2018/07/18
体の調子どこまでわかる? スマホでチェックできる『セルフ検診』キットを試してみた
忙しくて病院や検査に行く余裕がない人ほど体調管理は気になるもの。そこで利用したいのが、ネットで検査キットを購入し、結果をスマホでチェックできる「セルフ検診」だ。
セルフ検診は、自宅にいながら手軽に健康や体調管理ができるシステム。検査結果はオンラインでチェックでき、ただ結果を知るだけでなく、それを元に体質改善を行うためのサプリメント送付や、医師や専門家のアドバイスが受けられるオプションも用意されているものもある。
体質や栄養バランスのチェックを目的にしたものもあり、なんとなく体調が気になるけど医者に行くほどではないという場合や、スポーツを始めたのでその影響を知りたいなど、さまざまなニーズに合わせて検診できる内容も増えている。
今回は、尿でカラダの栄養バランスが検査できる「VitaNote(ビタノート)」を実際に利用してみたので、体験をもとにセルフ検診がどのようなものかを紹介しよう。
尿検査でカラダに必要な栄養バランスがわかる「VitaNote(ビタノート)」
VitaNote(ビタノート)は尿を検査して、カラダのエネルギーや調子を整えるのに必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルなどがバランスよく摂れているかをチェックできる。まずは検査結果から、厚生労働省が定めている摂取目標量を基準にAからEの5段階で状態を判定。詳細な解説や、どのように改善すればいいかを検討できるだけでなく、結果にあわせて配合されたテーラーメードのサプリメントを購入することもできる。
ビタノートには以下の3つのタイプのキットが用意。
・「VitaNote 基本キット」
→食生活や体調の影響を受けやすい15項目をチェックできるもの
・「VitaNote athlete」
→スポーツやカラダづくりに関連する10項目をチェックできるアスリート用のタイプ
・「VitaNote mama」
→妊活や妊娠中に必要な栄養素7項目をチェックできるタイプ
いずれも利用方法は同じで、実際にオンラインで検査を申し込んだところ、数日で検査キットが送られてきた。検体を送り返すと1〜3週間(キットにより異なる)でスマホやPCから結果が見られるという仕組み。
基本キットの価格は7,500円(税別)で、割引のある定期コースも用意されている。テーラーメードのサプリメントは1回につき15日分(1日あたり3包)を4,980円(税別)で、必要だと思った時だけ申し込めるのでリーズナブルだ。
検体の採取方法は学校や会社で行う尿検査とほぼ同じで、郵送のため検体に保存剤を追加するといったステップはあるが、同封された説明書のとおりにすれば簡単にできる。
ここで注文から検体をポストに投函するまでのステップを紹介しよう。
- ① まず最初にビタノートのサイトから検査キットを注文。
- ② 次に会員登録。一度手続きをしておくと次のからはログインだけで注文できる。
- ③ 検査キットが到着(3営業日)
パッケージの中には検体を採取するプラスチック管と安定剤、採尿コップ、検体を入れる黒いビニール袋と返信用封筒、そして利用ガイドが一緒に入っていて、それらを取り出したら、あとはガイドにしたがって採尿する。
- ④ 採尿。採尿は必ず朝一番に行わなければいけないが、キットが届いてすぐに行わなくても数日中であれば結果には影響しない。
- ⑤ キットを投函。ポイントはプラスチック管には必ず安定剤を加えること。返送は同封の返信用封筒に入れて投函するが、夏の暑い時期は検体に影響が出る場合があるので、投函タイミングには注意が必要だ。
今回実際に試してみたが、検査のやり方そのものに難しいところはなく、気になるポイントはほとんどオンラインのFAQで説明されていて、問い合わせフォームもあるので安心感があった。
また、セルフ検診ではキットに登録された専用ID(あるいは認証コードなど)の登録が必要で、結果の通知を知るためにはあらかじめオンラインで登録しておく必要がある。検査結果の通知も登録に使用したメールアドレスに送られるので、忘れないようにしよう。なお、IDは送付されたパッケージなどにも書かれているが、なくすと再発行はできないので、キットが届いた時にスマホで写真を撮っておくなど対応しておきたい。
今回は検体を投函してから10日後に検査結果が出たことを知らせる通知が届いた。そこに書かれているリンク先から登録したアカウントとパスワードでログインすると、検査結果を詳細に見ることができた。
ビタノートの基本パッケージでは、たんぱく質やカルシウム、ビタミンB1など15項目すべてのトータルな摂取状態を点数による総合スコア(100点に近いほどバランスが取れている)と、AからEの5段階評価で知ることができる。15項目それぞれの摂取状態の過不足についても、良好、不足、過剰の3段階で色別に表示され、それらの結果がまとめられたグラフによってひと目でわかるようになっている。
