2019/08/26

スマホの画面はなぜ割れる? 画面割れの原因と対策から修理方法まで解説します

スマホの落下によって起こる画面割れ。ふとした瞬間に手から滑り落ちたり、置いていたらなにかに引っかかって落としてしまい、液晶にヒビが入ってしまったという経験がある人も多いのではないだろうか。実際、auの故障受付でもっとも多い問い合わせは「ディスプレイ破損」、いわゆる「画面割れ」だ

スマホ落下

そもそもなぜ、画面割れは起こるのか? 割れるときと割れないときの違いはどこにあるのか? 今回はスマホに使われているガラスの性質から、画面割れを起こさないようにする対策、割れてしまったときにどうすべきかまで、詳しく解説しよう。

画面割れの原因は? 約半数は「手からの落下」

まずは、スマホの画面割れの原因から見ていこう。auの実施したアンケート調査によると、原因のほとんどが「落下」であることが判明した。スマホをぶつけてしまうなどのアクシデントによる画面割れはほとんどない。

スマホが画面割れを起こした原因

なかでも半数を占めるのが「手からの落下」だ。まるでスマホが生き物のようにスルリと手から離れてしまった、なんて経験はないだろうか。油断したり別のことを考えたりしていると、ついつい「スマホを持っている」という意識が薄くなることがあるので注意が必要だ。

こういった落下事故を防ぐために、スマホはポケットではなく、バッグに入れておくのがベター。その際は、バッグの中で硬いものに当たらないように注意したい。やむを得ずポケットに入れる場合も鍵などと接触しないようにし、とくに胸ポケットに入れる場合は、走ったり前屈みになるときに手で押さえるように習慣づけよう。

実際にスマホを落としてしまうシーンとして多いのは「移動中」だ。移動中は他人とぶつからないように歩くなど、周囲に気を取られやすいことが背景にある。また、急いで電車に乗ろうとして手からスマホを落としてしまう人も多い。事故のリスクも高まるので、歩きスマホやながらスマホは絶対に避けよう。

画面割れの原理とは? 実は「割れやすい落とし方」も

それにしてもスマホの画面割れは不思議だ。同じスマホでも、強い勢いで落としてしまい「あ゙ー! これは割れた!」と思ったら意外と大丈夫だったり、低いところから落としただけなのに、蜘蛛の巣のようにヒビが入ってしまうこともある。

では、こうしたスマホの画面割れは、物理的にはどういった理由で起こるのだろうか。KDDIの品質管理グループの桑田卓哉と岡野眞里華に話を聞いてみた。

KDDI商品企画本部プロダクト品質管理部品質管理グループマネージャー桑田卓哉(左)と、同グループ岡野眞里華(右) KDDI商品企画本部プロダクト品質管理部品質管理グループマネージャー桑田卓哉(左)と、同グループ岡野眞里華(右)

――まずはスマホディスプレイの構造を教えてください。

桑田「「スマホは、いちばん上に強化ガラス、次にタッチパネルセンサー、その下に液晶という3層の構造になっています。強化ガラスはいわばカバーのような役割を持っています。

いわゆる画面割れというのは、強化ガラスの部分が破損してしまった状態です。画面割れを起こしてもしばらく使用できるのは、その下のタッチパネルセンサーや液晶が壊れていないからなんです」」

スマホの断面イメージ図

――言ってみれば表面の強化ガラスが身をていして中の機械を守っているということですね。ところで強化ガラスと普通のガラスとはなにが違うんですか?

桑田「「スマホの強化ガラスは、化学反応を利用して密度を高めた層で表面を覆っています。この密度を高めた層は『圧縮力』が働いており、ガラスの表面を強くしています。一方、ガラスの内部では外に広がろうとする『引張り力』が働きます。

簡単に言うと、物体の表面では内向きの力が、内部では外向きの力がそれぞれ働いているわけです。この2つの力のバランスが保たれることで高い強度が実現しているんです」」

スマホの強化ガラス断面イメージ図

――それでも割れてしまうときはどんな力が働いているんでしょうか。

桑田「「たとえばアスファルトなどの粗い面への落下による力をガラスが受けたとき、その衝撃が大きすぎて受け止めきれずに圧縮力の強化層が突き破られると、このバランスが崩れてしまいます。引っ張り力が圧縮力を上回ってしまい、スマホの画面割れが起こるのです」」

スマホの強化ガラス割れイメージ図

――内部に留まっていた力が解放されるイメージですね。ところで同じスマホでも、落として割れてしまうときと、意外と大丈夫なときがありますよね。あれは落とし方によるものなんですか?

桑田「「ガラスの性質として、力を分散しやすい『面』での衝撃より、力が一部に集中する『点』での衝撃に弱いんです。だから画面割れは、スマホの角や側面から落としてしまったケースが多くなります。実際に割れたスマホを見ると、その大半は角や側面を起点にヒビ割れが生じていますよね」」

――確かに画面の内側を銃弾で撃たれたようにヒビが入っているスマホは見たことがありませんね。

桑田「「もうひとつ注意していただきたいのは、ガラス表面の傷です。キズは強度を下げるウィークポイントになるので、次に落としたときにそれが原因で、さほど高い位置から落としたわけではないのに割れてしまうといったことが起こり得ます。

ポケットに鍵と一緒に入れたりしているだけでも、スマホは少しずつ傷ついていきます。日頃からダメージを与えないような使い方を心がけてください。」」

――最近ではスマホの大型化が進み、ベゼルレスデザインも流行っています。大型化すれば手から落としてしまうリスクや、ガラスを守るベゼル(枠)がないぶん、側面からの衝撃を受けやすくなります。

岡野「「確かに画面割れに繋がる機会そのものは増えていると思います。ただ、一方でメーカーさんの努力によって強化ガラスの品質も常に進化を続けていています。また、特定の機種に同梱されている試供品カバーも画面割れに対するメーカーさんの努力のひとつなんです。デザイン性を損なうことなく、画面割れの対策も実現するというメーカーさんの思いにより、実は画面割れのお問い合わせの件数は少しずつ減少しているんですよ」」

――なるほど。ガラス割れを起こさないために普段からできることはありますか?

