2016/08/01

【ネット系女子!】糸井重里も激賞した人気ブロガーは現役女子大生! あぐ味さん

いまどきのネットを騒がせている女性たちをご紹介する「ネット系女子!」。第7回目の今回は、毎日お馬鹿なコンテンツを更新しているお笑いメディア「オモコロ」をはじめ、さまざまなweb媒体でライターとして活躍している現役女子大生のあぐ味さん。

彼女は、女子高生の時にオモコロ主催のブログコンテストへ自身のブログ『38mike』の記事を投稿。全身黒塗りにして標識に描かれている女の子のコスプレをしたり、河原でアイドルに扮して歌い踊ったりと、自撮り写真が中心のインパクト大の記事は瞬く間に拡散され、ついにはあの「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里など著名人からも絶賛されるほど注目の的に。学業とライター業を並行し、日々忙しく過ごすあぐ味さんの素顔に迫ってみました。

おもしろ記事のカギはビジュアルにあり

――なぜおもしろブログを書こうと思ったんですか?

「最初は、自分で描いた漫画やイラストを発表する場としてブログを立ち上げました。それでたまたまオモコロさんのブログコンテストの企画を見つけて、おもしろそうだから応募してみようと思ったことがきっかけです。自分の目の周りを黒く塗ってデカ目にして、iPadを地面に置いて自撮りした写真を使って記事を書き上げました。ただ絵をアップするより自分が出る方が楽しかったし、『おもしろい!』って反応も多くて。それから、自分が出演して好き勝手やる記事を書くようになったんです」

取材は、あぐ味さんの通う大学で。ここでテレビやラジオの放送について学んでいるそう。「オードリーさんや吉本の芸人さんが大好き。いつか一緒にお仕事がしたいと思って、今の大学に入りました」。そう話すと突然草むらに飛び込み、ミーアキャットのモノマネを披露してくれた

糸井重里も絶賛(!?)の記事『コスプレ』。標識でよくみる黒い女の子のコスプレをしたあぐ味さん。アイデアと行動力に脱帽!

――おもしろいことが好きで、顔芸もできるあぐ味さん。芸人になろうと思ったことは?

「自分専用のパソコンを持っていないので、家族共用のパソコンを使ってブログや記事を書いています。母親はネットをよく使う人なので、私の活動をチェックしているかも。基本的になんでも受け入れてくれる両親なので、自由にやらせてもらえてます」

「女芸人のように、パンツ見せても全然OKみたいな、性別問わず対等に笑いあえる空気は大好きです。でも、自分が芸人になったらまず売れないだろうって思います。ゲテモノ食べたり、サブカルに昏倒したりとか、おかしな路線に走ることしか思いつきません(笑)」

――では、ライターとして記事を書くうえで気を付けていることは?

ぼーっとスクロールするだけでも読める記事を目指して、情報量を詰め込みすぎないように気をつけています。まずどんなストーリーにするかをざっと考えて、写真をたくさん撮影します。それから写真を並べてみて、どんなテキストを書くか考えます。あいだのテキストは2、3行くらいにすると、写真がより強調されて読みやすい記事になるんです」

――あぐ味さんの書く記事は写真が多くて読みやすいですよね。

「私たちの世代って、パソコンよりスマートフォンを使って記事を読む人が多いんですよ。見るサイトも、はじめからわかりやすく編集されているまとめサイトとかなので、長いテキストは読まない。だから、テキスト中心よりは絵で示した方がわかりやすいということはあると思います」

――最近はライターの仕事も増えていますが、難しいと思う点はありますか?

「私の場合は好きなようにやりすぎて、編集担当から『わかりづらい』と言われることがあります。テキストサイトに馴染んだ、私より上の世代の人から見ると、物足りないと感じるんだと思います。自分では面白いと思って書いているので、そこが悩みどころですね」

――ブログとライターの仕事は違いますか?

「いえ、同じです。ブログの延長でライターの仕事を頂いているので、こんなに楽しいのにお金もらっていいんですか!? くらいに思っています。ただ仕事となると見る人が多くなるわけで、自由に書けるブログと違って、いろいろ言われることもあります。つまらないって言われるとやっぱりつらいですし、なかには『女だから多少つまんなくてもやってられるんだろ』みたいな意見もあって。内容のおもしろさと性別は、全然関係ないのになあって思います」

――今まで書いた記事でいちばん好きなものは?

