2019/07/23

災害時にスマホでできること 安否確認から情報収集、バッテリー対策まで

災害時、スマホや携帯電話は家族の安否を確認し、自らの命を守るための非常に重要なツールとなる。では、災害が発生した直後に、まずすべきことはなにか? 本記事では「災害発生時にスマホや携帯電話でできること」を目的別に分けて解説。非常時はもちろん、いつ起こるかわからない災害に備えるためにも一度目を通しておいてほしい。

【目次】

家族の安否を確認し、自身の安全を発信する

災害発生時にまず気になるのが、家族や知人の安否だ。電話で確認しようとしても被災地では電話回線が混み合い、つながりにくくなる場合がある。

そこで、まずはインターネットや被災地外の伝言センターを利用して素早く安否の確認や登録ができる「災害用伝言ダイヤル(171)」と「災害用伝言版サービス」の使い方、SNSでの安否確認や救助要請の方法を解説する。

■まずはネットで安否確認。「災害用伝言版」、Google「パーソンファインダー」

通信会社が提供している「災害用伝言版サービス」は、災害時にのみ利用ができるインターネット上の伝言板だ。震度6以上の地震といった大規模災害の発生後30分を目標に設置される。携帯電話番号で登録して、自分が無事であることを書き込んでおく。安否を確認したい相手はその番号で検索し、書き込みを確認できるというシンプルなもの。

電話回線が混み合っていて家族や友人と通話できないときは、まずこちらを利用してほしい。

【「災害用伝言板サービス」の利用方法】

▼スマホ・携帯電話から伝言を登録する方法
①災害時に、通信会社各社の公式サイトトップページに設置される災害用伝言板の案内にアクセス

※auスマホの場合は「au災害対策」アプリからの利用も可能。
 au携帯電話(4G LTE)の場合は、
 メニュー画面 > アプリ > au災害対策 > 災害用伝言板 にアクセス。
 au携帯電話(3G)の場合は、
 EZボタン > トップメニュー > 災害用伝言板 にアクセス。

② 災害用伝言板トップページで「登録」を選択
③ 被災状況を選択して、コメントを入力。再度「登録」を選択
④ 登録内容を確認して「はい」を選択し、登録完了

災害用伝言板の情報登録方法
※画面はKDDI(au)のもの

▼スマホ・携帯電話から情報を確認する方法
①通信会社が開設する「災害用伝言板サービス」のページにアクセスする。

・KDDI(au)
・NTTドコモ
・ソフトバンク/ワイモバイル

② 災害用伝言板トップページで「確認」を選択
③ 安否確認したい人の携帯番号を入力して、検索を選択
④ 確認したい安否情報を選択
⑤ 安否情報を確認する

災害用伝言板の情報確認方法
災害用伝言板の情報確認方法
※画面はKDDI(au)のもの

「災害用伝言板サービス」について詳しくはこちら
KDDI(au)NTTドコモソフトバンクワイモバイル

【Google「パーソンファインダー」の利用方法】

類似の伝言版サービスとして、Googleが提供している「パーソンファインダー」がある。こちらは名前だけでの登録も可能で、周辺の人の情報も代理で登録することができる。災害用伝言板やNHK「安否情報ダイヤル」、「J-anpi 安否情報まとめて検索」などとも連携しており、連携先に情報があればそちらの検索結果も表示される。

Google「パーソンファインダー」(安否情報)

使い方は下記を参考にしてほしい。

■電話で伝言を残す。「災害用伝言ダイヤル(171)」

「災害用伝言ダイヤル(171)」とは、電話を使ってメッセージを録音・再生できるサービスのこと。

被災地外にある伝言センターに接続するので、被災地の回線が混み合っていてもつながりやすい。被災地の回線の混雑回避のためにもこちらを利用してほしい。

【伝言を録音する方法】
① 「171」に電話をかける
② ガイダンスに従って、録音の「1」を入力
③ 電話番号を市外局番から入力する。携帯番号でも可
④ 数字の「1」を入力
⑤ 「無事です、自宅にいます」といったメッセージを録音して「9」を入力し、録音完了

【伝言を再生する方法】
①「171」に電話をかける
② ガイダンスに従って、再生の「2」を入力
③ 連絡を取りたい被災地の方の電話番号を入力する
④ 数字の「1」を入力
⑤録音された「無事です、自宅にいます」といったメッセージが流れる

