2020/04/30
5G対応スマホ『Galaxy S20 5G/S20+ 5G』とS10/S10+、S9/S9+を徹底比較
auの2020年夏モデルとして、「Galaxy S20 5G(SCG01)」「Galaxy S20+ 5G(SCG02)」が登場した。日本国内では初の5G対応Galaxyとなる。
5Gスマホとして注目している人も多いと思うが、ハイエンドモデルとして2019年に発売された「Galaxy S10(SCV41)」「Galaxy S10+(SCV42)」との進化点や性能差も気になる。そこで本記事では、Galaxyシリーズの上位モデルにあたるGalaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GとGalaxy S10 / Galaxy S10+、そして2018年のGalaxy S9(SCV38) / Galaxy S9+(SCV39)を比較した。それぞれの特徴を確認し、ぜひ自分にあったスマホを選んでほしい。
まずは本体スペックを比較
最初に、Galaxy Sシリーズ6モデル、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GとGalaxy S10 / Galaxy S10+、Galaxy S9 / Galaxy S9+を比較しよう。
Galaxy比較表
機種名 | 発売年月 | 画面 | ディスプレイ解像度 | 本体サイズ | 重量 | カラー | メインカメラ 有効画素数 |
静止画ズーム | OS | CPU | バッテリー容量 | 電池持ち時間 | 内蔵メモリ(RAM/ROM) | ワイヤレス充電 | 生体認証 | 防水 | 防塵 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Galaxy S20 5G | 2020年 3月 | 約6.2インチ Dynamic AMOLED |
クアッドHD+[3,200×1,440] | 約69×152×7.9mm | 約163g | クラウド ブルー コスミック グレー クラウド ホワイト |
約1,200万画素/約1,200万画素/ 約6,400万画素 |
3倍(光学)/30倍(デジタル) | Android 10 | Qualcomm Snapdragon 865 5G Mobile Platform 2.8GHz/1+ 2.4GHz/3+1.7GHz/4 |
4,000mAh | 約130時間(4G LTE/WiMAX 2+エリア) 約125時間(5Gエリア) |
12GB/128GB | 〇 | 指紋/顔 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Galaxy S20+ 5G | 2020年 5月 | 約6.7インチ Dynamic AMOLED |
クアッドHD+[3,200×1,440] | 約74×162×7.8mm | 約186g | コスミック グレー クラウド ブルー |
約1,200万画素/約1,200万画素/ 約6,400万画素/深度測位カメラ(ToF) |
3倍(光学)/30倍(デジタル) | Android 10 | Qualcomm Snapdragon 865 5G Mobile Platform 2.8GHz/1+ 2.4GHz/3+1.7GHz/4 |
4,500mAh | 約145時間(4G LTE/WiMAX 2+エリア) 約130時間(5Gエリア) |
12GB/128GB | 〇 | 指紋/顔 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Galaxy S10 | 2019年 5月 | 約6.1インチ Dynamic AMOLED |
クアッドHD+[3,040×1,440] | 約70×150×7.8mm | 約158g | プリズム ブラック プリズム ホワイト プリズム ブルー |
約1,200万画素/約1,200万画素/ 約1,600万画素 |
10倍 | Android 9 Pie | Snapdragon 855 2.8GHz/1+2.4GHz/3+1.7GHz/4 |
3,300mAh | 約100時間 | 8GB/128GB | 〇 | 指紋/顔 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Galaxy S10+ | 2019年 5月 | 約6.4インチ Dynamic AMOLED |
クアッドHD+[3,040×1,440] | 約74×158×7.8mm | 約175g | プリズム ブラック プリズム ホワイト |
約1,200万画素/約1,200万画素/ 約1,600万画素 |
10倍 | Android 9 Pie | Snapdragon 855 2.8GHz/1+2.4GHz/3+1.7GHz/4 |
4,000mAh | 約130時間 | 8GB/128GB | 〇 | 指紋/顔 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Galaxy S9 | 2018年 5月 | 約5.8インチ Super AMOLED |
クアッドHD+[2,960×1,440] | 約69×148×8.5mm | 約161g | チタニウム グレー ライラック パープル ミッドナイト ブラック |
約1,220万画素 | 8倍 | Android 8.0 | SDM 845 2.8GHz/クアッドコア+ 1.7GHz/クアッドコア |
3,000mAh | 約100時間 | 4GB/64GB | 〇 | 指紋/虹彩/顔 | IPX5/IPX8 | IP6X |
Galaxy S9+ | 2018年 5月 | 約6.2インチ Super AMOLED |
クアッドHD+[2,960×1,440] | 約74×158×8.5mm | 約187g | ミッドナイト ブラック チタニウム グレー |
約1,220万画素(デュアルピクセル)/ 約1,220万画素 |