「オモコロの記事は『LINEビューティーカメラ・ワールド』。ストーリー仕立ての話が好きなんです。ブログでは、『蛇使いになりたくて、冬』って記事がすごく好きです。人には内容がさっぱりわからないって言われますけど(笑)。あと標識に描かれている黒い女の子に私が変装する『コスプレ』という記事は、SNSなどでも拡散されてすごく話題になりました。自分では思いつきでやったことなので、いまだになぜあんなにバズったのかさっぱりわかりません」

あぐ味さんが書いたブログ記事『蛇使いになりたくて、冬』。ひょんなことからあぐ味さんが蛇使い教室に通い、真の蛇使いを目指すというストーリー。最後は自身が蛇になってしまうという衝撃の展開

漫画ばかり描いていた幼少期

――幼少期は、明るく活発な方?

「いえいえ、むしろ暗くて喋りかけづらい子でした。親が転勤族で、しょっちゅう引っ越ししていたこともあり、友達ができづらくて。外ではほとんど遊ばず、漫画家を目指して家で漫画ばっかり描いていました。女の子が急にアイドルになったりとか、子どもらしくめちゃくちゃなストーリー。でも絶対3P目くらいで飽きちゃうので、全部描き上げないまま次の話にシフトしていました。中学では漫画研究部に入っていましたが、周りに比べるとあまり上手い方ではなく、背景も描けないので漫画家の夢は諦めました。でも自分の漫画を見るのは好きなので、幼稚園から小学校まで描いた漫画は今も捨てずに取ってあります」

――どんな漫画が好きでしたか?

「少女漫画の『ちゃお』から『ジャンプ』までいろいろ読んでいました。なかでも『ピューと吹く!ジャガー』や『ギャグマンガ日和』は、ちょっとシュールな小ネタがたくさんあって大好きです。自分の書く記事も、テンションやギャグ、見せ方の面で影響されている部分は少なからずあると思います」

当時あぐ味さんが描いていた漫画の一部。続きが気になる......!

思いついたギャグはアプリで記録

――普段はどうやって過ごしていますか?

「朝5時半に起きて、駅にある生ジュースのスタンドでバイトしてから大学に行きます。週3のサークル活動はだいたい21時頃終わるので、それから帰宅して就寝します。今はちょっと短縮できましたが、1、2年時は通学に片道2時間かかっていたので、『新宿ダンジョン』というゲームアプリで時間を潰していました」

――アプリはほかにどんなものを使ってますか?

「『Lifebear』というメモ帳や、日記、to doリストの機能が備わったアプリを使ってます。友達とスケジュールを確認するとき、スクリーンショットを撮ってそのまま載せたりできるので便利なんです。メモ帳機能は、記事や漫才に使えそうなネタを記録するネタ帳として使っています。あと、オードリーさんのラジオが好きなので、『Radiko』を使って毎週聞いてます。ごくたまーにですけど、ハガキが読まれることもありますよ」

あぐ味さんのスマホの画面。「ポムポムプリンが好き!」とのこと。「ネタのアイデアは、スマホを見ていると絶対浮かばないので、あえてスマホを持たないでぼーっと散歩する時間をつくっています。街中で変なポスターを見かけたときとか、ふと思いつくんです」

将来はタレントになりたい

――大学卒業後はどういう進路に?

「はじめは放送作家やテレビディレクターが目標でしたが、自分が出る方が楽しいと気付いたので、将来はメディアに映る側になりたいです。ひょんなことからタレントになるとか(笑)。人混みが苦手なので、都心より地方で働きたいですね。愛媛県とかいいなって思います」

――なぜ愛媛県?

「なにかのフリーペーパーに『愛媛県は住みやすい』って書いてあって、『へえ〜、住みやすいんだ』って思ったので(笑)。実は行ったこともないんです......。でもこの夏休みを使ってちゃんと訪れる予定ですよ!」

――今後チャレンジしてみたいことは?

「個人でやってるブログを再開したいです。今だったら仕事で学んだことを生かしつつ、もっと自由におもしろいものが書けるんじゃないかなって思うので。あと、旅が好きなので、どこかに出かけてレポートを綴る旅行日記もやってみたいですね。最初の行き先? もちろんあこがれの愛媛で(笑)!」

言葉の端々にユーモアが垣間見えるあぐ味さん。かわいらしい表情とは裏腹に、冷静に自己分析をしながらご自身について話す姿が印象的でした。独特の世界観が炸裂している記事の数々、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか?

文:服部桃子(アート・サプライ)
撮影:有坂政晴(STUH)

あぐ味

1995年生まれ。日本大学芸術学部放送学科所属。17歳の時に「オモコロ杯 ~ヨピデミー大賞~」へブログ記事を投稿したことで注目が集まり、現在はwebマガジン「オモコロ」を中心にライターとして活動。大学では落語研究会に所属している。