーズの画像処理アルゴリズムを取り入れた「BIONZ X for mobile」を搭載する。
なお、Xperia 1 IIでは、20コマ/秒のAE/AF追従高速連写や瞳AFが動物にも対応するなど、Xperia 1から機能的にアップしている。カメラレンズそのものもレンズメーカーと提携し、3つすべてのレンズにツァイスレンズを採用。
不要な反射光を低減し、クリアな描写を得られるT*(ティースター)コーティングを施している。これまで以上に、カメラ機能に力を入れたスマホになったと考えていいだろう。
・ミドルクラスモデルでの比較
Xperia 10 IIもXperia 1と同じくトリプルレンズカメラを搭載する。16mm(超広角)/ 52mm(望遠)/ 26mm(標準)という構成は同じだが、すべて1,220万画素のXperia 1とは違い、Xperia 10 IIは26mmの標準レンズのみ1,200万画素で、残り2つは800万画素となる。
Xperia 8はデュアルカメラ、Xperia XZ3はシングルカメラとなっており、ディスプレイ以外では、このカメラ機能がXperiaシリーズを選ぶうえでの大きなポイントとなりそうだ。
Dolby Atmos対応で3.5mmオーディオジャックを搭載
Xperia 1 IIとXperia 1は立体音響技術「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」に対応している。たとえば、映画を観ている際、ヘリコプターの音が頭上からしたり、背後から誰かが近づいてくる音が聞こえたりと、音の方向なども再現できる技術だ。イヤホンやヘッドホンを利用する場合にのみ使えるスマホも多いが、Xperia 1 IIとXperia 1はどちらも内蔵スピーカーでも利用可能だ。
そしてXperia 1 IIには、ハイエンドモデルとしては2年ぶり(「Xperia XZ1」ぶり)に3.5mmオーディオジャックが搭載された。
変換ケーブル不要で有線イヤホンを利用できるので、音質重視のオーディオファンや、遅延を気にするゲーマーにはうれしいポイントだ。ミドルクラスモデルでは、Xperia 10 IIとXperia 8も3.5mmオーディオジャックを搭載しているが、Dolby Atmosには非対応だ。
なお、Xperia 1 IIにはCDやMP3などの圧縮音源をハイレゾ相当にアップコンバートする機能が搭載されており、Xperia 1のDSEE HXからDSEE Ultimateに進化した。AI技術を利用することで、よりハイレゾに近い高音質を楽しめる。
Xperia 1 IIはゲームエンハンサーが進化し、誤タッチを防止可能
Xperia 1 IIは、ゲームをより快適にプレイするための「ゲームエンハンサー」も進化した。ゲームエンハンサーは、ゲーム中に通知をオフにしたり、カメラキーを無効にしたりするなど、ゲームに集中でき、誤動作も防止するための機能だが、Xperia 1 IIでは、ディスプレイの誤タッチを防止するタッチ禁止エリアの設定も行うことができる。
そのほか、ゲーム中のスクリーンショットを素早く撮影したり、ゲームプレイを録画してシェアするといった機能も備えている。
そのほかの機能について
・ワイヤレス充電
Xperia 1 IIとXperia XZ3のみ対応している。Xperia 1、Xperia 10 II、Xperia 8は非対応。
・防水防塵
全モデルがIP65/68相当の防水防塵。
・おサイフケータイ
全モデルが搭載。
・ワンセグ/フルセグ
ミドルクラスモデルのXperia 10 IIとXperia 8が非対応。それ以外の3機種はいずれも対応している。
ソニーの技術を集結したXperia 1 II、軽量でコンパクトなXperia 10 II
5Gスマホということに注目されがちなXperia 1 IIだが、カメラやオーディオまわりの進化もかなり大きい。また5Gではないが、軽量でコンパクトなXperia 10 IIもXperiaユーザーだけではなく、スマホ初心者にも安心しておすすめできる機種だろう。
Xperia 1やそれ以前の機種もまだ十分に現役で通用するスペックを持っているが、ソニーの技術を集結したハイエンドなXperia 1 II、そして万人に広くすすめられるXperia 10 IIには、ぜひ注目してもらいたい。
山本竜也