2018/02/09

超高精細『8K動画』もスマホで実現? テレビCMで話題の『4K』との違いも解説

究極の映像が、手のひらにおさまってしまうかもしれない。

超高速・大容量の通信を可能とする次世代移動通信「5G」サービスが始まれば、高精細な動画をスマートフォンなどで視聴することが想定されている。今回は、次世代の映像を担う「4K」「8K」について解説しよう。

現在主流の「フルHD」から画素数4倍に。潰れがちな暗い映像も「4K」ならクッキリ

まずは、テレビCMなどですでに聞き馴染みのある「4K」から説明したい。4Kとは、近年登場した高精細な映像技術。よく聞く「4Kテレビ」というのは、要するに「4K映像を表示できるテレビ」のことだ。最近では4K対応のスマホも登場し、誰もが手の中で4K映像を視聴できる時代になった。

4Kの「K」は「1,000」を意味し、横方向の画素数が約4,000であることに由来している。これは現在の主流である「フルHD(2K)」の横1,920×縦1,080と比べると、画面上の画素数にして実に4倍。つまり、同じ画面サイズならフルHDの4倍も細かい映像を、同じ画素密度なら4倍も広い映像を表現できるのだ。

登場当初こそ衝撃的だったフルHDだが、10年以上経った現在では20〜24インチ程度のPCなら標準的な規格。50インチクラスの大画面で見ると、ドットの粗さを感じてしまう。一方4Kでは、表現できる色域とダイナミックレンジ(明暗の幅)が広がり、至近距離から見ても鮮明。フルHDだと潰れがちな夜のシーン、暗い服なども立体的に見せることができるのだ。

画像提供:シャープ

“空気を感じる”臨場感。「テレビの最終形」とも目される「8K」

そんな4Kをさらにグレードアップさせたのが「8K」だ。規格は横7,680×縦4,320で、横方向の画素数が約8,000であることに由来している。画面上の画素数を比較すると、なんと8KはフルHDの16倍、4Kの4倍にもなる。

画像提供:シャープ

100インチなどモンスター級の大画面だろうと、液晶のドットはわからないほどだ。肉眼では捉えられないようなディテールも映し出し、その緻密な再現度は「空気を感じる」ともたとえられる。

2017年末にはついに、シャープから消費者向けとして業界初となる8Kテレビも発売。約100万円という価格はなかなか手が出るものではないが、業務用だと約800万円であることを考えると、それでも値頃感はあるのかもしれない。いずれは誰もが自宅で圧倒的なリアリティを体感できる日も来るだろう。

70V型 AQUOS 8K 画像提供:シャープ

未来はどうなる? 2020年に向けた「8K放送」の推進と、高まる医療分野での期待

今後はいよいよ、テレビも地上デジタル放送から次の時代へ。すでに衛星放送では「4K放送」がはじまっているが、それに追随して2018年12月には「8K放送」も加わる予定だ。

8K放送の推進は、2020年に向けた国策の一環で、官民一体となって進められている。現地でスポーツ観戦できなくても、会場に居合わせたかのような迫力を味わえるなら大歓迎だ。

映像・放送分野だけでなく、多方面への普及も待望されている。たとえば、美術・建築の分野なら、作品を拡大して見ることで、アーティストの技巧を肉眼以上に体感できる。セキュリティの分野でも、防犯カメラの顔認識精度を飛躍的に高めてくれる。また医療分野への期待度はさらに高い。これまでは2Kモニターを使っていた内視鏡手術だが、現在は超小型の「8K内視鏡」も開発され、体内組織やがん細胞まで鮮明に確認できるのだという。

5Gのサービスが始まれば、いずれはスマホなどで手軽に8K映像が見られるだけでなく、美しい写真や動画を誰でも撮影できるようにもなる。なによりその精緻な描写力は「ハンパじゃない」ので、興味がある人は家電量販店などで体験してみるといいだろう。

文:佐藤宇紘