さらに栄養素毎に詳しい摂取状態をリスト形式でもチェックできる。摂取状態のスコアと評価、過不足状態が一覧で見られ、それぞれの栄養素をタップすると詳しい摂取状態がグラフで表示される。グラフは一日の目標摂取量に対し、検査結果の摂取量がどれだけあったかを比較したもので、誤差が少ないほど良好だといえる。また、結果に対してどのような対応をすればいいかをアドバイスするページと各栄養素が多く含まれた食品のリストもあり、それらを参考にしつつ体質改善を行える。
驚いたのは採尿だけでこれほど細かく各栄養素の摂取状態がわかるということだ。栄養素によって摂取状態もバラバラだが、これは検査した時にかなり食生活が乱れていたのでうなずける結果だ。
それよりも普段から不足が気になっていた栄養素がはっきりしたので、食事メニューやサプリメントなどで補充を心がけるきっかけになった。
では、ほかにはどんなセルフ検診があるかを紹介していこう。
多くの自治体に採用されている血液検査キット「スマホdeドック」
KDDIが提供するセルフ健康チェックサービス「スマホdeドック」は、ほんのわずかな血液だけで一般的な健康診断と同じ検査が受けられる。
タイプは2つ。生活習慣病などにつながるコレステロールや栄養状態を調べられる「生化学14項目検査セット」(4,980円、税別・送料別)と、胃の不調などの原因となるピロリ菌の有無を調べられる「胃がんリスクチェックABC分類」(7,980円、税別・送料別)だ。いずれも検査結果を分析し、現在どのような状態で、どう対応すればいいかをわかりやすく解説してくれる。
検査方法は、指先から専用の吸引器でほんのわずかな血液(0.065ml)を採取して行う「即時血しょう分離技術」で、日本、欧米で特許を取得している。
検査結果の信頼性の高さから一部の自治体では特別価格で検査キットが購入できるようになっており、検査結果の通知から30日間以内であれば専門家へ対策を相談することができる。(一部自治体キャンペーンを除く)
注目の腸内フローラをDNAレベルでチェック「Mykinso(マイキンソー)」
「Mykinso(マイキンソー)」は、腸内フローラと呼ばれる腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)から、おなかの調子や太りやすさを調べることができるセルフ検診だ。
検診方法は健康診断で行う検便と同じで、キットを受け取ってから3カ月以内で、都合のいいタイミングで検査を行える。価格は19,440円(税込)で、結果が出るのに6週間ほどとやや長い時間がかかるが、結果が出たらスマホやPCからすぐに確認できる。最先端の生物学を元に腸内細菌全体をDNAレベルで検査することで腸のタイプが判断でき、下痢や便秘になりやすいかもわかる。おなかのトラブルに悩みがちな人には試してみる価値はありそうだ。
子宮頸がんのリスクを自宅で調べられる「PAPI’Qss(パピックス)」
自分で採取した子宮頸部の細胞を郵便で送付し、子宮頸ガンの原因とされているHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染を検査できるセルフ検診キット「PAPI’Qss(パピックス)」。国内では21カ所しかないCAP(米国病理学会:College of American. Pathologists)が認定する検査機関で検査が行われ、同時にガンのリスクまで調べられるのが特徴だ。
ガンの早期発見のために開発された、「ホームスミアセットプラス」と呼ばれる生理用品とよく似た形をした一般医療機器は、日本人女性用に改良されているため使い心地に違和感も少ない。検査が完了すると、検査完了の通知メールが届き、記載されたURLを開くと結果がわかる。価格は5,000円(税別)だが、8月から6,800円(税別)に価格改正。
妊活を考える男性のための精子検査「Seem(シーム)」
妊娠に影響する精子の濃度や運動量をすぐにチェックできる手軽さで注目を集めている精子検査キット「Seem(シーム)」は、2016年に日本のグッドデザイン賞にも選ばれたキットの使いやすさでも話題になっている。
ほかのセルフ検診とは異なり郵送は不要で、スマホにアプリをインストールして測定チケットをQRで読み込み、あとは手順にしたがってスマホ顕微鏡で採取した検体を自分でチェックするだけ。結果は動画で保存され、比較もしやすくなっている。ただし、現時点で使用できるのはiPhoneのみ。価格は4,980円(税込)。
ほかにもいろいろなセルフ検診サービスがあるが、いずれも一度の検診結果だけでは体調の変化や改善などはチェックできないので、健康診断と同じく複数の検査が望ましい。ビタノートの場合は3カ月から半年に1度の定期的な検診を、シームの場合はできるだけ複数回の検査を推奨している。
また、いずれも医療機関での正式な検査とは異なり、結果はあくまで「参考」なので、カラダに不調を感じたら病院できちんと受診するようにしてほしい。
文:野々下裕子