■使い慣れたSNSで家族と連絡。LINE「グループトーク」機能

スマホ利用者の約8割が使用しているLINEアプリだが、災害時にはその「グループトーク」機能が役立つ。普段から家族でトークのグループをつくっておくことで、災害時、家族全員の安否確認を簡単に行うことができる。

グループにメッセージを送ると、既読マークの隣に数字が表示される。これは、グループ内でメッセージを開いた人数だ。たとえば、4人家族で既読3になっていれば、全員が無事だとわかる。家族全員が使い慣れたLINEであれば、災害時も慌てずに利用できるというメリットがある。

LINEグループトーク機能での安否確認

上の画像のように既読した人の数はわかるが、誰が読んだかまではわからない。もし人数が合わなければ、メッセージのやり取りで未読の人を確定させよう。

■自分の居場所を送信できる。LINE「位置情報送信機能」

災害の混乱のなかで自分がいる場所を伝えたいときには、LINEで簡単に現在地を送ることができる。自分の安否を伝えることにもなり、自分の居場所がわからないときでも詳細な現在地を伝えることができる。

【現在地を送る方法】
①「設定」アプリ>「LINE」>「位置情報」が許可になっていることを確認
②トーク画面の「+」マークから 「位置情報」を選ぶ
③表示された地図上に現在地が表示されるので、「この位置を送信>」の吹き出しをタップ

LINEの位置情報の送信方法 受信側もGoogleマップで現在地を確認できる

■通知に回答するだけで安否を報告できる。Facebook「災害支援ハブ」

Facebookの「災害支援ハブ」を利用すれば、Facebookでつながっている友達にまとめて安否を知らせることができる。

【利用方法】
プロフィールに記載されている居住地や、現在地が被災地域である場合、Facebookから安否を確認する通知が届くので、それに答えるだけでOK。

Facebook災害支援ハブ

無事であれば「自分の無事を報告」というボタンをタップ。最新情報を示す通知とニュースフィード記事が作成され、Facebook上の友達に安否が報告される。一方、災害の影響を受けた地域にいなかった場合は、「影響を受けた地域にはいません」というボタンをタップすると、無事であることを示してくれる。

■Twitterで救援要請のツイートをする

Twitterを使って救援要請を行うときは「#救助」を覚えておこう。地元の消防署や警察などが定期的にTwitterで「#救助」を検索していたり、ツイートを見た人の連絡によって助けがくることもある。

Twitterで緊急救助を求める場合は、「#救助」とともに要請内容、写真、住所または位置情報など、なるべく具体的で正確な情報をとともに投稿しよう。

なお、ハッシュタグは後述する情報収集の際にも役に立つので覚えておいてほしい。

Twitterでの救援要請ツイートの例

救助が完了したら報告ツイートをするとともに、当該の救援要請ツイートの削除も忘れずに行っておこう。

情報収集がしたい

被災時には、被害状況はもちろん避難所や支援などに関するさまざまな情報を得ることが非常に重要になってくる。特にSNSは地域ごとの支援といったローカルな情報を探すのに適している。

ここでは、Twitterやアプリを使った情報収集の方法を紹介する。

■必要な情報をまとめて閲覧できる「#(ハッシュタグ)」検索

「コンビニなどが自主的に行っている支援」や「避難所やトイレとして開放されているビルや建物」といったローカルな情報もリアルタイムに流れてくるTwitterは、災害時も情報収集に最適だ。あるキーワードに関して情報検索をするときは、「#(ハッシュタグ)」を利用しよう。

また、Twitterで被害状況を報告する際には、「#️○○市災害」のハッシュタグをつけることが推奨されている。検索する際には必要な地域の情報をまとめて確認できるので覚えておこう。(例:#️渋谷区災害、#️大阪市災害)

■災害時に役立つTwitterアカウント

公式アカウントをフォローすることも、災害に関する情報の入手には効果的だ。

首相官邸や消防庁のアカウントは災害情報を、防衛省のアカウントは災害活動情報を発信している。自宅のある自治体やその地域の報道機関などのアカウントをフォローしておけば、現地の情報も入手できる。Twitterライフライン(@TwitterLifeline)では、災害時に役立つアカウントのリストを都道府県ごとに作成している。