10倍 | Android 8.0 | SDM 845 2.8GHz/クアッドコア+ 1.7GHz/クアッドコア |
3,500mAh | 約110時間 | 6GB/64GB | 〇 | 指紋/虹彩/顔 | IPX5/IPX8 | IP6X |
まず、新しいGalaxy S20とGalaxy S20+ 5Gとの比較では、基本仕様はほぼ共通している。おもな違いは画面サイズと背面カメラの数、バッテリー容量、そして5Gの「ミリ波」対応の有無となる。
5Gの通信には、「Sub6(サブシックス)」と呼ばれる6GHz未満の低い周波数帯と、「ミリ波」と呼ばれる高い周波数帯の2つが使われる。そもそも、電波は周波数が高いほど直進性が強く、障害物に弱くなる。大気の影響も受けやすくなるので、高周波数のミリ波は広いエリアをカバーするのには向いていない。ただし、ミリ波で利用できる周波数帯域は広く、そのぶん高速・大容量な通信を期待できる。
Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GはどちらもSub 6に対応しているが、ミリ波に対応するのはGalaxy S20+ 5Gのみだ。とはいえ、いまのところ日本国内では、ミリ波を使ったサービスは行われていない。将来的にミリ波の送信が始まった場合、Galaxy S20+ 5Gならそのまま利用できる。
数年先を見据えるならGalaxy S20+ 5Gを選んでおきたいところだが、現状だけを考えるなら、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gどちらを選ぶかについては、おもにサイズ感の好みで選んで問題ないだろう。
Galaxy S10とGalaxy S10+は、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gと比べるとCPUが1世代前になり、メモリも少なくなっている。とはいえ、8GBを搭載しており、現行のハイエンドモデルとしても十分なものだ。Galaxy S9とGalaxy S9+はそれぞれ4GB、6GBで、さすがに最新モデルと比べると見劣りするようになった。それでも、6GBあればブラウザやSNS、写真撮影など一般的な用途で不足を感じることもないだろう。
では、各モデルの特徴的な項目を見ていこう。
画面サイズとスペック比較。Galaxy S20 5G / S20+ 5Gは最新ディスプレイを搭載
ディスプレイサイズは、Galaxy S20 5Gが6.2インチ、Galaxy S20+ 5Gが6.7インチで、それぞれGalaxy S10(6.1インチ) / Galaxy S10+(6.4インチ)よりも大きくなっている。とはいえ、サイズアップは画面の縦横比が従来の19:9(3,040x1,440ピクセル)から20:9(3,200x1,440ピクセル)に変わっていることが要因なので、数値ほどサイズの変化は感じない。
また、Galaxy S10 / Galaxy S10+では、Sシリーズとしてはじめてパンチホール型の「Infinity O ディスプレイ」と呼ばれるノッチを採用したが、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gも同じくパンチホールのフロントカメラを採用した。ただし、その位置は変わっており、右端に寄っていたGalaxy S10 / Galaxy S10+と違い、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは画面上部中央に配置されている。
Galaxy S10 / Galaxy S10+はHDR10+に対応した有機EL「Dynamic AMOLED」を搭載しているが、 Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gはさらに進化した有機EL「Dynamic AMOLED 2X」となり、リフレッシュレート(画面の書換頻度)が従来の60Hzから120Hzにアップした。これは1秒間に画面を120回更新されるということで、非常に滑らかな画像表示が可能だ。
ただし、120Hz駆動はバッテリーの持ちが従来の60Hzと比べて若干短くなるのと、高解像度表示(3,200x1,440ピクセル)には対応していない。60Hzと120Hzは設定で切り替えられるので、普段は60Hz、ゲームなどをする場合は120Hzと切り替えるのもいいだろう。
本体サイズと重さ比較。Galaxy S20 5G / S20+ 5Gは若干サイズアップ
画面サイズが大きくなったぶん、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは本体サイズも若干大きくなっているが、画面の縦横比に合わせて縦方向が伸びているだけだ。Galaxy S20 5Gに関しては、Galaxy S10と比べるとむしろ横幅は狭くなっている。
ハイエンドモデルは大型化する傾向にあるが、Galaxy S20 5Gならコンパクトモデルを求めるユーザーにもおすすめできる。
なお、重さに関してはGalaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは今回比較しているGalaxy S10 / Galaxy S10+、Galaxy S9 / Galaxy S9+のなかでは若干重くなっている。とはいえ、最軽量だったGalaxy S10 / Galaxy S10+と比べてもそれぞれ5g、11gほどの違い。ケースなどを装着することを考えると、あまり気にする必要はないだろう。
Galaxy S20 5G / S20+ 5G、S10 / S10+は「画面内指紋センサー」搭載
Galaxyシリーズは共通して指紋認証と顔認証の両方を使うことができ、マスクをしていて顔認証ができない場合でも、指紋を使ってスムーズに認証が行える。その指紋センサーだが、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GはGalaxy S10 / Galaxy S10+から引き続き、画面内部に超音波方式のセンサーを搭載している。
