2020/04/07
TwitterなどSNSの『休眠アカウント』を放置すると危険? 確認や削除の方法を解説
2019年11月、Twitter社が「6カ月以上使用されていない非アクティブなアカウントは段階的に削除する」との方針を発表したが、その後「故人のアカウントに配慮し、非アクティブなアカウントは削除しない」とし、話題となった。SNSを、故人の思い出をとどめるツールとして大事にしている人もおり、そういった人々への配慮がなされたというわけだ。
とはいえ、一般的には長期間ログインしていない「休眠アカウント」をそのままにしておくとまた別の問題が発生する。「なりすまし」や「個人情報の漏洩」といったリスクに晒される可能性があるのだ。これは故人に限った話ではなく、アカウントを“つくりっぱなし”にしているすべての人に言えることだ。
本記事では、休眠アカウントを放置した場合の危険性と、ユーザーが亡くなったときの対応をSNSごとに解説しよう。
休眠アカウントとは?
休眠アカウントとは、長期間ログインしていないSNSやオンラインサービスのアカウントのこと。(「放置アカウント」「休眠ID」とも)
アカウントを作成したものの、まったく使っていないSNSに心当たりはないだろうか。SNSのヘビーユーザーなら、複数のアカウントを使い分けたり、短期間のみ使用する「捨てアカウント」をつくったりした結果、そのまま忘れてしまい、休眠アカウントになってしまうこともある。
また、特定の商品を買うために登録した通販サイト、お試しでダウンロードしたスマホアプリなど、最初の1、2回しか利用しなかったオンラインサービスも意外と多いのではないだろうか。こうして忘れ去られてしまう休眠アカウントが、数多く存在するのだ。
なりすましのターゲットに? 休眠アカウントを放置するリスク
では、休眠アカウントをそのまま放置することで、どんなリスクが考えられるのか。
■個人情報の漏洩
そもそも多くのオンラインサービスではアカウントを作成するとき、氏名やメールアドレスといった個人情報を登録している。サービスによっては自宅の住所、電話番号などが必要になることもある。最近はサブスクリプション方式のサービスも多く、その場合はクレジットカード情報を入力することもある。
たとえば登録したサービスが停止になった場合、管理していた個人情報が漏洩してしまうといったリスクが考えられる。
■アカウント乗っ取りによる「なりすまし」
アカウント乗っ取りによる「なりすまし」も、普段からログインしていないと気づくことは難しい。SNSのフォロワーに対する詐欺サイトへの誘導や、ネットバンキングを利用した不正な送金など、なりすましの被害は多岐にわたる。
また、SNSに登録しているユーザー名やパスワードは、ほかのサービスで設定しているものと同じか、似ていることも多い。ひとたび流出すると、芋づる式にほかのサービスも乗っ取られ、深刻な金銭トラブルに発展するリスクもある。何気なく登録しているSNSやブログも、常に危険と隣り合わせであることは頭に入れておこう。
休眠アカウントを洗い出して削除しよう
このようなリスクを避けるためにも、使う予定のないオンラインサービスのアカウントは削除するのがベターだ。しかし、過去にいくつものサービスを利用してきた人にとっては、いつどこに登録したのか思い出せないこともあるだろう。以下の方法で休眠アカウントを洗い出し、削除してほしい。
1.メールボックスで登録時のメールを検索
最初に確認したいのがメールボックス。アカウントを登録するとき、本人確認のためのURLを記載したメールや、登録完了のお知らせメールが届くオンラインサービスは多い。「アカウント登録」や「メールアドレスの確認」、「登録完了」などの思い当たるキーワードで、メールボックスを検索してみよう。これまでに登録したSNSや通販サイトなどが、一気に洗い出されるはずだ。
2.ブックマークをチェック
続いては、ブラウザに登録したブックマークのチェックを。当初はリピートしようと思っていたオンラインサービスのURLが、そのまま残っていることはよくある。登録名を見て「このサイト、なんだっけ?」とピンとこなかったサイトも、念のため開いてみよう。すっかり更新しなくなった自分のブログや、昔ハマっていた趣味に関係するウェブサービスなどが見つかるかもしれない。
3.アプリの購入履歴からも不要なアカウントがないか確認しよう
