2019/01/07

ドローンと自動車が合体! 陸も空もOKな「未来の技術」をエアバス・アウディが開発

エアバスとアウディが共同で開発を進めているドローンタクシー「Pop.Up Next」が、2018年3月に発表していたプロトタイプのテスト飛行をアムステルダムで開催されたイベント「Drone Week」で成功させ、大きな話題となっている。

ドローンタクシー Pop.Up Next
ドローンタクシー Pop.Up Next

陸・空の両方を移動できる革新的なアイデア、10年以内に実用化

Pop.Up Nextは、これからの大都市開発において環境に配慮し、交通渋滞や移動の問題を解決する新たな移動手段として2017年から開発が始まった。

小型の2人乗り自動運転車とドローンが合体し、用途にあわせて陸と空の両方を移動できるという革新的なアイデアは、航空機メーカーのエアバスと自動車メーカーのアウディがそれぞれのモジュールを開発し、アウディの子会社であるItaldesignがデザインを担当。2018年3月にジュネーブ・モーターショーで初めてプロトタイプが発表され、ユーザーを中心とした新しい交通システムのコンセプトモデルとして注目されていた。

ドローンタクシー Pop.Up Next

その後初となるパブリックテスト飛行では、乗客カプセルを備えた地上モジュール(自動運転車)に自律的にコントロールされたフライトモジュールが正確にドッキングし、飛行できることが証明された。ここ数年でベンチャーを含め、数多くのメーカーがドローンタクシーのビジネス化を進めているが、Pop.Up Nextのテスト飛行の成功は、新しい交通手段の実用化をさらに一歩現実に近づけるインパクトを市場全体にもたらした

気になる合体シーンだが、ロボットアニメで見るような複雑な操作はまったく不要だ。地上モジュールが静止している真上にフライトモジュールが正確に、静かに着地。合体が完了すると地上モジュールはそのまま目的地へと移動するまでもが自動で、乗客はなにもする必要はない。その間は映画を観ても、眠っていてもかまわない。気がつくと目的地にたどり着いているというわけだから、まさしく夢の移動手段といえそうだ。

今回テスト飛行を成功させたのは、実用化を予定している車両の1/4スケールモデルだが、続けてフルサイズのプロトタイプによる試験飛行を行い、10年以内に実用化するとアウディは宣言している。テスト飛行の模様は、以下の動画で見ることができる。

ドローンタクシー Pop.Up Next 左/テスト飛行を成功させた1/4スケールのプロトタイプモデル 右/フルスケールのプロトタイプモデル
ドローンタクシー Pop.Up Next ドローンモジュールと乗客カプセルの合体から飛行まではすべて自律コントロールされている

インフラや自動運転技術などの開発も同時進行

フライトモジュールの開発はエアバスの子会社Voomも協力しており、南米でテストを繰り返して、安定した飛行性と正確なコントロールを実現。同社はメキシコシティやサンパウロでヘリコプター便を運営しており、そのノウハウを元にドローンタクシーを手配するシステムも開発する。

また地上モジュールの開発を担当するアウディは、車体はもちろんバッテリー技術などの自動運転車に必要なテクノロジーもあわせて開発。アウディはスマートシティとコミュニティ化を進める欧州イノベーションパートナーシップの枠組みのなかで「アーバンエアモビリティ・フライングタクシー」のプロジェクトを支援し、法規制や新しいライセンスづくりなど、インフラ整備に参画している。

デザインを担当したItaldesign社長のDr. Bernd Martensは、「大都市でのマルチモーダル化は確実に需要があり、空中でも道路でも、便利で効率的な飛行タクシーサービスを提供できる」と提言。空と陸両方の移動をひとつのモビリティで快適に楽しめる時代が、間もなくやってきそうだ。

文:野々下裕子