2019/11/14
iTunes終了でデータはどうなる? iPhone/新macOSとの同期やバックアップ法を紹介
2001年の登場以来、Macの音楽プレーヤーソフトとして、またiPhone、iPodの同期ソフトとして18年にわたって愛されてきた「iTunes」が、その役目を終えようとしている。
2019年10月にリリースされたmacOS「Catalina(カタリナ)」では、iTunesが担っていた機能が「ミュージック」「Apple TV」「Podcast」の3つに分割され、iPhoneとの同期機能は「Finder」に引き継がれた。
すでにこの3機能が分割されていたiPhoneに、macOS側が追随したというかたちだが、iPhoneやiPadユーザーにしてみれば、主要アプリがなくなるという大きなインパクトを感じる事態だろう。と同時に「過去のライブラリはどうなる? 同期できる?」という不安が首をもたげるかもしれない。
ライブラリの引き継ぎは極めてスムーズ
iPhoneやiPadとMacを同期させて使うユーザーにしてみれば、もっとも気になるのは過去のライブラリがちゃんと引き継がれるかということだろう。結論から言えば、問題なく引き継がれる。初回起動時にこれまで使ってきたiTunesライブラリを指定すれば、あとは自動で最適化してくれる。iTunesで作成したプレイリストやスマートプレイリストも大丈夫。ちなみに、現状、Windowsユーザーは従来通り「iTunes for Windows」を利用することができる。
iPhone、iPadとの同期はOSそのものに統合
iPhone、iPadをMacと同期する際、これまではiTunesを開く必要があったが、今後は「Finder」がその役目を担うことになった。iPhoneなどのデバイスをMacに接続すれば、「Finder」のサイドバーに表示される。また、iPhoneやiPadのバックアップをMacで行うときも、これまでのiTunesではなく、Finderで行うことになる。
「Finder」に統合されたことで、ファイルは簡単にドラッグアンドドロップで移動することが可能だ。iTunesを立ち上げずに、iOSデバイスとの連携を図れるようになったのはとても便利。
一方で「ミュージック」とiPhoneが完全に無関係になったわけではない。MacとiPhoneが接続された状態で「ミュージック」を開けば、これまでのようにサイドバーにiPhoneが表示され、各種操作ができる。
気になる使い勝手は上々。とはいえ、ヘビーユーザーは注意点も
iPhoneユーザーの多くが「ミュージック」アプリを使用しているだろう。では、Macでの「ミュージック」の使い勝手はいかなるものか?
もっとも大きなトピックは、iPhoneの「ミュージック」と同様、Apple Musicで音楽を聴くことを中心に据えたインターフェースになっていることだ。アプリを開くたびに、ユーザーの好みに合わせてパーソナライズされたApple Musicのベストセレクションが「For You」に表示される。iPhone版のインターフェースに慣れたユーザーなら、違和感を感じることはないだろう。
もちろんiPhoneと同様、自身で保有する楽曲もストレスなく聴くことができる。アーティスト、アルバム、曲、プレイリスト、最近追加した曲は、これまで通りサイドバーから選択可能。iTunes Storeにもすぐにアクセスできるほか、CDから音楽が読み込みできるのも従来通りだ。
ただ、長らくユーザーに寄り添ってきたiTunesには、膨大なプラグイン(追加のプログラム)や連携ソフトが存在する。それらのなかには、現時点(2019年11月)でアップデートの対応ができていないものもあるようなので、自分がMacで使用しているアプリの状況を確認したうえで、macOSをアップデートしたほうが安心だ。
「ミュージック」はシンプル&パワフルに生まれ変わった
iTunesが終了すると発表され、iPhoneとの連携やライブラリの管理はどうなるものかと思った人は多いだろう。しかし、フタを開けてみれば、iPhoneの「ミュージック」アプリと同様の操作が可能になったうえ、同期もとてもスムーズになっている。使いやすい部分はそのままに、より安定し、さらにシンプルで直感的な使い勝手を実現しているように感じた。
ちなみに、今回のmacOS「Catalina」は、iPadがサブディスプレイとして使える新機能「Sidecar(サイドカー)」など、iPhone、iPadユーザーにとって利点の多いOSとなっている。iOSデバイスとMacとの距離が一段と縮まった最新OSをぜひ体感してほしい。
文:吉州正行