2015/04/21

世の中をもっと良くするアイデアを応援! スタートアップ支援プログラム『KDDI ∞ Labo』第8期がスタート

KDDIとパートナー企業15社が行う、スタートアップ支援プログラム「KDDI ∞ Labo」。インターネットサービスに関する優れたアイデアを提案したチームを選出し、3カ月間、メンター(助言者)とのコミュニケーションを図りながら開発を進めるものだ。

3月26日には東京・渋谷ヒカリエ内にあるKDDI ∞ Laboのオフィスにて、第8期として選ばれた5チームの発表会が開催された。各チームのプレゼンテーションに先立ち行われた江畑智広KDDI ∞ Labo長の挨拶によると、今季、参加を希望したチーム数は過去最高に。また、以前はその中の1〜2%程度にすぎなかったIoT(モノのインターネット)やハードウェア領域のアイデアを提案するチームが、10%前後にまで増えているという。

最終的に選出された5チームのサービス内容と、メンタリング企業による選定理由の説明は以下のとおり。

シンデレラシューズ(未法人)

代表の松本久美氏(左)と開発担当の大内遙河氏(右)

女性ユーザーがウェブ上で自身の足に関する情報を登録することで、ぴったりとフィットする靴を選び出すサービス。経済産業省が行った調査によると「靴ずれなどのトラブルに遭った経験のある人」は男性で72%、女性ともなると91%に上るといい、日本の全人口に当てはめると8千万人を超える数字となる。代表の松本久美氏は靴のデザイナーでもあり、「靴と足とを結びつけるサービスが必要だと考えた。女性たちの靴に関する悩みを解決していきたい」と、抱負を述べた。

〈メンタリング企業コメント〉三井不動産株式会社 光村圭一郎氏
三井不動産はこれまでもKDDI ∞ Laboでの支援を行ってきましたが、ゼロからのビジネス立ち上げは初めての経験となるので、とても楽しみにしています。選定理由は、明確なニーズが存在しており、例えば、当社の女性社員にシンデレラシューズの話をすると「欲しい」という強い反応がありました。このサービスによって、今まで一部の人しか享受できなかったサービスが多くの人に届くのではないかと考えています。

LYNCUE(未法人)

LYNCUEのコンセプトを説明する塩塚丁二郎氏

遠隔地同士を照明でつなぐというユニークな発想の「照明型IoTデバイス」。これを利用すると、例えば、大阪に単身赴任中の父親が夕食時に照明(LYNCUE)のスイッチを入れると、同じくLYNCUEを利用する東京の家族が住む家の電気がつく。「今、お父さんがテーブルについた」と、離れていても存在を感じることや、時間を共有しているかのような体験ができるのというものだ。デモ試作機はプロジェクターとカメラを組み合わせたもので、上述のような家族間での利用のほか、遠隔プレゼンテーションなど、ビジネスの場面で使われることも想定している。

〈メンタリング企業コメント〉株式会社日立製作所 岡田亮二氏
LYNCUEを選んだ最大の理由は、ずばり面白いから。我々、日立製作所はものづくりをする企業であり、そこにKDDIさんの持つ通信の力を加えることで、彼らのアイデアを形にできるのではないかと考えています。今の段階では、コンセプトが若干広めだと感じておりますので、ここから的を絞り、そして3カ月の期間でできるだけのことを進めていきたいです。

Oshareca(株式会社えほむ)

Osharecaの必要性を語る佐竹夏美氏

美容師個人を指名予約できるプラットフォーム。例えば、予約という観点から見ると現在、美容院予約の7割は電話によるもの。しかし、電話したら予約が埋まっていた。接客中で美容師さんがなかなか電話に出てくれないなどの要因から顧客満足度の低下に結びつく場合がある。そんな不満やその他の美容院での経験を改善するサービスがOsharecaである。代表の佐竹夏美氏は「既存顧客に特化したプラットフォームのため、何回も美容院に行きたくなるようなユーザーエクスペリエンスにしたい」と語った。学生枠での参加。

〈メンタリング企業コメント〉株式会社クレディセゾン 浦田文秀氏
単なるウェブ予約だけでは目新しさはありませんが、美容師・美容院という着眼点は面白いと思い、選定しました。というのも、美容師は所得が低い、美容院同士の過当競争が起きている、周囲に相談できる同業者がいない......などの悩みを抱えている場合が多い。Osharecaは、それらを解決するための出発点にしたいと考えています。

Bee Sensing(未法人)

Bee Sensingは社会人経験豊富なメンバーで構成。そのため、松原秀樹氏は「ぼくたちのせいで第8期の平均年齢が上がってしまったかもしれない」と語り、会場の笑いを誘った。

養蜂業者を支援するIoTソリューション。蜂の巣箱にIoT AI(AIは人工知能)を備えつけデータを収集、生産者と消費者にとってプラスとなる生産管理を行う。過疎地のような人が少ないところが養蜂には適しており、プロジェクトの成功によって農業や地方の活性化につなげることも目標にする。また、国産蜂蜜の流通量は7%に過ぎず、ほとんどが輸入品であるため、代表の松原秀樹氏は「Bee Sensingによって国産が50%を占めるようにしたい」と抱負を述べた。

〈メンタリング企業コメント〉凸版印刷株式会社 永野武史氏
私自身、社内で新たな事業創出に努めており、農業もその1つ。代表の松原さんは養蜂家で、自身がユーザーとして使いやすく課題も解決できるサービスを考えていらっしゃいます。明確な課題を解決するサービスというところに引かれ採択しました。Bee Sensingはイノベーションを起こす可能性を秘めたものであり、ぜひ3カ月後を楽しみにしていただきたいと思います。

PICK UP!(株式会社SUPERSTUDIO)

目指すコンテンツを説明する企画担当の真野勉氏

DIY関連のハウツー動画を掲載するメディア。アクセサリーなどの簡単な作業から上級者向けまで、幅広い動画を取り揃えることでコンテンツ拡充を目指す。また、関連商品を販売するECサイトとしての機能も将来的には持つ予定。東京・足立区内の倉庫を拠点に、DIYスクール開催や美大生とコラボしたコンテンツづくりも検討しているという。

〈メンタリング企業コメント〉株式会社テレビ朝日 里見諒氏
率直に言って、今の時代に動画コンテンツをビジネスとして立ち上げ成功させるというのは、厳しい戦いになると思っています。それにもかかわらず選定したのは、動画を通して人を喜ばせる、驚かせるというPICK UP! の理念がテレビ局員として琴線に触れたからです。「元祖動画屋」のテレビは斜陽の時代といわれていますが、動画の市場に風穴を開けられるよう頑張っていきたいと思います。


パートナー企業は第7期まで13社だったが、今回、日立製作所とクレディセゾンが加わり、15社に。また、全国各地のスタートアップ支援団体との連携による地域活性化も模索し、その第1弾として大阪イノベーションハブとの提携が決定したことも同日、発表された。

各チームには「β版のローンチ」「操作画面のUI完成」といったゴールが設定されており、3カ月の期間でその達成を目指す。さまざまな分野で「イノベーション」が叫ばれる今、KDDI ∞ Laboから世界を驚かせるシステム、ソリューションが生まれることを期待したい。

文:藤麻 迪

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