2019/12/17
iPhone 11 Proのカメラ性能を検証! ナイトモードとトリプルレンズの実力を試してみた
バッテリーの駆動時間の向上や、ゲーム、グラフィックがサクサク動く高速CPUの搭載など、さらなる進化が話題のiPhone 11シリーズ。
なかでも注目されているのが「カメラ機能」だ。
暗い場所でも明るく撮影ができる新機能「ナイトモード」をはじめ、背面カメラと同等の画質で自撮りが可能になったインカメラ、被写体までの距離が近くても背景まで広々と撮影できる超広角レンズが加わったトリプルカメラなど、従来の直感的な操作感はそのままに、さまざまなシーンで美しい写真の撮影が可能になっている。
とはいえ、スペックや数値などを見ているだけでは、なかなかわかりにくい。そこで今回は具体的にどんな撮影ができるようになったのかを徹底検証。iPhone 11 Pro MaxとiPhone Xで試し撮りをして比較してみた。
iPhone 11 ProとiPhone Xのカメラ機能比較
まずはiPhone 11 ProとiPhone Xとはなにが違うのか? スペックを比較した表がこちら。
背面カメラの最大の違いは、iPhone 11 Pro(iPhone 11 Pro max)では「望遠」「広角」のほかに、「超広角」での撮影ができるようになっているところ。また「望遠」では、F2.4からF2.0へと進化したことで、より明るいズーム撮影が可能になっている。ちなみに、デュアルカメラのiPhone 11には「望遠」を除いた、「広角」「超広角」はiPhone 11 Proと同スペックのカメラ機能が搭載されている。
インカメラは、iPhone Xに比べて、より広角の撮影が可能になり、また画素数も背面カメラと同等になったため、高画質の撮影ができるようになった(iPhone 11シリーズ共通)。
それでは、iPhone 11 Proのカメラ機能を作例とともに紹介しよう。
光が少ないシーンでもキレイな撮影ができる「ナイトモード」とは
iPhone 11シリーズのカメラ機能の目玉といえば「ナイトモード」。カメラを起動すると、iPhoneが自動的に明るさを調整し、被写体のディテールを残しつつ、ノイズを低減しながら撮影することができるというもので、つまり、暗い場所でも驚くほど明るく写真になる。
「ナイトモード」はiPhoneが明るさを検知し、自動的に起動するので、日中のような明るい時間帯、十分な明るさがある場所ではユーザーが自分で起動させることはできない。
ナイトモードが起動しているかどうかは、画面左下(縦で撮影するときは左上)に黄色いアイコンで「秒数」が表示されることでわかる。そのままシャッターボタンを押せば、iPhoneが適正だと判断した明るさで写真が撮れる。
この秒数が長ければ長いほど「暗い場所」にいるという判断の目安にもなる。このアイコンをタップするとシャッターボタンの横に秒数を調整できるダイヤルが現れるので、表示された秒数以下の範囲内であれば明るさを調整することも可能だ。
「ナイトモード」の注意点
ナイトモード起動中に表示される秒数は、一般のカメラの「露出時間(光を取り込む時間)」にあたる。ナイトモードでの撮影中は被写体がブレやすくなるので、①シャッターを押したらiPhoneはなるべく動かさない、②人物など被写体が静物でない場合はシャッターが切れるまで留まってもらうことが重要となる。風景などを撮影する場合はiPhoneを固定しておける状態にするか、できれば三脚を使用すると失敗がない。
また、ナイトモード起動中に三脚や固定して撮影する場合、iPhoneが「手ぶれがない状態」ということを自動的に検知してくれるので、自動的に露出時間が手持ちのときよりも延長される(今回の撮影では最大26秒まで確認できた)。
「ナイトモード」が生かされる撮影の例
では、どんな場面で「ナイトモード」が有効なのだろうか? iPhone Xと撮り比べてみた。
・夜の公園のスナップ
肉眼での印象が近いのはiPhone Xの写真の方。まわりには光源もなく、ほぼ真っ暗。一方、iPhone 11 Pro Maxの写真はまるで大がかりなライティングをしたような明るさだ。これくらい暗い場所であれば、ナイトモードの明るさは際立つ。
・ホームパーティーでのスナップ
次は誕生日ホームパーティーのシチュエーションで、室内を暗くしたときの撮影。
一見、照明のある普通の室内写真のように見えるが、同じシチュエーションをiPhone Xで撮影すると……
これだけ暗い写真になってしまう。公園と同じく、肉眼での印象はiPhone Xの方が近い。ナイトモードでは、まるでフラッシュ撮影をしたような明るさで撮影ができることがわかる。
