2020/09/01
スマホのソーラー充電は何時間?防災セット「Anker Power Bag」のソーラーパネルで試してみた
大雨による災害などで停電が起きてしまった場合、スマホの電源確保は重要な問題だ。家族の安否確認や情報収集など、災害時にはスマホが生命線ともなり得る。常日頃からの備えとして、ぜひとも非常時の充電方法を確保しておきたい。
以前の記事 でも紹介したが、理想の災害への備えは「モバイルバッテリー」だ。普段使いのモバイルバッテリーとは別に、不測の事態用のモバイルバッテリーを用意しておくか、乾電池式充電器を持っておくことが理想の備えだ。しかし、事前の充電が不足してたり、乾電池が手に入らないなど、災害が長期化した場合の保険としては、手回し充電やソーラーチャージャーといった選択肢が出てくる。
ここで重要なのは、実際にどれくらいの時間でどの程度充電されるかということだ。特にソーラーパネルはその大きさや天気によっても変わってくるので、目安を知っておくことが大事な指標となる。
そこで今回は、auとAnkerが特別災害対策セットとして販売している「Anker Power Bag」に同梱の「ソーラーチャージャー」を取り上げ、その充電能力や使い勝手を検証した。
Anker Power Bagとは?
今回、検証に使ったのは、全国のauショップやau Online Shopなどで発売されている特別災害対策セット「Anker Power Bag」だ。KDDIとAnkerによるコラボレーションアイテムで、複数の防災グッズがセットになっている。
そのセット内容は、折りたたみ式のソーラーチャージャー「Anker PowerPort Solar Liteソーラーチャージャー(15W)」に加え、スマホやタブレットなどさまざまなデバイスを1本で充電できる3in1ケーブル(Lightning、micro USB、Type-Cとの接続が可能)、そしてIPX4の防水性能を持つ容量10リットルの収納バッグの3点となっている。
このソーラーチャージャーを使ってさっそく実験をはじめよう。
ソーラーチャージャーでスマホを充電してみた
折りたたみタイプのソーラーチャージャーの多くは、ソーラーチャージャーに搭載されたUSBポートからスマホやモバイルバッテリーに接続して蓄電する方式だ。
はたして、ソーラーチャージャーのスマホへの充電スピードはどんなものなのか?今回の充電実験をしたのはiPhone 4s、iPhone 7、iPhone Xの3機種。
まず、晴れの日に屋外で約1時間充電した結果がこちら。
(2ポートのうち、スマホの接続1ポートを使用)
iPhone 4s 13%(バッテリー残量0から開始)
iPhone 7 22%(バッテリー残量67%から開始)
iPhone X 15%(バッテリー残量69%から開始)
iPhone 4sのようなバッテリー残量が0のものから、現役で使用しているiPhoneXなど、バッテリー残量や機種によって差分があるが、このように1時間の充電で概ね13〜22%の充電ができることがわかった。
次に同様の条件で曇り空の日で試したところ、3機種とも5〜7%だった。やはり晴れの日に比べると発電効率や充電スピードは落ちてしまうようだが、それでも停電などでコンセントから充電できない場合など、もしものときに、太陽光とソーラーチャージャーだけで充電ができるのは頼もしい。
屋内はどうか?窓際にパネルを置き同様の実験を試みたが、問題が発生。屋外とは違い、屋内では日の傾きにより1時間のうち日差しが遮られるタイミングがあったため、まる1時間の充電とはならなかった。太陽光にあたったぶんの充電はできることがわかったが、影になりにくい置き場所を探す必要がありそうだ。
このことからも、ソーラーチャージャーを使用する際には、以下のことを心がけると効率よく充電ができるようになる。
・曇りよりも晴れで使用する
・屋内より屋外で使用する
・夕方よりも日陰ができにくい日中に使用する
・少しでも放電ロスをなくすためスマホの電源はオフにする
検証して気づいたこと&注意点
ほかにも、実際に充電してわかったことや注意点があるので、まとめておこう。
・直射日光のスマホ高温化に注意!
屋外は日陰ができにくく充電効率はよいのだが、真夏の晴天ではソーラーチャージャーの発電効率がよくなる一方、接続したスマホやバッテリーが高温化し、注意喚起が表示されることがあった。もちろん、スマホには高温対策のためのさまざまな対策が施されているものの、充電が停止してしまったり、故障の原因にもなり得るため注意しよう。このような表示が出た場合は、すみやかに充電をストップし、涼しい場所に退避させる必要がある。
対応としては、長めのケーブルを使い、ソーラーチャージャー本体を日なたに、スマホを影になるバッグに退避させるなどといった工夫が考えられる。モバイルバッテリーに充電する場合もスマホと同じく高温化を避けることが必要だ。
・充電には時間がかかる
ソーラーチャージャーは、放っておいても「太陽さえ出ていればどこでも充電ができる」ことが最大のメリットだが、その充電にはモバイルバッテリーやコンセントに比べ、どうしても時間がかかってしまう。今回のように1時間で13〜22%であることから、半分程度まで充電するにも数時間はかかる。また、屋内でもパネルに太陽光が受光できれば充電は可能だが、日の傾きなどにより太陽光がパネルに受光できないタイミングができてしまうなど、常に監視する必要があった。
実験では電源を切った状態で試したため、電源をオンにしての充電や、使いながら充電という場合は、さらに充電効率が鈍化してしまう可能性が高い。
また、今回の実験で気づきのひとつとしてあったのが、屋外で充電する場合、盗難が気になってスマホから目が離せなかったということだ。特に人の出入りが多い場所では、充電できているかも含め、きちんと目が届く範囲で充電できるようにしたい。
このことからも、やはり災害用の備えとしては、充電済みのモバイルバッテリーをメイン機として、ソーラーチャージャーはサブ機として用意しておくことが良さそうだ。
いざというときのために
毎日の生活に欠かせなくなっているスマートフォンだが、地震や台風など自然災害に遭遇した場合には、家族や友人との連絡手段であり、情報収集などライフラインの要にもなる。そんなもしものときに、太陽光だけで充電できるソーラーチャージャーなど、この記事を参考に、スマホまわりの備えを見直してみてはいかがだろうか。
文:よもぎ三太郎
撮影:HAYASHI★2020