岡野「「先ほどお話したように、ガラス表面について目に見えないようなキズが強度を弱くしてしまうことがあります。キズを防ぐという意味でも、やはりケースやカバーをつけておくに越したことはありません

ケースがガラス面よりも1mm程度高くなっているだけで、擦りキズを防ぐことができます。auでは、特定の機種をご利用のお客様を対象に、抽選でスマホカバーをプレゼントするキャンペーンを定期的に開催しています。スマホカバーに抵抗感があるお客さまもいらっしゃいますので、ぜひこういった機会に試していただいて、その効果を体験していただければと思います」」

auのキャンペーンで配布されたスマホカバー auのキャンペーンでプレゼントされたスマホカバー

※2019年8月現在、スマホケースのプレゼントキャンペーンは開催していません。

画面割れを防ぐための対策は?

スマホの画面は衝撃の加わる部位や角度によって、その強度に差が出ることがわかった。こういった事態に備えて、日頃からスマホを保護しておくことが重要だ。以下では、画面割れを防ぐための対策を紹介しよう。

■スマホカバーを活用する
画面割れを防ぐために欠かせないのがスマホカバーの装着だ。とはいえ、ひと口にスマホカバーといっても形状はさまざま。また、せっかくスマホカバーを装着していても、落下時に外れてしまい、二次的な衝撃によって画面が割れてしまうこともある。スマホから外れにくい、装着面のしっかりしたものを選択するのがポイントだ。

【ブックタイプ】
もっとも安全な選択肢は、ブックタイプ(手帳型)のスマホカバーだ。スマホの角だけでなく、画面、背面もしっかりと守ってくれるため、液晶ガラスへのダイレクトな衝撃を最小限に抑えられる。ただし、落としたときに衝撃でケースから外れてしまう場合がある。しっかりとスマホをホールドしてくれるタイプを選ぼう

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【ケースタイプ】
ケースタイプのスマホカバーは、落下時の液晶ガラスと地面の接触面をどれだけ減らせるかが肝になる。スマホの一部を露出させるデザインのものもあるが、四方を満遍なく覆ってくれるアイテムを選びたい。スマホカバーそのものの強度や、手から滑り落ちにくい素材にこだわることも有効な対策になるはずだ。

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■液晶保護フィルムを貼る

もうひとつ、画面割れ対策の王道といえば、液晶保護フィルムを貼ること。強い衝撃からスマホを守ることは難しいかもしれないが、日頃から蓄積されていく小さなキズからガラス面を守ることができる。液晶ガラスの強度を保ち、スマホが割れやすくならないように対策しておこう。

【フィルムタイプ】
保護フィルムは樹脂製のものが一般的で、衝撃に対してガラス面の強度を強くするというよりも、ガラス表面にキズがつかないようにすることと、フィルム自体が「やぶれ」に強いので、万が一、画面割れが起きてしまった場合にガラスの飛散を防ぐ効果がある

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【ガラスタイプ】
ガラス面へのキズを防ぐことはもちろん、フィルムタイプに比べて強度が強いので、ガラスフィルムそのものが割れることで本体への衝撃を緩和する効果が期待できる。スマホは耳にあてるので、ガラスフィルムは割れたまま使用せず、すぐに張り替えて、消耗品として利用しよう。

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■スマホリングを使用する
安定性にかけてはナンバー1。スマホの背面にリングを取り付け、指を差し込むことで安定してスマホを使用することができる。落としたときの画面割れを防ぐのではなく、そもそもスマホを落とさないようにするためのツールとして効果が期待できる

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実際に画面が割れてしまったら? 使い続けるのはNGです

スマホの画面割れは予期せずに起こるため、完全に防止するのは難しい面もある。実際に画面が割れてしまった場合の対処法も知っておきたい。

大前提として、そのままスマホを使い続けるのはNGだ。ガラスの破片が手に刺さったり、床に落ちて家族が踏んでしまったりと、自分や周囲の人を怪我させてしまう恐れがある。また、内部をさらけ出したまま使用することは、当然ながら動作上の問題が起こるリスクも高い。迅速に修理へと持ち込むことがベターだろう。

画面割れに備えて、あらかじめキャリアの保証プランに加入しておくことも有効だ。たとえばauでは、故障した端末の修理・交換などを格安で受けられる「故障紛失サポート」を月額630円で用意している。紛失時の代替機のお届けやデータの復旧などもサポートしてくれるため、万が一のトラブルの対策にもなる。

スマホの画面割れは、誰にでも起こる身近なアクシデント。日頃からスマホの使い方に気をつけたり、スマホカバーをはじめとした対策を打っておくことで、そのリスクを最小限に抑えるようにしよう。

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文:佐藤宇紘

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