2019/01/30

iPhone『Live Photos(ライブフォト)』機能の使い方 簡単な撮影・加工テクとは

iPhoneの「Live Photos(ライブフォト)」機能とは、写真だけでなく、撮影した前後1.5秒ずつ、合計3秒間の映像と音声も保存する、まるで“動く写真”を撮影できる機能だ。

この「Live Photos」はiPhone 6s以降のモデルに標準搭載されており、以前、このTIME & SPACEでもこの機能を使い、クルマのヘッドライトがまるでレーザービームのように撮影できたり、川の水の流れがシルクのように幻想的な写真になる「長時間露光」が簡単に撮影できることを紹介してきた。

Live Photosの「長時間露光」を使った作例

Live Photosの「長時間露光」で川の流れを撮影

このように「動く写真が撮れる」という特徴を最大限活かせるのが、動きのあるシーンの撮影だ。さらに「Live Photos」には、「長時間露光」以外にも「バウンス」や「ループ」といった面白いエフェクトがあり、使い方によっては静止画よりもグッと面白くなるシーンが存在する。

そこで今回は、「長時間露光」以外でも使ってみたい「Live Photos」の利用シーンを紹介していこう。

「Live Photos」はどんなシーンの撮影に向いている?

「Live Photos」は動きを表現したいシーンでの撮影……たとえば「走る電車や自動車のヘッドライト」「ライトアップされた観覧車やメリーゴーランド」「滝や渓流、波」といった「長時間露光撮影」で効果を発揮するシーンをはじめ、「連続した動きのある被写体」を撮影するとその面白さが発揮できる。

逆に、壮大な景観や無風の状態の空といった、「動きや変化の少ない風景」、「銅像や静物の写真」などを撮影するケースには向いていない。そうした撮影時には、「Live Photos」は「オフ」にしておくことをおすすめする。

「Live Photos」のエフェクトと使い方

まずは「Live Photos」の基本的な使い方。

カメラを立ち上げると上段メニューの真ん中にある「◎」マークを選択。「◎」マークが黄色の「オン」の状態で撮影ボタンを押すと、静止画としてJPG形式のファイルが保存されるとともに、ほぼ同容量のMOV形式の動画ファイル(3秒)も保存される。

「Live Photos」のオンとオフ 「◎」マークが黄色になっていれば「オン」、白で斜線になっていると「オフ」

次にエフェクトの使い方。iOS 11以降ではこの「Live Photos」のメニューに新たにエフェクト機能が追加されており、撮ったままのデータである「LIVE」のほかに、「ループ(繰り返し動画)」「バウンス(行ったり来たり動画)」「長時間露光」という3つのエフェクトを選択できる。

「Live Photos」加工画面 「Live Photos」で撮影した写真を上にスワイプするとエフェクトメニューが出てくる

ちなみに、「Live Photos」で撮影されたデータは「写真」アプリの「アルバム」>「メディアタイプ」>「Live Photos」から簡単に探すことができる。

「Live Photos」のアルバム

知らないうちに「Live Photos」で撮影してしまったデータが残っているようだったら、写真を3D touchしてみてほしい。撮影時の情景が短編の動画のように再生できるのだ。

「Live Photos」で撮影すると面白い被写体を探してみた

それでは、「Live Photos」で撮影すると面白い「連続した動きのある被写体」とはどんなものか? 編集部で撮影した作例とともに紹介しよう。

作例1●可愛い猫ちゃんもより愛らしく

「Live Photos」で撮影した猫ちゃん

「その一瞬」を捉えるのがなかなか難しい被写体といえば「赤ちゃん」と「動物」。しかし「Live Photos」で撮影すれば、静止画では捉えにくい可愛らしい一瞬を押さえることができる。ほんの数秒間ではあるが連続する動作が見えることで静止画では見えなかった魅力が「Live Photos」では捉えることができる。

作例2●ずーっとシュワシュワしている生ビール

「Live Photos」で撮影した生ビール

例えば鍋料理などを「Live Photos」で撮影すると立ち上る湯気の様子も収められ、「おいしそう感」がグッと増す。作例は、「ループ」で保存した気泡が立ち上がる生ビールの様子。静止画では表現しづらい「シュワシュワ」感が「Live Photos」では演出できる。

作例3●風に揺らめいている植物

「Live Photos」のループを使ったひまわりのGIF

「Live Photos」でおすすめしたいのが、風に揺らめく植物の撮影。静物写真のジャンルになる草花も、「Live Photos」の「ループ」や「バウンス」で加工すると、まるで植物自身が動き出しているような不思議な光景が撮影できる。

作例4●牛乳を注ぎ続ける女

「Live Photos」で撮影した、牛乳を注ぎ続ける女

こちらはフェルメールの名画『牛乳を注ぐ女』をオマージュしたお遊びバージョン。「らしさ」を引き出すコツとしては「人物は3秒間、極力じっとしてもらう」、そして「コップに注がれている牛乳は大胆に入れる」だ。撮影後は「ループ」で保存をすると『牛乳を注ぎ続ける女』の完成だ。このフェルメールの他にも、ぜひ「Live Photos」で名画の世界を再現してみてはいかがだろうか。

「Live Photos」データの共有方法

また、「Live Photos」は写真のようにシェアや共有することもできる。

iPhone同士の場合は、メッセージ(iMessage)やAirDropを使って共有したり、最近では、Instagramの「ストーリー」やLINEのトークにも対応が開始され、利用シーンがますます拡大しつつある。

LINEやストーリーでLive Photosを共有する LINEのトークルームでの送受信やInstagramのストーリーの「Boomerang」を使って「Live Photos」を共有することもできるようになった

共有した「Live Photos」データの閲覧は、iPhoneもしくはMac系PCであれば、保存した形式のまま見ることができる。

また、LINEでも「Live Photos」のアップ&再生が可能になっているが、FacebookやTwitterでは「Live Photos」データに対応していない。静止画としてはアップできるが、動画としてアップする際はGIF形式に変換する必要がある。

「Lively」や「GifMov」といった無料のGIF変換アプリを使用すれば、「Live Photos」で作成したデータはどこでも再生できるようになる。

「撮影する前後1.5秒」の世界をユニークな表現で作品化することができる「Live Photos」のエフェクト機能。極端に動作が速い被写体には向いていないが、静止画の延長線にある「動く写真を撮る」という感覚であたりを見てみると、さまざまな可能性がまだまだありそうだ。

ぜひ、「Live Photos」をオンにして撮影を楽しんでいただきたい。

文:よもぎ三太郎