2016/10/24

【ネット系女子!】美容業界で大注目! 優秀なサロンモデルと美容師を結ぶサービスを立ち上げた起業家、竹村恵美さん

いまどきのネットを騒がせている女性たちを紹介する「ネット系女子!」。今回は、サロンモデル検索サービス「Coupe」を運営する竹村恵美さん。

大学3年時に「Coupe」を開発し、大学4年時に株式会社Coupeを設立。2014年4月に行われた起業家体験イベント「第一回 Startup Weekend Tokyo Woman」で優勝を飾り、サイバーエージェント・ベンチャーズから出資を受けたことで注目が集まる。Coupe自体も、数々の芸能人やモデルが通うヘアサロンに所属する美容師界の重鎮・木村直人氏にもサービスのコンセプトを評価されユーザーが拡大。これまでで3,000件以上の依頼を集め、資生堂をはじめ様々な企業とコラボするなど話題になっている。

今は経営者兼エンジニアとしてHP・サービスの運営、広報、サロンモデルの審査など、ほぼ全ての事業をひとりで行う竹村さんの素顔に迫る。

サービス立ち上げのきっかけは、美容師の親友の役に立ちたい想いから

――まずは、竹村さんの仕事の内容について教えてください。

「株式会社Coupeで、美容師さんとサロンモデルをマッチングさせるwebサービスCoupeの運営をしています。Coupeでは、美容師さんなら誰でも登録でき、容姿・謝礼など求める条件にあったサロンモデルを探して仕事を依頼することができます。いま登録されているサロンモデルの数は約500人。美容師さんからは、毎月150人ほどの登録をしていただいています」

――サービスを立ち上げたきっかけは?

「私が大学生のとき、親友が表参道の有名な美容室でアシスタントとして働いていました。アシスタントの仕事のひとつに、ヘアカタログに掲載するサロンモデルを探してくる役割があります。雨でも炎天下でもお構いなしに道に立って可愛い子を探して、やっと見つけて声をかけても断られたり、実際に美容師さんのチェックでNGだったり。8時間も道に立って、ひとり可愛い子を見つけられるかどうかなんですよ。すごく大変で、非効率的ですよね。

きっと、サロンモデルが見つからなくて困っている美容師さんはまだまだたくさんいるはずだと思って。それで、可愛い子を並べて美容師さんがサロンモデルを簡単に見つけられるようなサービスを大学3年生の時に立ち上げて、4年生の時に会社にしました」

――どんな子がCoupeのサロンモデルへ応募してくるんですか?

「大きく分けて、もともとサロンモデルとして活躍している子か、興味はあるけど機会がなくサロンモデルになれない子の二つです。時間を自由に使える学生も多いですが、働きながらも時間を調節してサロンモデルをする子もいます。謝礼をもらえるので、いい副業になるようです」

――サロンモデルの選考はどうやって?

「月700人の応募者から、書類選考で40人程度に絞ります。その後、実際に会社に来てもらってカメラテストとマナーテストを二次審査で行います。合格するのは20人くらい。約35倍の合格倍率です

――なかなかの狭き門なんですね。

「ここまで選考を厳しくするには理由があって。私たちの役割は、美容師さんとサロンモデルをつなぐことで、実際にサロンモデルをマネジメントするわけではありません。現場で直接やりとりするのは、美容師さんとサロンモデル自身なんです。平気で遅刻したり、挨拶ができなかったりとマナーがなっていない子は現場の空気を悪くしてしまい、美容師さんに迷惑がかかります。Coupeでは、容姿だけじゃなく、常識があってちゃんとマナーが身に付いているかなどをチェックして、安心して現場に送り出せるようなモデルだけを採用しています」

――ネット上でも、お互いが安心して利用できるように配慮されてるんですね。実際利用している美容師からの評判はどうですか?

「いい感じです! Coupeのモデルはちゃんと挨拶ができる、現場を明るくしてくれるなど褒められることも多いですね。Coupeのサロンモデルは、元々のポテンシャルも高いですが、私からも美容師さんと一緒に作品をつくっているという共通意識を持つようお願いしています。おかげさまで、特に広告を打たなくても、実際に利用している美容師さんの口コミで着実にサービスが広がっています」

――竹村さん自身もサロンモデルの経験があるとか。経験者ならではの工夫はありますか?

「もう何年も前の話ですけど(笑)。私が以前サロンモデルをして気になったことは、金銭のやりとりです。だいたいいくら欲しいという希望がある子もいますが、経験豊富な子以外は料金交渉がしづらくて、言われるがままの金額で引き受けているのが現状です。なので、サロンモデル自身が希望する金額を提示しやすいように工夫しています。Web上だけでやり取りできるシステムなので、モデル達も安心して利用できます」

「撮影用にこんなのもありますよ!」と会社のロゴを持ってきてくれた竹村さん。Coupeでは「個人を輝かせる」をテーマに、サロンモデル志望の子に向けたwebマガジンも配信中。普通の子が有名美容師(通称〝神7(セブン)〝)の手により、かわいいサロンモデルに変身する様子を楽しくレポしている

アナウンサーから女子大生プログラマーへ

――プログラミングをはじめたきっかけは?

