2020/09/29

周囲の音が聞こえる『耳を塞がないイヤホン』とは?音質や音漏れなどについて解説

ここ数年のイヤホンは、ノイズキャンセリングを搭載し、なるべく外音を遮断して音楽に集中できるタイプが主流となっている。しかし、仕事中にBGMのように聴きたい人や、外を歩いているときにも使いたいが周りの音が聞こえないと不安だという人や、話しかけられた際に、いちいち外さなければいけないことを面倒に感じている人もいるだろう。

イヤホンをして仕事をしている女性のイメージ

また、テレワークやオンライン会議(Web会議)などが増えたことで、長時間にわたってイヤホンを使用する機会が増えている。長時間、イヤホンを使用していると、耳が痛くなったり、圧迫感を感じたりすることがある。

そんな声に応えるよう、最近では「骨伝導タイプ」のほかに、「イヤーカフ型」や「オープインイヤー型」といった「耳を塞がないイヤホン(ながら聴きイヤホン)」の種類が増えてきた。いったい耳を塞がないイヤホンとはどういう仕組みなのか。メリットやデメリット、どのような場合に向いているのかなどを紹介する。

耳を塞がないイヤホンの構造は大きく3つある

耳を塞がないイヤホンには、大きく3つの種類がある。

・骨伝導タイプ

骨伝導イヤホンのイメージ

古くからあるタイプで、耳に音を入れるのではなく、こめかみの下や耳の裏などの骨に振動を伝えることで、鼓膜ではなく聴覚神経に直接音を届ける。耳を塞がないので、外部の音も問題なく聞こえる。

・オープンイヤー型

オープンイヤー型イヤホンのイメージ

耳に装着し、鼓膜に音を届けるのは通常のイヤホンと同じだが、耳を完全には塞がないので外部の音も取り込みやすい。

・イヤーカフ型

イヤーカフ型イヤホンのイメージ

名前の通り、耳にはさんで固定するのが特徴。固定方法以外は、基本的にオープンイヤー型と同様で、耳を完全には塞がずに外部の音も取り込むことができる。

音質や音漏れは?

耳を塞がずに外部の音も聞こえるとなると、音質や音漏れが気になるところだ。商品によって音質の特長は異なり、また使用者によっても体感はさまざまだが、最近のものはかなり音質が向上しており、通常のイヤホンと遜色ないことをアピールする商品も出てきている。

一方、音漏れについてはタイプごとに異なるほか、さまざまな技術で音漏れを軽減しているが、基本的に音は漏れるものだと思っておいたほうがいい。通常のイヤホンと同様に、音楽に集中するために音量を上げてしまうと、もちろんそれに比例して音漏れも大きくなる。図書館など静かな場所や、電車内などすぐそばに人がいる環境では、使用を避けたほうが無難だろう。

耳を塞がないイヤホンはこんなときに便利

耳を塞がないメリットはいくつか考えられるが、主なところでは以下の3つが挙げられる。ひとつでも当てはまるなら利用を検討してみるといいだろう。

・家事や仕事中もBGMのように音楽を聴きたいとき

音楽は聴きたいが、耳を塞いでしまうと家のチャイムや電話に気が付きにくい。オフィスで話しかけられたとき反応できないと困る。かといってスピーカーから音を出すことはできないといった場合に、外の音も聞こえるので安心して使える。

・イヤホンの閉塞感や圧迫感が苦手という人

イヤホンを長時装着していると耳が痛くなる、耳を塞がれる閉塞感や圧迫感が苦手という人もいる。耳を塞がないイヤホンであれば、そうした感覚を覚えにくい。また、オープンイヤー型も外耳孔にはめて使うが、中央部分が開いているため、痛みや圧迫感を感じにくい。実際に付けてみて、自分にあった型を選ぶと良い。

・ウォーキングやランニングなどのスポーツ時

ウォーキングやランニングなど、音楽を聴きながら運動したいが、外音が聞こえないと不安だ。耳を塞がないイヤホンなら、そんなシーンにぴったりだ。ただし、自転車でのイヤホン使用は危険なだけではなく、条例違反になる可能性もあるので避けよう。

耳を塞がないイヤホンを着用してランニング

さまざまな種類がラインナップされている

耳を塞がないイヤホンはさまざまなモデルが登場しており、着用感や音の好みなどもあるため、店頭で実際に試聴することをおすすめしたい。

・完全ワイヤレス骨伝導イヤホン BoCo「PEACE TW-1」

世界初をうたう左右独立の完全ワイヤレス骨伝導イヤホン。外耳道から音を入れて直接鼓膜を振動させるのではなく、骨を通じて聴覚神経に音を届ける。

BoCo PEACE TW-1

商品名/PEACE TW-1
メーカー/BoCo
タイプ/骨伝導タイプ

・オープンイヤーステレオヘッドセット ソニー「STH40D」

外耳孔にはめるというスタイルは通常のイヤホンと同様だが、イヤーピースの中央が開いており、外部の音をそのまま聞くことができ、耳を完全に塞がないデュアルリスニング構造を採用しているのが特徴だ。こちらは有線タイプだが、ワイヤレスタイプの「SBH82D」もラインナップされている。

ソニー STH40D

商品名/STH40D
メーカー/ソニー
タイプ/オープンイヤー型

・圧迫感のないイヤーカフ型 「ambie sound earcuffs」

耳を塞がないイヤホンの代表格ともいえるambie(アンビー)のイヤホン。耳に挟んで固定するイヤーカフ型なので、圧迫感がなく、コードが服などに擦れて聞こえるタッチノイズもほとんど発生しない。なお、ワイヤレスタイプの「ambie wireless earcuffs」もある。

ambie sound earcuffs

商品名/ambie sound earcuffs
メーカー/ambie
タイプ/イヤーカフ型

スマホでの音楽試聴が当たり前になり、またテレワークなどの機会が増えたことで、以前よりもイヤホンを着用する機会が増えたという人もいるだろう。イヤホンの使用環境や目的が多様化しているなかで注目されはじめている「耳を塞がないイヤホン」だが、通常よりも聞こえにくくなるのは間違いない。外で音楽を聴く際は周囲に配慮しつつ、自分にあった最適の1台を選んでほしい。

文:山本竜也