ウェブサービスのみならず、スマホアプリで作ったアカウントも確認しておきたい。アプリの購入履歴を見れば、有料アプリの購入とアプリ内課金の履歴が一覧されるため、不要なアカウントの発見に役立つ。
もうひとつ、サブスクリプション型サービスの決済履歴もチェックしよう。加入していることをうっかり忘れていた有料サービスも見つかるかもしれない。以下では、アプリの購入履歴とサブスクリプション型サービスの決済履歴の確認方法を紹介する。
■iPhoneの場合
iPhoneでアプリのサブスクリプション型サービスの決済履歴を確認する場合は、「App Store」アプリを立ち上げ、右上の[ユーザーアイコン]▶最上部の[アカウント名]▶︎[サブスクリプション]を、「購入履歴」を確認する場合は、[購入履歴]をタップすればOK。サブスクリプションの項目そのものが存在しない場合、該当するサービスもないということになる。
「サブスクリプション」「購入履歴」がそれぞれ下のように表示されるので、簡単に確認できる。
■Androidスマホの場合
Androidスマホでアプリの購入履歴を確認する場合は、「Google Play ストア」を立ち上げ、メニューから[アカウント情報]▶︎[購入履歴]タブをタップ。
サブスクリプション型サービスを確認する場合は、「Google Play ストア」のメニューから[定期購入]を選択しよう。
ちなみに、これらの手順で確認できるのは、iPhoneの場合はApp Store、Androidスマホの場合はGoogle Play ストアを経由した決済のみ。直接契約しているアプリの決済については表示されないためご注意を。
亡くなった場合の追悼アカウント
もし、ユーザー本人が亡くなった場合、家族や友人にとってSNSのアカウントが故人を偲ぶ拠り所になることもある。アカウントを安全に残しておくには、どうすればいいのだろうか。
そういった場合には、「追悼アカウント」という選択肢がある。これは故人のアカウントを追悼アカウントへと移行することで、過去の投稿を思い出として残しながら、新規の投稿などはできないように凍結するサービス。アカウントの安全性をしっかりと守りつつ、故人のシェアした投稿文や写真を現世にとどめてくれる。
追悼アカウントへの移行が可能なのは、主要なSNSではFacebookとInstagramのみ(2020年3月18日現在)。移行を申請する際には、死亡証明書などの客観的な書類を遺族が用意することが必要になる。
また、Facebookの場合は自分の死後にアカウントを追悼アカウントとして残すかどうか、あらかじめユーザーが設定することも可能だ。基本的に追悼アカウントには誰もログインできないが、Facebookの場合、生前にユーザーが「追悼アカウント管理人」を指定しておけば、その人だけは故人に代わってアカウントを管理できる。
ただし、その場合も故人の名前での投稿は不可能で、機能は大幅に制限される。万が一に備えるなら、生前に追悼アカウント管理人を指定しておくのが、デジタル遺品の対策のひとつと言えるだろう。
設定方法は、Facebookホーム画面右下の[≡]をタップしてメニューを開き、[設定]▶「アカウント設定」内の[個人の情報]をタップ。
[アカウントを管理]▶[追悼アカウント管理人]をタップ。
すると「追悼アカウントの設定」画面が出てくる。
一方で、TwitterやLINEに追悼アカウントのサービスはない。LINEの場合、LINEポイントやLINE Payの残高を引き継ぐこともできないので、注意が必要。ただし、ここまで紹介した4サービスともに、近親者によるアカウントの削除依頼には対応している(近親者の身分証明証や、故人の死亡証明書が必要)。死後にアカウントを削除したい人は、あらかじめ家族や友人に伝えておこう。
とはいえ、ほとんどのSNSやオンラインサービスでは、本人以外にアカウントの削除はできない。アカウントの削除・凍結に対応しているSNSでも、メールアドレスやパスワードが必要になるケースは多い。遺族にできることは限られているので、ユーザー自身が日頃から各種アカウントをこまめに管理しておくことが大切だ。
休眠アカウントの定期的なチェックを心がけよう
うっかり放置していると、トラブルの引き金になりかねない休眠アカウント。さまざまなオンラインサービスに登録するのが日常化した今だからこそ、そのリスクをあらためて認識し、不要なアカウントは定期的にチェックすることを心がけてほしい。
文:佐藤宇紘