2016/12/28
【ネット系女子!】70万いいね! “死ぬまでに行きたい! 世界の絶景”仕掛人女子の素顔
いまどきのネットを騒がせている女性たちを紹介する「ネット系女子!」。今回は、「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサーの詩歩さん。
世界中の絶景写真を紹介するFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を運営し、70万以上の「いいね!」を獲得し注目を集め、2013年には書籍版も出版。"絶景"ブームの火つけ役になり、その年の流行語にノミネートされるほど話題に。現在も、Facebookページの運営をしながら、旅にまつわる様々な企画やイベントに精力的に関わっています。日本と海外を行き来して日々忙しく活動している詩歩さんに、自身のコンテンツや旅にまつわるお話を聞いてきました。
70万「いいね!」を獲得!?
――まずは、ご自身の活動内容を教えてください。
「世界中の絶景スポットの写真を紹介する『死ぬまでに行きたい! 世界の絶景』というFacebookページを運営しています。それが書籍化されたことがきっかけで多方面から声をかけていただき、今はそのページを運営しつつ旅行の企画立案に協力したり、旅行に関する講演活動を行なっています」
――なぜ絶景を紹介するページをつくろうと?
「きっかけは、新卒で入ったインターネット広告会社の研修です。Facebookで企業ページを立ち上げて、2カ月間で稼いだ『いいね!』の数を競うという課題が出たんです。そこで、自分の興味があるものに関するページにしたいと思って、趣味である『旅行』に関するコンテンツにしようと考えました。また、Facebookは人種や年齢問わずさまざまなユーザーが使うので、みんなが理解できるものにしたい。パッと見て理解できるように、絶景を写真で紹介しようと思いついたんです」
――"死ぬまでに〜"というタイトルもキャッチーですよね。アイデアはどこから?
「大学の卒業旅行で海外に行ったとき、大事故にあったんです。耳を怪我したのですが、当時助けてくれた救急隊員に「あと数センチずれていたら命を落としていた」と言われたほど危機一髪な状態でした。そのときに、「人はいつ死ぬかわからないから、やりたいことをリストアップしておこう」と感じて。その経験から、今のタイトルを思いつきました。今Facebookに載せている写真は、すべて私が行きたいと思った場所です。つまり、『死ぬまでに行きたい! 世界の絶景』は、私が行きたい絶景スポットのウィッシュリストなんですよ」
フォトジェニックさが写真選びの鍵
――写真は自分で撮影したものを掲載しているんですか?
「いえ、掲載している絶景はわたしが"これから行きたい絶景"なので、わたしがまだ行ったことがない場所なんです。Facebookにアップしているのは、プロの写真家さんから購入したものを使わせていただいていることが多いです。」
――外国の方ともやりとりされているんですね。
「国内外は問いません。写真家さんに連絡しても、返事が来なかったり、言葉の壁により言いたいことが伝わらずに終わることもあります。ただ集めればいいと思われがちですけど、実はいろいろと苦労しているんですよ(笑)」
――そのかいあって、たくさん「いいね!」を集めたんですね。
「そうですね。今、絶景を紹介するサイトはほかにもたくさんありますが、まとめた人の主張が強すぎて、ちょっと押しつけがましく感じることがあります。絶景写真を見ていいなって思っても、『行きたいと思ったらシェア♪』とか書いてあると、「私も行ったことあるんだけど・・・・・・」って反発心も起こるし(笑)、個人の感想がついていると、自分の意見が言いづらい場合もあります。私のページは、写真とスポット紹介のみの最低限の情報を提供するにとどめて、さまざまな人が自分の感想を言いやすいようにしています。なので、結果多くのシェアや『いいね!』をしていただけるんだと思います」
――写真を選ぶ基準は?
「基本的に私が直感的にいいなと思った写真を選んでいます。ただ、今まで掲載された写真の『いいね!』やシェア数の傾向から、ある程度予測して選んでいます」
――どんな写真に評価がつくのですか?
