2019/10/07

スマホ動画撮影の手ブレを解消! 運動会にレジャーに使える『ジンバル』を試してみた

「ジンバル」をご存知だろうか? こちらのスマホを装着しているグリップ部分がジンバルだ。動画撮影に使えば、圧倒的な威力を発揮する。

スマホを装着したジンバル

スマホで動画を撮影する場合、最大の弱点はカメラの「手ブレ」や「ブレ」だ。どちらも撮影時に手やスマホが震えたり揺れたり傾いたりしてしまうこと。とくに子どもやペットなど、動いている被写体を追いかけながら撮影するときに起こりやすく、動画を再生してみたら見ている人が「酔ってしまう」ということが起こる。

そういったシチュエーションでも、ジンバルを利用すれば、センサーとモーターによって手ブレを抑えて滑らかな映像を撮ることができる。

「回転」「水平方向」「垂直方向」という3軸で手ブレを防いでくれるジンバルは、もともとスケボーやスノボなどのエクストリーム系のスポーツと親和性が高く、アクションカメラを使用して激しいトリックを撮影する機材として人気が高かった。しかし最近では、そうした本格的なモデルが小型化し、また比較的お手頃価格で手に入るようになり、YouTuberや動画撮影を趣味とする人まで、広く使われるようになってきた。

どんな仕組みで手ブレを防ぐ?

最近のスマホは手ブレ防止機能も向上しており、細かい手ブレについては吸収してくれるが、走りながらの撮影など大きな動きが伴う場合にはさすがに限界がある。

では、ジンバルはどんな仕組みで手ブレを防ぐのだろうか。通常、ブレは以下の3つの方向で発生する。

・回転
・水平方向(左右)
・垂直方向(上下)

スマホのブレ方

では、実際にスマホを装着したジンバルの動きを見てみよう。

ジンバルの動き方

「回転」「水平方向」「垂直方向」に対して、ジンバルはセンサーで動きを感知し、それぞれの回転軸に搭載された小型モーターによって、スマホの向きや傾きを電子制御。撮影者が動いても急激に画面は揺れたり傾いたりすることはない。また「右のほうが撮りたいな」「下にスマホを向けたいな」という場合、撮影者の動きに応じて非常に滑らかに追従する。

実はもうひとつ、「上下動」(歩行時などに画面が上下に揺れること)という大きな手ブレがあるのだが、現状の多くのジンバルはそれ用のモーターは搭載していない。ただ3軸を制御することで、ある程度は軽減される。

スマホにジンバルを装着し、いろいろ撮ってみた!

今回はDJI「OSMO MOBILE 3(オズモ モバイル スリー)」にXperia 1を装着し、撮影してみた。

「OSMO MOBILE 3」のサイズは折り畳んだ状態で、大きめなスマホとほぼ同じ。幅はひとまわり大きく、グリップはカラオケで握るマイクのような感覚だ。重さはこのタイプのスマホの2倍弱。

DJI「OSMO MOBILE 3」 今回の撮影で使用したジンバル、DJI「OSMO MOBILE 3」

スマホとはBluetoothで接続し、専用アプリをインストールすることで、ジンバル側から撮影機能を操作できるようになる。撮影を開始するには、スマホのアプリを立ち上げ、ジンバルに装着し、Bluetoothでつないで使用する。

公園を駆ける子どもを撮影

まずは公園で走り回る子どもを撮影。目の前を通り過ぎる動きに合わせてスマホを振り、曲がりくねった小道を追いかけてみた。走るとスマホは上下動し、小道のカーブでスマホは傾く。そんな「垂直方向」と「回転」のブレをジンバルが吸収。動画はガクガク揺れることなく、滑らかな仕上がりに。

望遠で動きのあるシーンを撮影

また、運動会で活躍シーンの多い望遠での撮影も試してみた。望遠は画面に映るスペースが小さいため、少し動いただけでも画面は大きく上下左右にブレる。リフティングも安定した状態で撮影することができ、水平方向へのドリブルもスムーズに追うことができた。ジンバルありの場合、望遠でも「垂直」「水平」方向のブレを軽減。小さな画角でも安定した画面になる。

手ブレを防ぐだけじゃない? ジンバル撮影でできること

普通のスマホ動画撮影の強い味方となるだけでなく、超クールな動画も作れる。「OSMO MOBILE3」は独自の「STORY」モードを搭載。演出テーマがプリセットされていて、ジンバルのオーダー通りに撮影すれば自動的に編集、音楽をつけて10秒程度のプロ級映像に仕立ててくれる。こんな具合に。