■リアルタイムで被害情報の確認ができる「#減災リポート」
株式会社ウェザーニューズとTwitter Japan株式会社が協業で公開しているサイトも役に立つ。「#減災リポート」がついた被害報告のツイートが、位置情報を元にマップおよびリスト上にプロットされるので、どこでなにが起きているのかがひと目でわかるというもの。リアルタイムで更新されるので、常に最新の状況を把握できる。

「#減災リポート with ウェザーニュース」

■防災アプリで情報収集
スマホアプリにも、災害時に役立つものが多数ある。素早く情報を得られ、オフラインでも使用できるものもあるので、チェックしてみてほしい。

Yahoo!防災速報
緊急地震速報に加えて、警報や避難勧告、雨雲レーダーなどを現在地と、設定した3地域をまとめて確認できる。

au災害対策アプリ
auユーザー用に、「災害用伝言板」「緊急速報メール」「災害用音声お届けサービス」「災害関連情報」など災害発生時に迅速な避難や安否確認を支援するサービスがひとつのアプリにまとめられている。

全国避難所ガイド
全国の自治体が定めた災害時の避難所や避難場所を約13万件収録。AR(拡張現実)を使って、現在地からもっとも近い避難所や避難場所の方位を表示してくれる。

スマホや携帯電話のバッテリーを維持するために

停電が発生した際や手元に充電器がない場合は、スマホのバッテリーを温存しておく必要がある。ここではバッテリーを維持するための方法を紹介する。

・ディスプレイを暗くする
バッテリーをもっとも消費するのはディスプレイ。使用する際には輝度を落として、画面の自動オフの時間を短くするなどすれば電池を長持ちさせることができる。

・「低電力」や「省電力」のモードに設定する
最近の機種では、iPhoneでは「低電力モード」が、Androidでも「省電力モード」といった名称で、電池の消費を抑える機能が搭載されていることが多いので災害時には利用しよう。なお、このモードに設定しても通話やLINE、SNSといったアプリの使用は可能だ。

・通信状況が悪い場合は「機内モード」にする
電波状態が悪い場所では電波を探すために電池を消費してしまう。通信機能をオフにする「機内モード」に設定しておけば無駄な消費を抑えられる。

ほかにも通信量の多いアプリの使用制限、バックグラウンド更新や不要な位置サービスのオフといった対策も可能。下記を参考に行ってほしい。

災害時に無料Wi-Fiが利用できる「00000JAPAN」

携帯電話ネットワークに頼らず安否確認や情報収集をするため大規模災害発生時に開放される無料Wi-Fi「00000JAPAN」。どの通信会社のスマホや携帯電話でも、Wi-Fi接続ができる機種なら利用可能だ。

使い方やセキュリティについては以下を参考に。

以上を参考に、災害発生時も落ち着いて行動してほしい。

なお、こちらの動画には「震災時に携帯電話をどう使ったらよいか」がわかりやすく10のポイントでまとめられているので、もしものときの備えにぜひ見ておきたい。

災害に備えて普段から準備しておくこと

大規模な災害が発生する前にスマホや携帯電話でできる「準備」を紹介する。

■緊急速報をオンに
「緊急地震速報」や「津波警報」、「Jアラート」など、身を守るための速報はきちんと受信できる設定になっているだろうか? 確認しておいてほしい。

■iPhoneの「緊急SOS」と「メディカルID」を知っておこう
iPhoneがロック時でも警察、消防、海上保安庁に素早く通報できる「緊急SOS」や、血液型や持病など緊急時に医療関係者が必要とする情報をすぐに表示可能な「メディカルID」の登録方法と使い方を知っておこう。

■モバイルバッテリーを普段から準備しておく
災害時、スマホや携帯電話は必要不可欠なツール。バッテリー切れで使えないことがないように、普段から準備しておくと心強い。

これまでの災害の経験を経て、スマホや携帯電話に関する非常に多くのサービスや対策が提供されている。いざという時にも慌てず、冷静に対処するためには、それらの知識を身につけ、あらかじめ家族と話し合い、上手に使いこなすことが重要だ。この機会に、ぜひ家族と一緒に本記事を読んでほしい。

文:TIME & SPACE編集部

※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。