「とにかくフォトジェニック、つまり、インパクトのある写真ですね。たとえば、海はすごく反響があります。スケールが大きく、水面や空の様子も美しいので、見ているだけで癒されるんですよね。逆に、遺跡などは灰色や茶色中心でちょっと地味なので、あまり受けないんです。個人的にはすごく好きだから、もっと掲載したい気持ちもあるんですけど・・・・・・」
絶景を見るには"根気"が必要?
「Sun Seeker」の起動画面。日の出日の入の経度緯度を教えてくれる。夕日の撮影だけじゃなく、ベストな日差しで撮影したいという人にも便利なアプリ
――遺跡が好きなんですか?
「大好きです! 小さい頃から歴史好きで、特に遺跡や古城跡などに興味があって、ずっと行きたいと思っていました。でも、高校生までは勉強ばっかりで旅行に行ったことがなくて、大学生になって初めて遺跡を見るために海外に行けたんです。インターネットを使い出したのも、大学生になってからです」
――意外ですね! 今はいくつかSNSを使っていますね。
「はい。Instagramでは、私が実際に行った旅行先の写真を載せています。きれいに見せたいので、写真はほぼ一眼レフで撮っています。Twitterは、絶景に関係のないプライベートなつぶやきや、スマホで撮影したお手軽な写真などを載せています」
――連絡や撮影以外に旅行先でスマホを使うことはありますか?
「目的地に辿りつくために、位置情報をオンにしてマップを使うことが多いです。ほかには、日の出日の入りの時間や場所を教えてくれる『Sun Seeker』という有料アプリをよく使います。美しい夕日を撮影するためには、角度や待つ場所が大事なんです。これを使い出してから、何時間も待機したのに夕日がうまく見えなかったなどの失敗はなくなりました」
――絶景を撮影するには、根気が必要なんですね。
「そうですね。最高の場所に最高の時間に行って、最高のタイミングが来るまで、とにかく待つ。これが絶景を見るための要だと思います」
海外に向けて日本を発信したい
――最近は、年に何回ほど海外へ?
「仕事やプライベート含めて、だいたい12回前後ですね。旅慣れたといえばそうですが、以前よりはワクワク感が減ったかも(笑)。でも、雄大な景色を見ると、日本での忙しい日々を忘れることができますし、新しい発見もあるので、やっぱり旅はやめられません!」
――では、最後にこれから挑戦したいことを教えてください。
「日本には、絶景スポットをはじめいいところがたくさんありますが、まだまだ海外に知られていない部分も多いです。どのような形にするかは模索中ですが、海外に向けて日本のいいところを発信できるよう、また新しくコンテンツづくりをしたいと思っています」
――ちなみに、今いちばん行きたい絶景スポットはどこですか?
「いちばんは決められませんが、行きたいところはざっと1,000カ所以上はあります。できれば、死ぬまでに全部行けたらいいですね(笑)憧れている場所は、南極です!」
詩歩さんが紹介する絶景写真はどれも一度は行きたくなるものばかりで、彼女の景色に対するズバ抜けたセンスと情熱を感じました。今後、どんな絶景を紹介してくれるのか、今から更新が待ちきれません!
文:服部桃子(アート・サプライ)
撮影:森カズシゲ
詩歩(しほ)
1990年生まれ。静岡県浜松市出身。早稲田大学卒業。世界中の絶景を紹介するFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を運営。2013年、書籍「死ぬまでに行きたい!世界の絶景(2013年)」を出版し、オリコンランキング1位を獲得。その後も「死ぬまでに行きたい!世界の絶景 日本編(2014年)」「死ぬまでに行きたい!世界の絶景 ホテル編(2015年)」を出版して“絶景”ブームを牽引する。2016年8月には「死ぬまでに行きたい!世界の絶景 体験編」を出版し、書籍がシリーズ累計55万部を突破。現在はフリーランスで活動し、旅行商品のプロデュースや講演活動、企業とのタイアップなどを行っている。