なお、市販のジンバルには専用のアプリが無料配布されていることが多い。今回の撮影で使用したDJI「OSMO MOBILE 3」の場合、「DJI MIMO(マイ モーメント)」というアプリを使用することで、さまざまな機能を活用することができる。

「手のひらをかざす」「ピースサイン」の2種類を認識し、スマホから離れて自撮りする場合に役立つ「ジェスチャーモード」など。また、画面で捉えた被写体を登録すれば、ジンバルが認識し、自動的に追尾して撮影してくれるトラッキング機能。運動会でわが子だけを狙って撮るのに超便利だ。超早回し風の映像が撮れるタイムラプスやカメラを移動しながらタイムラプス撮影を行うモーションラプスなども非常に使えるのだ。

商品名/DJI「OSMO MOBILE3」
全長/285mm(折り畳み時157mm)
重量/405g
価格/13,750円(税抜)

価格もこなれてきたジンバル、1万円代でかなり選べる

ジンバルには一眼レフやアクションカメラを搭載できるタイプのものもあるが、スマホ専用ならば、1万円台が中心。それぞれ専用アプリを備え、「OSMO MOBILE3」同様に、トラッキング機能やタイムラプス/ハイパーラプスなどは、おおむね標準装備。なかでもお値ごろ感がある、特徴的な3台を紹介しよう。

プロ級のピント合わせと高速の被写体に強い
ZHIYUN「SMOOTH 4」

ZHIYUN「SMOOTH 4」

折りたたみ式ではないが非常にプロ的な機能を持つZHIYUN(ジーウン)の「SMOOTH 4」。本体左手の「ハンドホイール」と呼ばれる円形のパーツを回すと、画面内でピントを変えることができる。つまり、背景に合っていたピントを手前の人物に合わせるといった映画的な撮影が可能。また「PHONEGOモード」では、ボタンひとつでジンバルを制御するモーターのトルクを最大にすることができ、カーレースや野生動物など、素早く移動する被写体をきちんと捕捉できる。

商品名/ZHIYUN「SMOOTH 4」
全長/全長328mm
重量/547g
価格/14,545円(税抜)

簡単で使い勝手よし! 専用アプリ以外も使える
MOZA「Mini-SE」

MOZA「Mini-SE」

MOZA(モザ)の「Mini-SE」は簡単で使いやすい1台。独自アルゴリズムによる3軸バランス調整機能により事前の調整が非常に容易で、スマホを取り付けて起動させればすぐ最適なバランスを調整。使用するスマホが変わっても「セットして電源を入れるだけ」で、すぐに使える。またBluetoothではなく、同梱の「カメラコントロールケーブル」で接続すれば、専用アプリ「MOZA Genie App」以外のカメラアプリを使ってもスマホとジンバルを連携させることができる。

商品名/MOZA「Mini-SE」
全長/318mm(折り畳み時195mm)
重量/498g
価格/10,167円(税抜)

超小型! 毎日持ち歩いて毎日使いたい
FeiyuTech「VLOG pocket」

FeiyuTech「VLOG pocket」

機種名の「VLOG」とはビデオブログの略。日々を動画で記録しておくのに最適なFeiyuTech(フェイユーテック)の超小型ジンバルは、なんと272gと超軽量。折りたたみ状態での全長は145.6mmと、文字通りポケットで持ち運べる手軽さ。でありつつ、専用アプリとの連携で、自動追尾、タイムラプス、パノラマ撮影など、特殊撮影も簡単に。そして、色! ベーシックな黒に加えて、このピンクも! 女子のみなさんも存分に意識した一品である。

商品名/FeiyuTech「VLOG pocket」
全長/242mm(折り畳み時145.6mm)
重量/272g
価格/11,500円(税抜)

ジンバルはスマホを最強動画撮影ツールにする!

ジンバルが劇的に進化したのはこの数年。各メーカーがスマホを視野に入れ、高性能のジンバルが次々とお手頃な価格帯でリリースされ始めている。ネックだった「大きさ」についても、折りたたみ式が一般化し、誰でも手軽に手ブレしない滑らかな映像が撮れるようになった。この季節、子どもの運動会や行楽シーズンは、ジンバルでの動画撮影を始めるのにぴったり。動画撮影の最初の一歩として揃えてみてはいかがだろう?

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文:TIME & SPACE編集部