「大学時にバイトしていたIT企業で働いていたエンジニアの人の仕事ぶりを見て、プログラミングに興味を持ちました。意味不明に見える文字がHPを構築したりアプリを動かしたりって夢があるし、パソコンの黒い画面いっぱいにカラフルな文字を打ち込んでいるエンジニアさんがすごく格好よく思えたんです。自分でもやってみたくなって、すぐにプログラミングスクールに通いだしました。私が行った講座は10日間の集中講座でしたが、そこで基礎を学びました」

――昔から興味があったんですか?

「全然ありませんでした。大学ではフランス語専攻の超文系でしたし、将来はアナウンサーになりたいと思っていました。高校時代はスイスにいたんですが、日本が恋しくて自室のパソコンで日本のニュースばかり見ていました。アナウンサーがニュースを読み上げるのを聞くと、不思議と落ち着いたんです。

スイスの辺鄙な場所にもニュースを届けるアナウンサーってかっこいいって憧れもありました。でも、帰国してスタジオで原稿を読み上げる試験を受けたときに、『私はこの狭い部屋で一生を終わるのかな』って思ったんです。それから嫌になっちゃったんですよね」

――長年の夢を諦められる勇気がすごいですね。

「自分でもそう思います(笑)。改めてなにになりたいか考え直してみたときに、スイスの学校のことを思い出しました。学校のカフェテリアで提供される食事が激マズでなんとかしたくて、生徒に改善したい点をヒアリングしてシェフに改善してもらったり、残飯の処理を減らすよう取り組んだり。自分は、なにか問題を解決することが好きなんだって気づいて、そんな仕事がしたいと思ったんです。プログラマーは、まさに私にぴったりの職業でした

CoupeのHP(左)、HPを構築しているプログラミングが書かれた画面(右)。ネットでテンプレートを拾って改変したりしてつくるそう。「この言語が形をつくるって夢ありますよね・・・・・・!」

時代は読モよりサロンモデル!?

――Coupeを始めて嬉しかったできごとは?

「私自身は業界の人間ではなく、まだ大学生の時期に展開したサービスということもあって、サービス自体を軽視されている時期がありました。そんなとき、美容師界のトップリーダー的存在の木村直人さんがサービスに興味を持ってくれて、ブログに書いてくれたんです。批判されるかと思っていたら、改善点を挙げていただいて、最後に激励の言葉を送ってくださっていて。初めてCoupeを本質的に認められた気がして嬉しかったです。木村さんが使っているなら安心だということで、信頼されるようになって、ユーザーも増えました」

仕事のアイディアは、決まってシャワーを浴びているときに思いつくそう。「すごくイケそうなアイデアばかりなんです。でも、次の日起きたらすっかりやる気がなくなっていることもよくあります(笑)」。・・・・・・シャワーでハイになるのかも?

――それは嬉しいですね。逆に苦労したことは?

「毎日が苦労の連続です(笑)。でも起業は自分が決めたことだし、苦労はするものだって覚悟はできているので、毎日経験値がアップしていくような感じで楽しいです。今は死ぬほど苦労して、30〜40代くらいでめちゃくちゃ楽できたらいいなって思ってます(笑)」

竹村さんのスマホのホーム画面。「疲れたときは、なにも考えずに『オモコロ』の記事を読んでリフレッシュ。起業家や投資家が集まるマッチングアプリ『yenta』も活用しています。ゲーム好きなので、寝る前は『キングダム -英雄の系譜-』などのゲームアプリで遊んでから寝ています」

――じゃあ、プライベートも忙しい?

「以前は平日、休日関係なしに仕事をしていましたけど、そうしていると世間のトレンドにどんどん置いていかれちゃうんですよ。物をつくる側なのにこれはいけないと思って、休日は無理してでもCoupeから離れてインプットするように心がけています。そこで経験したことが、仕事に取り入れられたらいいなって思います」

――今後はどんなことにチャレンジしたいですか?

「以前、Coupeにいたサロンモデルの子が、今では雑誌で活躍するレベルのモデルになっています。すごく嬉しくて、仕事のやりがいを感じた瞬間でした。

これからは、マナー講座を開いたり、自分をどんな風にプロデュースすればいいか教えたりして、サロンモデルの育成にもっと力を入れたいと考えています。いい人材を育てあげて、様々な場所で活躍できる機会を増やしてあげたい。そのシーンにマッチングする手助けができるよう、よりサービスを拡大してサロンモデルを世間に認知してもらいたいです。読モよりサロンモデル、そんな時代がいずれ来ると思います!」

楽しげにお仕事について語る様子から、サービスや利用するユーザーへの深い愛情が伝わってきました。仕事に対して妥協せず、常に進化を続ける竹村さん。次はなにを見せてくれるのか、彼女の今後の動向に目が離せません!

文:服部桃子(アート・サプライ)
撮影:有坂政晴(STUH)

竹村恵美(たけむらめぐみ)

株式会社Coupe 代表取締役/CEO。趣味はドラム。高校時代をスイスで過ごし、立教大学文学部へ。アナウンサーになるためレッスンに励むが、大学3年生のとき株式会社ログバーでインターンを始めたことがきっかけで、プログラミングを始める。その後、メガベンチャーでのインターンなどを経て、サロンモデル検索サイト「Coupe」を立ち上げ。2015年3月同大学卒業。