背面に指紋センサーがあるGalaxy S9 / Galaxy S9+は、手に持っているときは片手でも指紋認証しやすいが、机に置いているときは指紋認証を行うためにいちいち持ち上げなくてはならない。その点、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GやGalaxy S10 / Galaxy S10+は机上に置いたままでも認証できるのがメリットだ。
「8K撮影」に対応したGalaxy S20 5G / S20+ 5G
Galaxy S20 5Gの背面カメラは、Galaxy S10 / Galaxy S10+と同様に「望遠カメラ」「広角カメラ」「超広角カメラ」のトリプルカメラを搭載。Galaxy S20+ 5Gはこれらに加えて、深度測位用の「ToFカメラ」も搭載するクアッド構成だ。ToFは被写体との距離を測定する技術で、素早くピントを合わせたり、ポートレート撮影できれいに背景をぼかすことが可能になっている。
なお、Galaxy S10 / Galaxy S10+の広角カメラは周囲の明るさに合わせて絞りがF1.5とF2.4で切り替わる「デュアルアパチャー」を搭載していたが、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gでは廃止されている。とはいえ、カメラ性能が劣っているわけではなく、むしろ全体的な底上げにより、機械的に切り替える必要がなくなったと考えたほうがいいだろう。
Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは画素数こそ1,200万画素で従来と変わらないが、イメージセンサーのサイズが1.7倍と大きくなり、より多くの光を取り込めるようになった。望遠は6,400万画素となり、光学ズームも2倍から3倍にアップ。デジタルズーム併用の超高解像度ズームは最大30倍の撮影が可能だ。
動画撮影も従来の4Kから8K撮影に対応した。現状、8Kで撮影してもスマホ上で8K再生を行えるわけではないのだが、最近増えてきた8Kテレビであれば、大画面であってもきれいな映像を楽しめる。
また、新たに「8Kビデオスナップ」という機能に対応した。これは8K動画から静止画を切り出す機能だ。従来も動画から静止画を切り出すことはできたのだが、スクリーンキャプチャを撮っていたに過ぎず、画質は劣化してまっていた。これに対してGalaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは8K映像のまま静止画を切り出せるので、画質の劣化も起こらない。
動画に関する新機能としては「シングルテイク」も搭載している。これは10秒ほどの動画を撮影すると、AIが特徴的なシーンを抽出し、複数の静止画や動画を作成してくれるという便利な機能だ。シャッターチャンスを逃さないという意味でも、これらの機能を使い、とりあえず動画で撮影してしまうのもいいだろう。
バッテリーを分けあえる「ワイヤレスパワーシェア」
Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは、本体サイズはそれほど大きくなっているわけではないが、バッテリー容量はそれぞれ4,000mAh / 4,500mAhと、Galaxy S10(3,300mAh) / Galaxy S10+(4,000mAh)から大幅に増量されている。これにより、電池持ち時間も15?30時間伸びた。
また、スマホの利用方法を学習し、パフォーマンスを最適化することで利用時間を延ばす「インテリジェント機能」も搭載している。
さらに、Galaxy S10 / Galaxy S10+から引き続き、ワイヤレスでほかのデバイスを充電できる「ワイヤレスパワーシェア」も搭載。ケーブル接続でほかのスマホを充電できる機種は多いが、そもそも出先でケーブルが手元にないこともあるだろう。そんな場合でもGalaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GやGalaxy S10 / Galaxy S10+なら、相手がワイヤレス充電に対応してれば、気軽にバッテリーを分け合える。
もちろん、ワイヤレス充電規格のQi(チー)に対応していれば、スマホに限らず充電が可能だ。「Galaxy Buds」「Galaxy Watch」などの純正アクセサリも充電できるので、それらを使っている場合には、別途充電器を持ち歩く必要もなく便利だろう。
なお、Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5GとGalaxy S10 / Galaxy S10+のワイヤレス充電は「Fast Wireless Charging 2.0」に対応しており、純正のワイヤレスチャージャーデュオパッドや10W以上のワイヤレス充電をサポートする充電台で利用できる。
そのほかの機能について
・防水防塵
6機種とも共通のIPX5/IPX8・IP6X相当の防水防塵。
・おサイフケータイ
6機種とも共通で搭載。
・ワンセグ/フルセグ
Galaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは非対応となるが、それ以外の4機種はいずれも対応している。
Galaxy S20 5G / S20+ 5G は5Gや8K撮影が魅力
このようにGalaxy S20 5G / Galaxy S20+ 5Gは、現在考え得る最先端のスペックを詰め込んだ魅力的なモデルだ。5Gや 8K動画など、今後メインになる可能性のある機能がいち早く搭載されている。とくに8K撮影やシングルテイクなどの動画撮影は、今後のスマホカメラの使い方を変えるかもしれないと思わせてくれるほどのスペックだ。バッテリーも改善され、まさにハイエンドにふさわしいモデルといえる。
一方で、Galaxy S10 / Galaxy S10+もまだ十分に現役で通用するハイスペックを誇っている。自分の手持ちの機種と比較し、ぜひ自分にあったスマホを選んでほしい。
文:山本竜也