ちなみにこちらは1本だけローソクを点けて撮影してみたパターン。
顔の明るさや後ろの壁の絵、ローソクの炎とケーキの質感など、iPhone 11 Pro Maxのほうがきれいに描写されており、iPhone Xでは暗いところが黒くつぶれ、明るいところは白く飛び気味だ。
ナイトモードでは、単に明度を上げているだけではなく、全体に明るさのバランスが取られていることがわかる。
・ライトアップされた建造物
続いては夜のライトアップされた建造物の比較。
絵画館の前には池があるが、iPhone 11 Pro Maxではその水面に反射する絵画館まできれいに写っているのがわかる。ただし、この写真ではライトアップの光が明るいので、ホームパーティーの写真のような差は出ていない。これだけ光源があるシチュエーションでは、どちらのiPhoneでもきれいな写真が撮れるのだ。
そこで上記したナイトモードの露出時間ダイヤルを26秒ほどに設定して撮影してみると……
明るい! くどいようだが肉眼ではiPhone Xの写真の印象に近いシチュエーションだ。水面の反射はさらにハッキリクッキリと写り、光が当たっていない壁面手前の石垣のディテール、また草木の様子までわかる。その結果、昼とも夜ともつかない、まるで絵のように不思議な印象の写真になった。
ナイトモードは、暗いシチュエーションでも被写体をしっかり撮影したいという実用的な目的だけでなく、SNSなどにアップするために、幻想的でちょっと変わった夜景写真を撮りたいといった場合にも大活躍しそうだ。
構図が自在に変えられる「トリプルカメラ」
iPhone 11シリーズでは、iPhone Xの広角カメラに比べ、約4倍の範囲を捉えることができる超広角カメラが搭載されている。それにより、風景や建築物をはじめ、バリエーション豊かな表現が可能になった。では、トリプルカメラでどんな撮影ができるのか? 試し撮りしてきたのがこちら。
・建造物を入れてのスナップ
以上3枚はすべて同じ場所から撮影したもの。超広角では建物の全体像がわかるように、望遠では手前ふたりを主人公に、広角では両方をバランスよく、など、それぞれ撮影意図に合わせてさまざまな画角で撮影ができる。
・仲見世の風景写真
次に、奥行きのある仲見世通りで超広角からデジタル望遠まで、同じ場所から撮影した画角の違いを比べてみよう。
超広角ではとても広い画角でさまざまなものを写り込ませたいときに有効で、奥行きのあるようなシチュエーションでは、その迫力が際立つ。また望遠では奥行きの風景を手前にグッと圧縮できる「圧縮効果」が楽しめる撮影もできる。最後の写真は望遠レンズから、さらにデジタルズームを使用したもの。デジタルズームを使うと画質が少々粗くなってしまうのだが、超広角と比べたときの表現の差がいかに大きいかがわかる。
・初詣での記念撮影
人で賑わう場所などは、限られたスペースで撮影することも多い。その点、トリプルカメラであれば、撮影位置を変えることなく、倍率を選択するだけでさまざまな構図が簡単に変えることができる。
・広角レンズでポートレート撮影も
iPhone 7 Plusから搭載されている、背景がボケた一眼レフのような撮影ができるポートレートモードもiPhone 11シリーズでは進化。これまでよりも近い距離からでも、広角レンズで背景がボケた写真の撮影が可能になった。
わざわざ少し離れた位置まで離れなくても、広角で気軽に撮影できるので、より気軽に一眼レフのような撮影が楽しめる。
自撮りでも大人数で記念撮影ができるようになった「インカメラ」
iPhone 11シリーズのインカメラは、ワイドな画角で撮影可能。手持ち撮影でも広角で撮影できることで、密接な寄り撮影も回避。見切れ、顔きれなどなく、背景もばっちり入った背面カメラと同等の解像度の高い撮影ができるので、こちらも大勢の人で賑わうイベントなどにもぴったりだ。
iPhoneカメラはさらに進化していた
ナイトモードしかり、レンズ倍率の操作しかり、iPhoneのカメラは「難しいことを考えず、カメラアプリを起動すればなんとかなる」というユーザーインターフェイスはそのまま、特にナイトモードの搭載で「暗所でも強い」ことがわかった。
明るいところから暗い場所まで、超広角から望遠まで、さらには4K動画までを小さなiPhoneひとつですべてまかなえてしまうというのはもはや驚愕といえる。日常からイベントまで、さまざまなシーンでiPhoneカメラでの撮影を楽しんでみてほしい。
文:よもぎ三太郎
撮影:HAYASHI★2019
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